88 ピピンさんの依頼。遺跡探索3
近いところから入ってみる。
やっぱり下と違って個人部屋のようだ。
机や私物を入れる場所などもあって住みやすさが全然違う。
残念ながら朽ちてるものが多いが。
「もう少し状態が良ければもっと期待できたんだけど。仕方ないわ、残ってるものは無いか探すわよ。」
「じゃあ俺は奥の方から探してみるよ。」
手分けして何かないか探し始める。
本はいくつか見つけたんだが、どれも読める状態じゃなかった。
「剣があったよ。他のものよりは装飾もしてあるからいいんじゃないかな。」
「こっちはダメだな。全部使い物にならない。」
「この中に少し装飾品があるわね。値打ちは分からないけど持って行ってみるわ。」
「装飾品だったら期待できるんじゃないか?」
「どうかしらね。たいしたことないものだったらそこまでお金にならないと思うわ。」
「一階よりは期待できそうだけどね。」
他の部屋も見て回ったが同じような状態で、装飾の施されている剣や装飾品が多少あるだけだった。
その中で期待できそうな部屋がいくつか見えてきた。
他の部屋と違ってドアが壊れていない。
ということは中のものも状態がいいかもしれない。
期待できるか?
「ドアが壊れてない部屋が出てきたな。」
「そうね。中もなるべくきれいな状態で残ってると嬉しいわ。」
「開けてみないとわからないけどちょっとドキドキするね。」
ドアを開けてみる。
そっと開けたつもりだけど、ドアが壊れてしまった。
長い年月の中で劣化していただろうし仕方ないな。
「他の部屋とは大違いだね。」
「痛んではいるけど机や棚はそのままの形を保ってるわ。中のものもある程度状態がいいかもしれないわね。」
「花瓶もあるね。割れなかったのが不思議だけど持って行った方がいいのかな。」
「一応持って行ってみるわ。」
「お、ここは本も読める状態だ。貴族が読んでた本なら期待も出来そうだ。」
「短剣もあるわね。机の中にもいろいろありそうだし。」
「うん、あるね。指輪かな?」
他にも日記のようなものも見つかった。
他の人に見せるのもどうなんだろうとは思うが取り合えず持っていくことになった。
その部屋以外でも売れそうなものが結構見つかっていい感じだ。
時々スケルトンの他にレイスもいたりするけど、そこはシロの聖魔法で倒してもらいながら進んでいく。
二階の収穫は全部で見るとなかなかのものになった。
「それじゃあ三階だね。」
「三階はなにがあるんだろうな。」
「砦の中は見たことないからわからないわ。でも上に行くほどいいものがありそうな気はするわね。」
「劣化してないことを祈るばかりだな。」
三階への階段を上る。
そこにはこれまでとは違い、豪華なドアが二つあった。
「この砦のトップの部屋か?」
「かもしれないわね。あと一つは来客用の部屋とか考えられるわ。」
「それにしてもドアの作りからして違うんだな。」
「偉い人が使ってたんだろうね。頑丈でもありそうだから私たちには良かったね。」
「確かにな。中は結構きれいな状態が保たれていそうだもんな。」
「開けてみよう。多分何かあるよ。」
ドアを開ける。
他のドアとは作りが違うみたいで、まだドアとして機能をしていた。
中は今までのどの部屋よりもきれいな状態だった。
「広いね。」
「それにある程度豪華にしていたのが今でもわかるわ。見栄っ張りだったのか、部下をまとめるにはある程度そうしないといけなかったのかはわからないけど。」
「見栄っ張りだったんじゃないか?そこにある武器を見ただけでも過剰な装飾だと思うけどな。」
「そうだね。戦う武器じゃなくて、飾るための武器って感じだもんね。」
実際飾ってたんだろうな。
壁にそんな跡があるし、剣だけでも一人分とは思えない数がある。
「見栄を張るってのも大変なもんだな。」
「仕方ないわよ。立場もあるんだろうから。」
「まぁな。それよりも何かあるか探すとするか。」
「私はそこの武器を回収しておくわ。」
結論から言うとこの部屋からは多くの装飾品が出てきた。
宝石が付いたもの、装飾が凝ったもの等様々だ。
他にも高そうな本や、鏡まであってどんな人が住んでいたのか想像できない。
意外と多芸な人だったのかもしれないな。
「これで終わりかな?」
「ここはこんなものかしらね。」
「隣の部屋を探索するか。」
隣の部屋は残念ながらそこまで高そうなものは無かった。
偉い人が来た時用の客室なんだろう。
普段はそこまで物を置いていなかったのかもしれない。
ちなみに屋上への階段は土砂で埋まっていてこれ以上探索する場所はなさそうだ。
最後に一部屋ずつ調べたか確認しながら遺跡を出た。
「結構物があったな。」
「そうね。主に一階の武器庫での物が多いけど結構一杯よ。」
「後は戻るだけだね。美味しい依頼だったんじゃない?」
「どれくらいで売れるかわからないけど、たいした魔物もいなかったしいい依頼だったのは間違いないな。」
それから二日かけて王都まで戻った。
行きも帰りも携帯食料だったのはちょっとうんざりしたが、これから王都で美味しいものを食べればいいだろう。
「宿は前に衛兵さんに教えてもらったところで取りなおしたからいいとして。スールギフテンはさっさと行ったほうがいいだろうな。」
「一杯あるからね。時間がかかりそうだよ。」
これだけのものを鑑定して買い取ってくれるんだから、相応に時間はかかる。
出来るだけ早く行って終わらせたい。
本当はご飯でも食べてから行こうと思ってたんだけど、依頼の報告を後に回すのもなんとなく気持ち悪いからすぐに行くか。
「じゃあ今すぐ行こう。こういったことは早めに終わらせておくに限る。」
「ピピンさんがいればいいわね。」
「まだ日が暮れてるわけじゃないから大丈夫だと思う。もしいなかったら出直そう。」
スールギフテンに向かう。
受付でピピンさんに依頼を受けて来たと言ったら案内してもらえた。
「さすがですね。これだけ早く依頼を達成されるとは。」
「魔法のバッグがあればこそでしたね。早速ですが持ってきたものの買取をお願いしたいんですけど。」
「わかりました。量はどれくらいありますか?」
「結構あると思います。遺跡が砦だったようで武器が結構あったんですよ。それを丸ごと持ってきたので。」
「わかりました。では部屋を用意しますので少々お待ちください。」
しばらく待っていると買取場の後ろの部屋に連れていかれた。
「ではここでお願いします。」
「わかりました。エリィ頼む。」
「わかったわ。」
次々と積み上げられていく武器、使えるかはわからないが最悪鉄として買い取ってくれることを期待したい。
そして皿と本を積み上げる。
ピピンさんの目の色が変わってきた。
何か気になるものでもあったのかもしれない。
最後に二階と三階で見つけた武器や装飾品などを全部出す。
「これで全部ね。」
「素晴らしい。やはり皆さんに頼んで正解でした。」
「査定を終えるのにどれくらいかかりますかね?」
「これだけの量ですので、人手を増やしてもお時間は頂くと思います。」
「ですよね。なるべく早めにお願いします。」
「かしこまりました。」
武器庫にあったものは素早く査定されていき、続いて皿も早めに終わった。
問題はある程度大量にある本と、二階と三階でみつかったものだろう。
ここら辺はある程度値段が上下するだろうし、状態をよく見ないといけない。
ピピンさんは装飾品や装飾が施された武器を熱心に見てるな。
多少価値のあるものだといいけど。
結局全てが終わるまで数時間かかり、俺たちはその間のんびりと待つことになった。




