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8 ゴブリン以外へ挑戦だ

「村長さん、戻りました」

「これはこれは、いかがでしたかな。」

「全部で二十六匹いました。小規模ですが群れもいましたが、殲滅しましたのでおそらくはもう心配ありません。」

「そんなにも、これはハンターの皆さんを雇ってよかったですな。放置しておいたら被害が大きくなったかもしれません。ありがとうございます。」


 近場に二十六匹のゴブリンというのは怖いだろう。城壁のようなものがあるならばともかく、村には柵くらいしかない。柵でどれだけ足止めできるか、決して頼りになるとは言えないだろうから。

 そう考えると村の人たちは勇気があると思う。俺は怖くて無理だ。

 今回の依頼は達成ということになった。後はスタッカルドに戻るだけだ。

 とはいえ今から出ても夜になる。

 今晩も空き家を借りて明日の朝に村を出ることを伝えて村長さん宅を失礼した。


「あー、はじめての依頼が終わったー。」

「危なげないとはいかなかったけど、この調子で少しずつ受けていきたいねー。」

「俺は鎧が欲しいよ。さすがに服じゃ怖いわ。」

「もう少し貯まったら皮の鎧あたりを買えばいいんじゃないかな。あんまり重いと合わないだろうし。」

「そーだねぇ、重いの着たら動けなくなりそうだ。皮の鎧あたりを見てみるよ。」


 仮に鉄の鎧なんて着たら動けないだろう。なるべく動きやすい服装を心掛けたい。

 今日もお世話になった剣をしっかりと手入れして眠りにつく。


「おせわになりました。」

「また依頼を出しましたら是非受けてください、お待ちしていますよ。」


 キラチ村を出てスタッカルドに向かう。朝早めに出たから薬草も採取する。

 コツコツとためていかないとね。

 まだまだ必要なもの、ほしいものはたくさんあるのだ。

 ちなみにキリは薬草を見つけるのは苦手らしい、草はだいたい同じに見えるらしい。

 俺も同じだったので親近感がわく。

 帰りは多少戦い慣れてきたのか、少数のゴブリンならそこまで時間がかからずに倒すことができている気がする。

 経験は大事だ。


 日が暮れる前にスタッカルドについた。

 依頼の完了報告とゴブリンの耳と魔石、薬草を買い取ってもらう。

 結構いい金額になった。理由は二人だったからというのも大きいらしい。

 人数が多ければ一人の取り分がそれだけ少なくなる、うちは二人だから金銭としては美味しいわけだ。


「これで終わりか、しばらくは無理のない依頼をうけていこう。」

「そうだね。無理のない依頼を受けて、戦いの練習とお金をためて必要なものをそろえていけばいいと思うよ。」

「じゃあ今日は打ち上げってことで、いいところは無理だけどなんか食べようぜ。」

「いいねー、美味しいところ知ってるんだ。そこにいこっ。」


 連れていかれたのは気楽に入れそうなお店だ、そんなに高級そうじゃなくて安心した。

 マナーなんかわからないからな、大衆食堂が一番だ。

 中は混んでいる、少し待って席に座る。

 はじめてなので、キリのおすすめを頼んでみる。

 厨房からは美味しそうなにおいがする。はずれはないだろう。


「そういえばジュンは今までどんな魔物と戦ってきたの?」

「んー、ゴブリンだけだな。ほかは動物でも逃げてた。」

「そうなんだ。それならもう少しいろんな魔物と戦ってみようか。私もそんなに多いわけじゃないんだけど、なるべく多くの対処法を知っておいたほうがいいと思うんだよね。」

「たしかにな。武器も手に入ったんだから、ある程度は戦って対処できないとこまるもんな。」

「そうそう。遠出はまだつらいと思うから近場での依頼でいいものがあったら積極的に。なかったら常設依頼でお金を稼ぎながらチャンスを待とう。」

「わかった、そんなかんじでいこう。」


 ちなみに常設依頼は数が多いわけではない。ゴブリンのように素材にならないけど、倒さないと増えすぎてマズいものや、薬草のように需要が切れないものが常設として張り出されている。

