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89 査定結果

「では査定の結果が出ましたのでお渡しします。」


 渡された袋の中身を見る。

 だいぶ多いような気がするがいいんだろうか。

 あの中に値打ちものでもあったのならこの金額も頷けるんだが。


「だいぶ多いようですが。」

「装飾品と本にいいものがありましてね。そこら辺を考えさせてもらった結果です。沢山持ってきていただけたのでその感謝の分も入ってますし、妥当な金額だとお考え下さい。」

「そうですか。ありがたく受け取っておきます。」


 これはミスリルとか買えるんじゃないか?

 ピピンさんに聞いてみるか。


「これでミスリルとか買えませんかね?」

「ミスリルですか。最近は品不足が続いていますので難しいかと思いますね。今ですとお金で買うよりもダンジョンで手に入れるほうが現実的かもしれません。」

「そんなに品不足なんですか?」

「ええ。産出量が減っているのもありますし、その影響で貴族の皆様たちが長蛇の列を作っている状態です。よほど強いコネがないと割り込むのは難しいでしょうね。」


 お金で解決できれば早かったんだけど、無理なら仕方ないか。

 もう少し力を付けてダンジョンで手に入れる方向で行ったほうがよさそうだ。

 ワイバーンの牙が使われるのはまだしばらく先になりそうだな。


「なのでミスリルは今高値で買い取らせていただいていますよ。もしも余ったミスリルがあればぜひ当店へお願いします。」

「あ、はい。」


 ここらへんはさすが商人だな。

 当面ミスリルを手に入れることは無いと思うけど。


「ところで遺跡にはまだ何かありそうでしたか?」

「いえ、ある程度根こそぎ持ってきたと思います。砦だったので隠し扉なんかは無いと思いますし、もうそれほど物自体残ってませんね。

 読める状態ではない本などはそのままにしておいたので、もしかしたらその中に値打ちのあるものが混ざってるかもしれませんが。」

「読めない状態のものはなかなか値段はつかないものですよ。だとするともうそろそろ遺跡の情報を流してもよさそうですね。」


 まだ情報を流してなかったのか。

 俺たちが一度に持ってこれない可能性もあるし商人としては妥当な判断なのかな。


「そうですね。行った人はがっかりすると思いますが。」

「それは仕方ありません。今回は運も良かったので一儲けできそうです。」

「それはなによりです。」


 笑顔を見るに売りつける先も当てがありそうだ。

 あんな皿なんか売れると思えないんだけど、物好きってのはどこにでもいるからな。

 そういった人たちにうまく売っていくんだろうな。


「まだしばらく王都にいらっしゃるんですか?」

「ええ。来たばかりなので、観光気分で少し滞在しようと思ってます。」

「そうですか。もし何かありましたらおっしゃってください。出来る限りのものはそろえさせていただきますよ。」

「ありがとうございます。そのときはよろしくお願いします。」


 ピピンさんとの話を終えてスールギフテンを後にする。


「随分と奮発してくれたね。」

「多分これでも十分な儲けが出るんだと思うわよ。」

「間違いなく出るだろうな。売れないものを買う人じゃないだろうし、多少色を付けてくれたんだろうけど、それでも十分すぎるほどなんだと判断したんだろう。」

「商人は怖いね。」

「そうね。敵には回したくないわね。」

「色々買い取ってくれるから私たちとしては助かるんだけどね。」


 持ちつ持たれつの関係だからな。

 ハンターから買い取って商品として売るのも主力商品だろうし、俺たちもギルドじゃ売れないものを売れるから助かるし。

 よくできてると思うよ。


「もう日が暮れるし何か食べて宿に戻るか。」

「うん。お腹すいたー。」

「私も随分と待たされたからお腹がすいたわ。」

「どこか美味しい料理屋でも教えてもらってくれば良かったな。」

「自分たちで探すのも楽しいからね。大丈夫だよ。」

「じゃあキリの鼻に任せた。」

「任せてー。」


 さすが王都、いい匂いがあちらこちらからしてくる。

 俺だったら適当なところへすぐに入りそうだが、キリは匂いを吟味して歩き回っている。

 まるで犬のようだな。本人には言わないけど。

 やがて一軒の店に決まった。


「ここにしよう!」

「ようやく決まったわね。」

「だっていい匂いがいっぱいあって迷っちゃったんだよ。」

「それは分からないでもない。よくここまで耐えたとも思うよ。」

「多分ここは美味しいよ。そんな匂いがする。」


 どんな匂いだ。

 まぁこれまでも外れを引いたことは無いから、特に疑うことなく店に入る。


「いらっしゃいませー。」

「三人と一匹でお願いします。」

「かしこまりました。こちらの席へどうぞ―。」


 店内は明るめの雰囲気で奇麗に飾り付けてある感じだ。

 無駄にゴテゴテしていないのは好印象だな。

 料理は読んでもよくわからないから、俺は店員さんのおすすめをお願いする。

 キリとエリィはどんな料理かを聞き出して決めているようだ。

 周りの客の料理を見ると、肉がメインでありながらも野菜の方が美味しそうに見える。

 きっと付け合わせのものにもこだわってるんだろうな。


「お待たせしましたー。」


 料理が運ばれてくる。

 肉は普通で、メインは色とりどりのサラダという印象を受ける。

 一口食べてみると、ドレッシングはレモンを絞ったようなさっぱりとしたような味で、肉を食べて脂っこくなった口の中をさっぱりとさせてくれそうだ。

 後で聞いた話だとドレッシングは選べるようだ。

 そんなサービスも嬉しいお店だな。


「うん。美味しい。」

「あっさりしていて食べやすいわ。」

「シュロロロ。」

「シロ、お肉だよ。」

「シャー。」


 相変わらずキリは肉メインの料理をシロと分け合っている。

 エリィのは川魚と野菜かな?

 川くらいは近くに流れているかもしれないし、取れるのかな。

 キリにとっては量が足りなかっただろうけど、取り合えず満足して店を出た。


「明日は王都を見て回りたいな。」

「そうね。なにか珍しいものでもあるかもしれないし。」

「まぁ朝にギルドに行って何もなかったら王都巡りをしようか。せっかく来たんだから楽しんでおかないとな。」

「マジックアイテムを売ってるお店を見てみたいわ。」

「私は武器と防具を一応見てみたいかな。」

「そうね、一応見ておくのは悪くないわね。」

「って言っても二人とも防具はともかく武器は変えないよな。」


 最初から持ってるものをずっと使ってるんだよな。

 そのわりに悪くならないし。

 防具は変えてるけど。


「実家で作ってもらったものだからね。結構いいものなんだよ。なかなかこれ以上のものはないんだよね。」

「私も実家から持ってきたものよ。そこら辺にあるものに比べたらいいものだと思うわ。」

「ってことは本当に一応覗いてみるだけって感じか。」

「見るだけでも楽しいしね。どんな武器があるかも気になるし。」

「俺はおやっさんに作ってもらうものが一番しっくりくるような気がするからな。俺も見るだけになりそうか。」

「いいじゃない。観光なんだから、色々なところを見て回れば。」

「それもそうか。」


 大量の剣を売るときに一本くらい練習用に残しておけば良かったかもな。

 次の剣は十センチ伸ばすつもりだから、長さの違う剣でも練習しておけるようにしておけばよかった。

 いまさら言っても仕方ないことか。

 丁度いい剣があったかもわからないし、忘れよう。

 明日の予定をフワッと決めながら宿に向かった。

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