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63 出来立てのダンジョン探索4

「またあったわ!」

「結構あるな。さすが遺跡ってところか。」

「でも罠付も多くなってきたよね。姉さんは問題にしてないけど。」


 地下三階の探索を続けている途中、さすが遺跡の階層というべきなのか、宝箱が今までよりも多く見つかっている。

 中身はそれほどいいものではないみたいだが、それでも売れば多少のお金にはなるだろう。

 今もエリィが宝箱を見つけたところだ。


「何が入っているかしら。」

「どうだろうな。せめて売り物になるものが出てきてほしいもんだが。」

「あら、今までのも売ればそこそこのお金になるわよ。」

「それはそうなんだけどさ。」

「私は食べ物でもいいんだけどな。もうそろそろ干し肉は飽きてくるよ。」

「シャー・・・。」

「やっぱりシロもそう思うよね。」


 食べ物か。

 宝箱に入っていた食べ物ってのもどうなんだ?

 賞味期限とか大丈夫なのか気になるところだ。

 俺としてはやっぱりマジックアイテム。一個くらい出てもいいと思うんだよな。


「開いたわ。中身は銀の皿ね。これはなかなか高く売れるわよ。」

「マジックアイテムじゃなかったかー。」

「マジックアイテムはもう少し下りないと出ないんじゃないかな。」

「そうかもしれないけど期待しちゃうんだよな。」

「わかるわ。でも難しいわよ。」


 そうかもしれないけどさ。

 人の欲ってのは抑えるのが難しいもんだな。


「低確率だけど時々出るみたいだからそれに期待してもいいかもしれないけど、それなら素直に下りて行った方がいいと思うよ。」

「結局はそうなるよな。まぁ、今は目の前のもので満足しておこう。」

「まだ階段も見つかってないしね。」

「そうなんだよな。」

「じゃあ階段を見つけるためにも探索を進めるわよ。」


 探索に戻るが、罠がどこにあるかわからないから神経を使う。

 だからどうしてもゆっくりとした進行になってしまう。

 慣れてくるともう少し早く進めるんだろうけど、今の俺たちにとってはこれが精いっぱいだ。


「ん?新しい魔物か?」

「そうみたいだね。足音がするよ。」

「ここら辺には罠は無いみたいだから、この辺りで戦うか。」

「そうね。」


 現れたのはゴーレム、その中でも粘土でできたクレイゴーレムってやつだ。

 約二メートル、そこそこの大きさだ。


「クレイゴーレムか。こいつに弱点はあるのか?」

「一定のダメージを与えるか魔石を破壊すれば倒せるらしいよ。」

「魔石は売りたいからダメージを与えるか。」

「わかった。私の武器じゃ魔石は狙えないしね。」


 見た感じクレイゴーレムは動きが遅い。こっちから仕掛けても大丈夫だろう。

 素早く側面に回り込む。腕を振ってくるがマミーより遅い、威力はクレイゴーレムのほうがあるかもしれないが。

 一定のダメージってことはとりあえず斬ればいいだろうという事で腕を斬りつける。

 反対からはキリがハンマーで殴りつけている。

 意外と脆い。何度も斬りつけているうちに腕がボトリと落ちた。

 キリの方は腕と足を破壊し終わっていて、クレイゴーレムはすでにその動きを止めているようだ。


「なんかたいしたことない魔物だったな。」

「クレイゴーレム単体だとね。この魔物の厄介なところは・・・。」

「来たわよ。」


 エリィに言われて目を向けた先にはクレイゴーレムの大群。


「これが厄介なんだよね。」

「全部倒すには数が多くて手間ばかりかかるのよ。一撃の威力もそこそこあるから安全とは言えないし。」

「・・・撤収だな。」


 幸いクレイゴーレムの足は非常に遅い。

 特に苦も無く逃げることに成功した。


「はぁ、あんまり強くないって思ったら群れる習性があるのか。」

「ゴーレムの中では珍しい習性ね。他のゴーレムは基本的に単独で行動することが多いみたいよ。」

「ストーンゴーレムが群れてたらと思うとゾッとするよ。」

「それにしてもあっち側には行きにくくなったね。」

「そうだな。回り道して別の道を行くか。」

「そうね。道は他にもたくさんあるわ。問題は無いわよ。」


 こうして俺たちは別の道を行くことになった。

 クレイゴーレムとはやりにくいな、一体ずつならそんなに問題は無いんだが、あれだけ来られると流石に危険すぎる。


「とりあえずクレイゴーレムはなるべく避けて行こう。どうしても避けられなくなったらエリィ頼むよ。」

「分かったわ。」


 罠を解除しながら進む。

 時々マミーが現れるが、練習相手には丁度いいからなるべく一撃で倒せるように練習しながら戦闘するように心掛ける。


