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41 事件解決

 翌日。

 フロランス邸に来るように呼び出しがかかった。

 詰め所とかで話をするのかと思ってたら、まさかのフロランス邸。

 雇い主がロランド様だったから納得といえば納得なのか?

 早速準備を済ませて、言われた昼頃にフロランス邸に行く。

 門にいる衛兵に取次ぎをお願いする。


「すみません、ハンターのパーティー「エスプレッソ」です、ロランド様に呼び出されて伺いました。取次ぎをお願いします。」

「あぁ、聞いている。少し待っていてくれ。」


 少し待っているといつも通りタガンさんが来た。


「お待たせしました。ロランド様がお待ちです。こちらへどうぞ。」

「わかりました。」


 いつもと同じ部屋に通される。


「よく来た。昨日は少しゴタゴタしていてね、少し遅れてしまったのはすまなかった。」

「いえ。」

「さて、何やら活躍したらしいじゃないか。」


 ロランド様が気分良く話し出す。


「隠し階段を見つけるだけでなく、魔物とも堂々とした戦いっぷりだったとか。」

「いえ、たまたまですよ。隠し階段に関しては音が違っていましたので、遅かれ早かれ気付いていたと思いますし。魔物に関しては一体はうまくやれたと思いますが、二体目は他のハンターたちがダメージを与えてくれていたので、時間を稼いだだけです。」

「それでもだ。そなたたちがいなければ非常に厳しい戦いになっていたといっていたよ。決して誇張して物事を言う男ではない、間違いなく真実なのだろう。」


 騎士が報告してくれたのかな?

 それにしても褒め過ぎじゃないだろうか、全員で役割を果たしたという感じだったように思えるんだが。


「ふふふ。それだけの働きをしたということだ、素直に喜んでおくがいい。」

「はい、ありがとうございます。」

「うむ。それでだ、ここからが本題になるのだが。今から話すことは口外禁止で頼む。」


 というと全員の顔を見渡した。

 全員まじめな顔で頷く。


「まずそなたたちも協力して制圧した例の祭壇や、怪しい男達を尋問した結果、教団「黒のアギト」の仕業だということが分かった。」

「当初の見積もり通りといったところですか。」

「その通りだな。さらにはこのニューシルンで起きていた謎の行方不明事件も奴らの仕業だということもわかった。こちらに関しては今日大々的に発表する。」

「何か証拠があがったんですか?」

「あそこから助けられたものの中に行方不明になったものがいた。後は尋問で本人たちが吐いたからだ。」


 凄いな。まだ一日くらいしかたっていないのに吐いたのか。

 もっとも日本じゃないんだ、尋問なんてものは壮絶なものになるんだろう。


「助けられた者以外は全て儀式に使われたと言っていた。まだまだ不完全な状態だったらしいが、それが完全なものとなっていたらどうなっていたのか想像もできない。そういう意味でもよくやってくれた。」

「なにやら怪しげな杯を使って儀式をしていましたね。」

「うむ。報告は受けている。人の生命力や魔力を吸い取って溜め込むタイプのものらしい。そういった類のものは取り締まっているのだがな。なかなか全てをとはいかないのが正直なところだ。」


 全てを取り締まることなんて不可能だからな、仕方のないことだ。

 特にダンジョンから出たアイテムなんかは管理しきれるものじゃないだろうからな。


「それで表向きにはどこまで公表するんですか?」

「あくまでも謎の行方不明者が出ている事件は解決されたと発表する。黒のアギトが関わっていたことは公表しないつもりだ。いたずらに不安を煽ってしまうかもしれないからな。だからそなた達もそこは合わせてくれ。」

