表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/118

48 助太刀

 森から出てきたハンター達は多少の傷を負っているもののまだ戦えそうに見えた。

 逃げているのはオークの数が多いからだろう。

 俺たちが手助けすれば勝てそうな気もする。

 状況が不利になる前に声を掛ける。


「おい!手はいるか!?」


 ハンターは俺たちに気が付いたと同時に叫ぶ。


「頼む!」


 やっぱり不利だったんだろう、即断即決だ。


「よし、いつも通り俺とキリで突っ込む。エリィは状況に応じて魔法を使ってくれ。」

「「了解!」」


 俺とキリは右側から攻撃を仕掛ける。

 少しでも勢いが鈍れば逃げてきた奴らも立て直すことができるだろう。

 あいつらが立て直すまでは無理はしない。

 回避重視で立ち回る、キリもわかっているんだろう、同じように回避重視に見える。


「そこまで余裕はないぞ!さっさと立て直せ!」

「あぁ、大丈夫だ!お前ら、陣形を整えたら俺たちもやるぞ!」


 逃げてきたから腕はどんなもんかと思っていたが、オークと普通にやりあえるくらいの腕はある。

 剣士二人、盗賊一人、弓一人のそこそこバランスの取れたパーティーだ。

 俺とキリは正面のオーク三匹が相手になった。

 一対一なら余裕をもって倒せると思うんだが一匹増えるだけで随分余裕を奪われるな。


「シロ!麻痺毒を使えたらどんどん使ってくれ、無理はするなよ!」

「シャー!」

「っと、複数のオークはなかなか迫力があるな。」


 前と同じように少しずつ相手を斬っていく。

 オークも走って息が上がっているのか、最初から大振りに感じる。

 が、数が多い。

 深手を負わすことは諦めて腕を狙って斬ることにする。

 キリは少し余裕があるだろうし、麻痺毒が少しでも効けばこっちのもんだ。

 相手のパンチに合わせて剣を振る。

 もちろん正面からじゃなく、側面からだ。

 ここで一撃で斬り飛ばせればだいぶ有利になるんだが骨に届くくらいで止まってしまう。

 それでもだいぶダメージになったようで片腕を使いにくそうにしている。

 もう片腕も同じくらいのダメージを与えたいところだが、なかなか手を出してこなくなった。

 チャンスだ、一気に距離を詰めて喉を突く。

 外れたがそのまま袈裟斬りにする。

 だいぶ深く入った、こいつはじきにダウンするだろう。

 次だ。キリとシロが戦っている奴の片方を請け負う。

 キリがメインで戦っている奴はじきに決着がつくだろうから、シロが麻痺毒を食らわせている奴を貰う。


「シロ、よくやった!後は任せろ。」

「シャー。」


 少し動きが鈍くなってきているな、このままいけばじきに全身に回るだろう。

 だがのんびりもしていられない。

 パンチに合わせて懐に潜り込んで心臓のあたりを突き刺す。

 相手の動きが鈍っていたからできたことだな。

 だがさすがはオークといったところか、それだけでは倒れないらしい。

 もっと深く突き刺すべきだったか。

 同じように二度、三度と突き刺すと流石のオークも地面に倒れた。

 キリも丁度終わったらしい。

 後はもう一つのパーティーの方に行った四体だ。

 一体は倒したようだが残りに苦戦している。

 ここまで逃げてきた事で体力を使ったり、ケガをしたことが響いているんだろう。


「エリィ、準備はどうだ?」

「ええ、今できたところよ。」

「よし。お前ら後退しろ!魔法で片付ける!」


 その言葉を聞いてオーク達から距離を取り始める。


「頼んだ。」

「任せて頂戴!」


 前回と違い轟音を響かせながら、大小さまざまな魔法がオークのもとに殺到していく。

 煙が晴れた時、残りの三匹はボロボロになって倒れていた。


「すまない、助かった。」

「いや、無事だったのなら良かった。」

「自己紹介がまだだったな。俺たちはハンター「狼の牙」、俺はリーダーのダリルだ。他にメンバーのクザン、スズナ、アーリィがいる。」

「俺たちは「エスプレッソ」。俺はリーダーのジュンだ。あっちにいるのが俺のメンバーのキリとエリィだ。」

「オークの討伐の依頼を受けていたんだが、思わぬ群れに遭遇してな、危ないところだったんだ。礼を言う。」

「なるほど、俺たちと同じだな。俺たちもオークの討伐だ。」