 普通の魔物は常設されているわけではないので、依頼以外なら普通に売るしかない。

 俺がここまで生き延びることができたのはゴブリンと薬草の常設依頼のおかげだ。これがなかったらどうしようもなかった。


 ご飯を食べてキリと別れる。久しぶりに美味しいご飯を食べた。依頼を受けて街から出ているときは携帯食料に頼らないといけないのがつらい。

 食べられる野草でも勉強してみるか?いや、それより先にやることが山ほどある。今はあきらめよう。

 なんにせよ今日はぐっすり眠れる。マッチョのランゲさんの宿、竜のしっぽ亭に向かう。

 部屋は空いていたので借りる。数日ぶりの水浴びだ、気持ちいい。今日はいい夢を見れそうだ。


 翌日、ギルドでキリを待っていると話が聞こえてきた。


「街道にコボルトが大量に出たらしいぜ。」

「コボルトかよ、金になんねーな。」

「低ランクにはいい小遣い稼ぎにはなるんじゃないか?」

「そうね、多分じきに依頼も張り出されるでしょ。」


 こんな声だ。

 低ランクには丁度いいみたいだがそれ以外には全く見向きもされなそうだ。

 ちょうどいい、キリに話してみよう。


「いいんじゃないかな。」


 OKがでた。おそらく低ランクが数パーティーで依頼を受注することになるらしい。そのなかの一つとして参加することになるみたいだ。

 集団というのも初めてだいい経験になるかもしれない


「大量発生で低ランクの場合、それぞれのパーティーごとで行動するから、見かけることはあっても協力して何かをするってことはないと思うよ。

 これがワイバーンの共同討伐とかなら話は別だと思うけどね。」


 どうやらほかのパーティーと協力する機会はないまま終わりそうだ。

 ならばコボルトとの戦闘経験を積ませてもらおう。

 このくらいならキリは経験があるはずだから助言をもらう。


「そうだね、攻撃方法は噛みつきとひっかきかな、噛みつきは結構鋭いから気を付けて。大きさはゴブリンより少し小さくて、少し素早いと思ってればいいと思う。

 あと時々棒を振り回してたり拾った剣を使ってたりするから、よく見ておかないと大けがするかも。」

「素早いってことは逃げるのは難しそうだな。」

「ゴブリンよりはってとこだから無理ではないと思うよ。でも追いつかれたら危ないし、倒したほうが安全かもしれないね。」

「あと素材としてはどうなんだ?」

「討伐部位と魔石くらいかなぁ。一応肉も売れるけど安いから持っていく人はあんまりいないみたい。」


 そうこうしているうちに依頼書が張られた。コボルトをどれだけ倒したかで報酬が変わる、いわばゴブリンの常設依頼のような感じになっていた。

 大量発生した原因は不明だが二百匹は超えると思われると書いてある。

 本当に俺がいっても大丈夫なんだろうか。囲まれたらと思うとゾッとするのだが。

 キリもいるから大丈夫だと思おう。キリはゴブリンくらいは楽勝だったんだからコボルトも危なげない戦いを見せてくれるはずだ。小さい女の子に頼るというのも情けない話だが。

 最初は慎重に、慣れてきたら油断しないようにスピードをあげていこう。

 今回は数が多いから一応回復薬も持つことにした。一本銀貨一枚、いい値段だ。なるべく使わないでおきたいものだ。


「準備はこれくらいか?」

「うん、毒も麻痺も使わないからそれで大丈夫だよ。」


 そうか、毒とか使う相手だったら用意するものがもっと増えるんだ。収入がよくなると同時に支出も大きくなるのか、困ったもんだ。

 なんにせよ準備は出来たんだ、はじめてのコボルト退治に行きますかね。

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