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71 出来立てのダンジョン探索12

 今回の飯は肉が三種類。

 豪勢だな。肉だけがだが。

 野菜型の魔物はいないんだろうか、いたらバランスよく食べられるのに。


「なあ、魔物って言ったら肉ってイメージだけど野菜が取れる魔物はいないのか?」

「いるわよ。植物型の魔物は一部食べられるわ。」

「あんまり見ないけど少ないのか?」

「動物型に比べれば少ないわね。それに特殊能力を備えていることも多くて意外と危険なのよ。」

「へぇ、特殊能力か。」

「例えば睡眠や催眠の粉を使ってきたりね。」

「それは厄介だな。」

「だから対策を考えておかないとやられることになるわ。」


 もう少し手軽に取って食べられるものがあると思ってたんだが、それはなさそうだな。

 考えてみればもしいるのなら畑なんか作らないだろうし、いるわけないか。

 諦めて干し野菜で我慢しよう。

 肉がだんだん焼けてきた。

 ガルタイガーの肉はオークと違って脂がそんなになかったから、さっぱりと食べられるんじゃないかって期待している。

 スークィールの肉も食べたけど、あれは味が濃かったからな。できればさっぱりとしたものも食べたい。


「そろそろいいんじゃないかな?」


 キリが待ちきれなくなってきたようだ。

 シロも落ち着きがなくくねくねしてるし。

 肉は、中まで火が通ってるな。


「そうだな。食べようか。」

「今日は安全な場所だからいつもよりいっぱい食べるぞー。」

「ふふ、ほどほどにね。」

「うん。動けなくなるくらいまでは食べないよ。」


 それは大丈夫のラインなんだろうか。

 明らかに食べ過ぎてるって思ったら止めればいいし、最初は好きにさせておこう。


「「「いただきます。」」」

「シャー。」


 まずは気になってたガルタイガーの肉に手を伸ばす。

 余計な脂がほとんどない。これはいいんじゃないか?