「そうなのか。あぁ、倒したオークはもちろん持って行ってくれ。俺たちは自分達で倒した一匹で十分だ。」


 少しくらい分け前が欲しいかと思ったんだがあっさりだな。

 面倒がなくていい、ここは受け取っておこう。

 これで八匹。ノルマはクリアだな。


「わかった。森に少し異変があるって聞いたんだが、そうなのか?」

「あぁ、いつもはもっと落ち着いた感じなんだが、今はざわついている気がするな。詳しくはわからないが何かが起こっているのかもしれない。」

「そうか、俺たちは初めてだったからよくわからなくてな。」

「初めてでこの依頼か、ちょっと運が悪いな。いつもより危険度が高い気がする。」

「仕方ないさ。貴重な体験ができたと思っておくよ。」


 話している最中にキリが狼の牙のメンバーの怪我人に回復魔法をかけてあげているみたいだ。

 悪い奴らじゃなさそうだし、それくらいのサービスはいいか。

 にしても何かが起こっているかもしれないってのは嬉しくないな。

 あまり面倒ごとにならなければいいんだが。

 ノルマもクリアしたしさっさと戻るのもありかもしれないな。

 その後、怪我が治った狼の牙と別れた。助けてもらっただけじゃなく、回復までしてくれたことに感謝していた。


「よし、それじゃあ飯の準備をするか。」

「そうだね。お腹すいたよ。」

「新鮮なオークの肉もあるけど何を食べるかね。」

「オーク肉!」

「になるわよね。」

「分かってたけどさ。それじゃあできるだけ売り物にならないような所から食べていこうか。」

「そうね。きれいな状態のものは高く売れるでしょうし。」


 そうなるとやっぱりエリィの魔法で吹き飛ばしたやつを食べるのがいいか。

 一匹丸々食べるわけでもないんだから適当に切り分ければいいだろう。

 どこの部位が美味しいとかは聞いてないからわからないけど、腕でも切って持っていくか。


「おまたせ。」

「随分ワイルドに持ってきたわね。そのまま丸々焼くのかしら?」

「私はそれでもいいけど、むしろそうやって食べてみたい。」

「中まで火が通らないと危ないかもしれないからダメ。」

「ちぇー。」

「ここから切り分けるんだよ。ある程度の大きさに切れば大丈夫だろ、多分。」


 そこそこの大きさに切り分けて、木にさして火で焼いていく。

 最近は塩も持ち歩いているから味付けがないなんてことはない。

 せめて胡椒も欲しいところだが、少し高めで躊躇してしまった。

 贅沢をするのは街にいるときだけでいい、野宿の時は何か狙いがある場合以外は簡単なご飯で十分だ。

 しばらく焼いていると肉から脂が滴り落ちる。

 食欲をそそるいい肉だ、よく売れるのもわかる話だ。

 今のうちにスープとパンを用意する。

 硬いパンだがスープにつければ多少柔らかくなる。

 そしてスープには干し野菜をたっぷり入れる、こうすることで栄養のバランスもほどほどにはよくなるし、微妙な味も美味しくなる。

 完成だ。


「よし、食べるぞ。」

「うん。」

「「「いただきます。」」」


 ちなみに、三人でいただきますって言うようになったのはつい最近だ。

 それまでは俺一人で言っていたんだが、二人が真似するようになった。

 強制するつもりはこれっぽっちもないが、これはこれでこれから食事がはじまるっぽくていいかなって思ったりしている。


「うん、美味しいな。さすが沢山食べられているだけある。」

「腕だからもっと噛みにくいかと思ってたけど、そうでもないのね。」

「うん。ほどよく脂がのってて腕も美味しいね。」

「ほら、シロも食え。」

「シャー。」


 シロも美味しいのかくねくねしてる。ご機嫌だな。

 これでご飯があればいいんだけどな。それは贅沢ってもんか。

 相変わらずキリがたくさん食べて、腕が一本食事に消えた。


「キリ、見張りできるか?」

「うん。ちょっと考えなしに食べ過ぎたかもしれないけど大丈夫。」


 本当に大丈夫か?

 少し不安だし、見張りの順番は最後にしておいてやろう。

 そうして眠りについていたら、朝キリにたたき起こされることになった。


「ジュン!姉さん!起きて!」


 どうやら何かあったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