「ここの階層の魔物も食べれないのが残念だなー。」

「そういや、このダンジョンに入ってから食べれる魔物とは出会ってないな。」

「新鮮なお肉が食べたいよ。」

「気持ちはわかるけど出ないんじゃどうしようもないな。」

「素材もそんなに手に入らない魔物ばっかりだしね。」


 そう、クレイゴーレムは一応粘土が素材として売れるが持っていく手間を考えると、ほとんど無視していく人が多いらしい。

 マミーに至っては魔石だけというなんともありがたくない魔物たちだった。

 その分宝箱が多めにあるからいいものの、それでもちょっと美味しくない階層だ。


「まだ戦闘自体はきつくないから先に進むのは大丈夫だと思うけど、その前に食料が尽きて戻ることになるかもしれないな。」

「まだあるわよね?」

「まだしばらくは大丈夫だ。でも深さが分からないからその可能性も捨てきれない。」

「草原の階層でもあれば多分食べられる魔物もいるんでしょうけど。」

「前もそこに陣取って食べ物を確保してたからな。あの時はそこそこ美味しい魔物がいたけど今回はどうだろうな。」

「いることを祈るしかないわね。」


 出来る事ならそこそこ美味しくて、そこまで強くない魔物をお願いしたいもんだ。

 そういった意味では岩トカゲなんていい魔物だった。

 あれくらいのがいてくれたら助かるんだけどな。

 それにしても階段が見つからない。

 結構歩き回っているんだけど、見つかるのは罠と宝箱のみだ。


「もしかしたらクレイゴーレムがいたほうに階段があったのかもしれないな。」

「そうだね、全然見つからないからその可能性もあるよね。」

「そうね。なら一度魔法で殲滅してからクレイゴーレムがいたほうに行ってみる?」

「そうしよう。なるべく温存しておきたかったけど、ここが使い時な気がする。」

「わかったわ。」


 クレイゴーレムに追い返された場所まで戻る。

 足が遅いから相変わらずその辺をウロウロしているようだ。


「準備ができたら言ってくれ。なるべく多くのクレイゴーレムを引き付ける。」

「私もやるよ。少し戦っていればどんどん来るだろうから、全部来たところで離れるよ。」


 エリィが魔法の準備に取り掛かる。

 俺とキリは戦闘態勢だ。

 一体のクレイゴーレムに斬りかかる。すると一斉にこっちを敵と定めたのか、ゆっくりと向かってくる。

 なるべく引きつけつつもダメージを与え、倒せるときは倒していく。

 なにせ数が多いから奥からどれだけ来るか分からない。

 少しでも減らしてエリィの負担を減らすように心掛ける。

 クレイゴーレムを相手にしている時に一番厄介なのは囲まれることだ。

 なるべく深入りしないように腕や胴を斬りつけていく。

 しばらくクレイゴーレムと戦闘していると増援が止まった、全部こっちに出てきたようだ。


「エリィ!増援は打ち止めだ、後は撃てるタイミングで頼む!」

「わかったわ!もう少し耐えて!」


 もう少しで撃てるみたいだ。

 もう攻撃はせずになるべくクレイゴーレムをまとめるように動き回る。

 キリも下手に分散しないように気を付けながら足止めをしている。


「撃つわよ!離れて!」


 その声を聞いた俺とキリは素早くその場から退避する。

 背後で聞こえる連続した轟音。

 しばらくして振り向くとそこにはクレイゴーレムの破片だけが転がっていた。


「相変わらず凄い威力だな。」

「一撃ずつ出せればもっと使いやすいんだけど、まだまだうまくいかないのよね。」

「魔力のコントロールも前よりはよくなってるって言ってたけど?」

「あくまでも前よりはね。見ての通り、まだまだ制御しきれていないわよ。」

「この威力を見ると姉さんの魔法はこれでいい気もする。」

「それでも狙ったときに狙った魔法を撃てるようになりたいわ。その方が戦闘の時も便利だしね。」

「まぁな。今は一日三発か四発で魔力切れになるみたいだし。それだと色々大変か。」

「ええ。そう考えると補助してくれるようなマジックアイテムは欲しいわね。」

「なるほど。出るといいな。」

「ふふ。そうね。」


 クレイゴーレムを倒した場所から魔石を拾って先に進む。

 やはりというべきかしばらく行ったところに階段があった。


「やっぱりこっちにあったんだね。」

「まぁ結果だけ見ればな。」

「仕方ないわ。こういう時もあるわよ。」

「どうするの?休憩する?先に進む?」

「うーん、皆眠気はどうだ?」

「少し眠いわね。」

「私も。」

「それじゃあ休憩をとってから先に進もう。今は無理をしても仕方ない。」


 それぞれご飯を食べてから休憩に入った。

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