 一口食べてみる。

 うまい。想像していた通りさっぱりしているな。それでいて味も丁度いいくらいにしっかりしている。

 臭みもないし、癖もない。ちょっと筋っぽいのが残念なところだがそれでも十分すぎるほどにいい肉だ。

 調理すれば筋も処理するだろうし、肉に変な癖もないから色々な料理に使えそうだ。

 個人的にはすごい好きだな。

 オークも悪くないんだが、連続で食べるとなったら明らかにガルタイガーがいい。


「さっぱりしていてうまいな。」

「そうだね。姉さんにはこのお肉は合うんじゃない?」

「そうね。食べやすくてとても美味しいわ。」

「何かお店で出るような味付けが欲しくなるよね。」

「確かにこれだけあれば味付けを変えて楽しんでみたくなるわね。」

「まぁな。俺たちがしてるのは肉本来の味に塩を足してるだけだからな。」

「ちょっと甘辛いタレとか持ち歩けないかな。」

「荷物が増えるからな。そもそも売ってる場所を探すところからだな。」

「だよね。せっかく美味しいお肉が目の前にいっぱいあるのにもったいないなー。」

「持って帰って宿のランゲさんに調理をお願いしてみるのが一番じゃないか?」

「うーん、そうだね。ランゲさんにお願いしてみようかな。」


 ランゲさんの料理はとても美味しい。

 最初に泊めてくれたからその後も泊まり続けてるのもあるが、単純に料理がおいしいから宿を変えたくないっていうほうが理由としては大きい。

 そもそも一階部分の大衆食堂はいっつも大盛況だ。値段が高くないのも嬉しいところだ。

 肉の持ち込みを許してくれるかわからないが、許してくれるならお願いするのに一番間違いはない人だろう。

 ただなるべく混んでない時にお願いしないとな。


「それならスークィールとガルタイガーの肉はある程度残しておかないとな。」

「うっ・・・そうだね。」

「まだまだ食べる分はあるから大丈夫よ。」

「そうかもしれないけど、美味しく食べるためだからある程度我慢するよ。」


 そう言うとキリはオークを中心に食べ始めた。

 とはいえ焼けば食べるだろう。

 俺とエリィはオークよりガルタイガーの方が食べたいから、焼くことに変わりはないんだしな。


「さて、結局ここまで来ちゃったけどボスってのはどんなもんなんだ?」


 食べながら少し気になっていたことを聞いてみる。


「ボスって言うのはこのダンジョンの最深部で待ってる強力な魔物のことよ。」

「強力って言うとワイバーンくらい出てきたりするのか?」

「そこまでではないわね。ダンジョンに出てくる魔物より少し強いくらいの魔物の場合が多いみたいよ。ランダム性があってそこまで強くない場合もあるみたいね。」

「なるほどな。で、ここからが本題なんだが俺たちはどうすればいいと思う?」


 そう、結局ここまできてしまった。

 まだ続くのなら当然帰る気でいたんだが、下りたところは丁度最深部。

 安全を考えるのなら当然帰るのが一番なんだろうが、こっちにはエリィの魔法がある。

 今までより少し強いくらいの魔物なら、当たれば倒せるんじゃないかってのが正直な気持ちだ。


「迷いどころね。何が出てくるかわからない以上、帰るのが一番無難な選択肢ではあるわ。ただ、勝負にならないかって言うとそんなことは無い気もするわね。」

「私は、私とジュンだけだったらガルタイガーにやられてたかもしれないけど、パーティーとしてなら勝ったわけだし姉さんの魔法が当たりさえすれば大丈夫な気がする。勝てる確率は高いんじゃないかな。」


 キリも俺と同じ考えか。

 冷静に考えてみれば、このダンジョンで逃げた戦いは一度もなく、全て勝ってはいるんだよな。

 そう考えるとボスに挑む資格はあるんじゃないかって思えてくる。

 唯一攻撃を食らったスークィールと、手も足も出なかったけどパーティとしては勝つことができたガルタイガー。

 万全とはいえないかもしれないが、それでもここまで来たら挑んでみたい気持ちはある。

 いつもなら安全策をとるところなんだけど、初めてのボス部屋ってことで少しテンションがあがってるのかもしれないな。


「そうね。当たれば倒せるかもしれないわ。事実、このダンジョンで倒せない魔物はいなかったと思うし、可能性はあるかもしれないわね。」

「なら戦ってみてもいいんじゃないかな。魔法が撃てるようになるまでは私とジュンが耐えて見せるよ。」

「そうだな。なんだったら倒してしまうかもしれないが。」

「強気だね?」

「挟み撃ちに頼りすぎるのはやめるつもりだが、もし通用する相手なら背後からのハンマーで倒せる可能性も十分あるだろ?」

「それもそうね。知能の低い魔物に当たればそれで倒せるかもしれなわね。」

「まぁ、無理はしないで時間稼ぎを第一に考えるけどさ。もし隙があればの話だよ。」

「それじゃあ挑んでみるってことでいいのね?」

「ああ、十分に勝てる可能性があるのに逃げるのはなんか違うと思うからな。」

「そうだね。ここは一回勝負してみようよ。」

「わかったわ。なら今日は十分に休んで明日に備えるわよ。」


 話はまとまった。

 ちょっと勝負に出た感じはあるけど、ここで逃げたら後悔しそうだし今回はこれで良しとしておこう。

 後は体調を整えてボス戦に挑むだけだ。


「キリ。明日はボス戦だから食べる量は考えてな。」

「わかった。動きやすいくらいでやめておくよ。」

「それがいいな。俺もほどほどにして早めに休むとするよ。」


 全員食事を済ませると、武器の手入れを入念に行う。

 エリィには泥だらけになった靴を三人分洗っておいてもらった。

 これで明日は動きやすい状態で挑めるはずだ。

 明日の準備を終えて早めに体を休めた。

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