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46 スタッカルドへ。そしてオーク狩り

 今日はあらかじめ護衛の依頼を受けていたから、朝に顔合わせをする。

 この依頼は乗合馬車の護衛でスタッカルドまでとなっている。

 つまりこの護衛の依頼と共にスタッカルドに戻るつもりだ。


「どうも、今回は護衛を引き受けていただいてありがとうございます。」

「我々は依頼を受けた「エスプレッソ」です、よろしくお願いします。」

「今回は馬車が二台なんですが大丈夫でしょうか?」

「大掛かりな盗賊団や魔物が来ない限りは大丈夫でしょう。ここしばらくは街道が安定しているみたいですしね。」

「そうですね、例の事件が解決されてから街道での盗賊の被害は減ったらしいですから。」

「基本的に一台に一人ついていきます。何かあったら固まってください、その方が守りやすいので。」

「わかりました。」


 顔合わせはこんなものでいいのかな?俺も護衛は初めてだからな、話している間緊張しっぱなしだった。

 三人で護衛ってのは無理があったかな、移動する間も稼げるからいいかと思ったんだけど、他のパーティーに比べ人数に不安があるのは事実なんだよな。

 とはいえ今のところ増やすつもりはないんだけど。

 今回護衛の依頼を受けたのにはもう一つ理由がある。

 通る街道の盗賊は少し前に俺たちが捕縛したから危険もそこまでないだろうってことだ。

 これが違う街道だったら受けなかったと思うが、短期間に二回にわたって殲滅したんだから大したものはいないだろうという思いは割とある。


「これでニューシルンとはしばらくおさらばかな。」

「そうだね。いい経験は出来たよ。」

「まぁ、そうだな。」

「近いから来ようと思えばすぐに来れるわ。やり残したことがあったらまた来ましょう。」


 乗合馬車の護衛だから俺たちも馬車に乗せてもらえるのがうれしい。

 これはサービスというわけではなく、早く着くために馬車を使ってるのに徒歩に合わせられないというのと、移動時間を短くすればそれだけ襲われる危険が少なくなるということが理由だ。

 これが商人の荷馬車なんかだと、沢山荷物を積んでいたりして徒歩と変わらない速度で行くことの方が多かったりする。

 一度の儲けが多いほうがいいだろうからそうなるのも仕方ないのかもしれない。


「それでは間もなく出発しますので。」

「わかりました。」


 一台目の馬車にキリが、二台目の馬車に俺とエリィが乗り込む。

 これは話し合いで戦闘力のあるキリに先頭を任せて俺が補助。エリィは魔法を使うから一台目より二台目にとなった。

 乗客を見るとこっちの馬車には戦えそうな人はいないな、魔法使いならわからないが武器を持ってる人は見られない。

 大丈夫だとは思うが、大規模な魔物の群れなんかにあたらないように祈っとこう。

 馬車が出発した。護衛の始まりだ。

 とはいえまだまだ街に近いし何か起こる可能性は非常に低いけど。


「何か出ると思うか?」

「まだ前回捉えてから日数もたってないし、盗賊の類は出ないんじゃないかしら。」

「そうだよな。そのとき魔物もいなかったから、魔物もいないと思うんだけど。」

「どうかしら、魔物はすぐに増えるから多少はいてもおかしくないわよ。」

「ってことは戦闘の可能性は十分あるわけだ。」

「そうね。油断はできないわ。」


 確かにゴブリンなんか倒しても倒しても湧いてくるからな。いてもおかしくないか。


 結局、エリィの言うとおりゴブリンやコボルトの襲撃があった。

 もちろん危なげなく倒すことはできたが。

 他の魔物とも戦ってきたからだろう、一撃で切り捨てることが普通にできるようになっていて自分でもびっくりした。

 最初に比べれば雲泥の差だな。

 それにしてもあいつら本当にすぐ湧くな、そういうもんだと思っていても不思議だ。


 そうして三日目、スタッカルドに着いた。


「どうもありがとうございました。」

「いえ、何事もなくて良かったです。」

「では、また縁がありましたら。」


 初めての護衛は特に何もなく終わった。

 やっぱり護衛はあんまり受けないでおいた方がいいかもしれない。

 三人だと攻めるにも守るにも人手が足りなかったからな。

 他のパーティーと合同で受ける場合は考えてみる、くらいでいいな。

 パーティーによって合う依頼合わない依頼もあるだろうしそれくらい構わないだろう。


「ふぅ、ようやくスタッカルドに着いたか。」

「あはは、慣れないことをすると疲れるよね。」

「そうね。それでも無事着いたんだからよしとしましょう。」

「まずはギルドに報告しに行くか。戻ってきたことも言っておいた方がいいだろうし。」


 取り合えずギルドに向かう。

 街の様子を見ながら帰ってきたんだなって思う。

 こっちの世界に来てからずっとスタッカルドにいたんだから、ある意味ホームみたいなもんだ。

 特に変わりもないようで何よりだな。

 そんなことを考えてたらギルドに着いた。


「すみません。依頼が完了したので確認お願いします。」

「はい。あら、戻ってきたんですね。」

「ええ、今戻ってきました。」

「無事に戻られて何よりです。今報酬を用意しますね。」

「お願いします。」


 報酬をもらってギルドを後にしようとしたところで受付嬢のソアラさんから声がかかった。


「ハンターランクが上がったんですね。」

「え?ええ、つい先日上がりました。」

「そこでお願いがあるんですが一つ依頼を受けて頂けないでしょうか。」

「依頼ですか、どんな依頼ですか?」

「オークの討伐です。」

「それなら普通に依頼として張ればいいんじゃないですか?」

「そうなんですがここ最近オークをはじめ、魔物が森の奥から出てきている事が多くなっていまして、色々なパーティーに頼んでいるんですが手が足りていないんですよ。結構街から近いところでも確認されてもいるので、早めに何とかしたいというのもあって直接声を掛けさせてもらっているわけです。」

「なるほど、オークとはまだ戦ったことがないんですが、ランクが上がって適正なランクの依頼になったんで構わないかなとは思っているんですが。二人はどうだ?」

「私はいいよ。」

「私も構わないわ。」

「ではその依頼を受けることにします。」

「ありがとうございます。場所などの説明をしますね。」


 どうやら街から一日ほど歩いた場所で確認されたらしい。森の中じゃないらしいが動き回るからある程度は森も探し回る必要が出てくるだろうな。

 他にもいくつかのパーティーがその森に行っているらしいのでトラブルにならないようにとも言われた。

 オークは非常にポピュラーな肉だから持って帰れるように荷車をレンタルで頼んでおいた。

 どのみち今日は出るつもりはない。

 今日はゆっくり休んで明日出ればいいだろう。


「オークか、倒せれば夜営での飯の心配はしなくて済むな。」

「そうだね。出来る事なら干し肉よりは美味しいものを食べたいね。」

「それよりも宿を取るわよ。今日はしっかり休みましょう。」

「だな。ランゲさんのところ空いてればいいけど。」


 ランゲさんの宿は空いていた。三人分頼んでおく。

 それにしても戻ってきていきなり依頼を頼まれるとは思わなかった。

 もう少しゆっくりしてから活動をしようかなと思っていたんだけどそうはうまくいかないみたいだ。

 仕方ない、オークを倒してゆっくりしよう。忘れなければ。

 初めての相手だし武器の手入れはしっかりとしておかないとな。

 いい加減盾を変えたいんだけどな、今度ミミールさんに相談しに行ってみるか。

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