「わかりました。」

「他に何か聞きたいことはあるかね?」

「いえ、特にはありません。」

「わかった。報酬は用意してある、持って行ってくれ。後はギルドに掛け合って依頼という形にしてもらっている、後でギルドに顔を出しておいてくれ。」

「ありがとうございます。」


 依頼としてくれるのは嬉しい、ハンターランクにも響きそうだからな。

 この分だとじきにランクが上がるかもしれないな。


「今回、そなたたちに会えたことは幸運だった。また何かあったら力を貸してほしい。」

「ありがとうございます。我々は普段はスタッカルドで活動しています。比較的近いので、もし力になれることがあれば駆け付けさせていただきます。」

「うむ。その時はよろしく頼む。」


 礼をしてフロランス邸を後にする。

 帰りにギルドで依頼達成の報酬を貰う、ロランド様から渡された報酬と合わせるとなかなかの金額になったな。

 それだけ大きな事件だったってことなんだろう。


「ようやく終わったね。」

「そうだな、忙しかった。」

「でもなかなか出来ない体験だったわ。」

「そうだよね。そう考えると来てよかったよね。」

「そう思うわ。」

「貴族とちょっとした縁もできたしな。」

「うん。」


 正直、貴族なんかとは関わり合いたくなかったんだが、ロランド様はそこまで偉そうにしているわけでもなかったから良かったな。

 これが別の貴族だったらこうはいかなかったかもしれない。

 そう考えるとやっぱり貴族とは関わり合いたくはないな。


「とりあえず今日は休みとして明日からどうする?」

「しばらく普通の依頼を受けながらニューシルンを楽しみましょう。まだお酒も飲んでないわ。」

「そうだね、せっかく来たんだから楽しまないと。」


 それならゆっくりできそうだな。

 急ぐ理由もないし、楽しんでいこう。


「わかった。それじゃあ明日からは依頼だな、いつもと同じように準備しておこう。」

「それじゃあ今日は休みになったんだからお酒でも飲みに行きましょうよ。」

「私はご飯がおいしいと嬉しいな。」

「わかったわかった。どこか入ってみたいところがあったら言ってくれ、そこにしよう。」

「ふふ、話が分かるわね。」

「臨時収入も入ったしな、たまにはいいだろ。」

「うん、そうだよね。」


 今回はエリィが選んだ居酒屋に入ることになった。

 飲めて食べられる場所といったらこういうところになるか。


「へい、らっしゃい!」

「三人と一匹で頼む。」

「へい、こちらへどうぞ。」


 俺たちのほかにも今日を休日にしているハンターがチラホラ見える。

 店の雰囲気は悪くない、日本でいうとチェーン店のような感じといえばわかりやすいか。


「注文しましょう。とりあえずエールを三つとおつまみを適当にでいいかしら。」

「すまん、俺エール飲めないんだ。果実酒で頼む。」

「えぇー。」


 昔から炭酸が飲めなくてなぁ。

 ビールの美味しさは俺には理解できなかった。

 だから飲みに行くときは大体果実酒を頼んでたんだよな。

 日本の友人も大体エリィと似たような反応してたな、許してくれ。


「私、お酒はやめたほうがいいって言われてるんだけど。」

「えぇー。せめて最初の一杯くらいは!乾杯しましょうよー。」

「うーん、大丈夫なのかな。」

「前に何かあったのか?」

「よく覚えてないからわからないんだよね。」

「それじゃあ一杯だけ頼んでみましょう?無理そうなら私が飲むから。」

「うん。それじゃあ一杯だけ。」


 なんか怖いな、記憶を無くすタイプなのか?

 そんなイメージはないんだが。

 というか俺の中でドワーフは酒が強いイメージで固定されているからな。

 変なことにならなければいいんだが。


「決まりね。すみませーん!エール二つとお勧めの果実酒を一つお願ーい。」

「あいよー!」

「後は食べるものね。選びましょう。」


 食べるものはキリに任せる。

 俺としては軟骨があれば頼みたいんだけど、残念ながら無いようだ。

 結構バランス良く頼んでいくな、また肉ばっかりになると思ってただけに意外といえば意外だ。

 最初に頼んだ酒が来た。


「それじゃあ乾杯しましょう。リーダー。」

「俺が何か言うのかよ。そうだな、事件の解決を祝って。」

「「「乾杯!!!」」」


 お、お勧めの果実酒というだけあってうまいな、ちょっと酸味があってさっぱりしてる。甘みもほど良くて次々と飲めそうだ。

 料理が次々と運ばれてくる。

 俺の酒はさっぱりしてるから肉料理に合いそうだ。

 エリィは問題なく飲んでるな。

 キリは、目つきが怪しいぞ?定まってないというか、ふわふわしてそうだ。

 まだ少ししか口を付けてないのにこの状態か。


「キリ、大丈夫か?」

「えー、ジュン?あはははは!」

「キリ?」

「あははははははは!!」


 アカン、完全に酔ってる。

 とりあえず水だ。


「水くださーい。」

「はいよ!」


 キリは爆笑だ、人の顔を指さして笑わないでほしい。

 それにしても本当に弱かったんだな。

 でもこのくらいなら可愛いもんだと思うけどな。


「ほら、水だ。たくさん飲め。」

「んー。」

「いや、お前酔ってるから。飲んで。」

「んーー。」


 あぁ、またお酒を。

 多分楽しい気分なんだろうな、気持ちはわかるけど収拾がつかなくなると大変だ。

 水を・・・

 ―ミシッ!


「痛っ!」


 キリに抑えられている腕がめちゃくちゃ痛い。


「あー、キリさん?腕を離してくれませんかね?」

「んー。」


 あ、ダメだ言うことを聞いてくれない。

 笑顔だけ見てるととても可愛いんだがこめられている力が可愛くない。

 どうしよう、腕がマズい。


「エリィ?」

「うふふ、ごめんなさいね。私にはどうにもできそうにないわ。」


 おいぃ!

 って言っても確かにエリィにはどうすることもできないだろうけど。

 あ、痛い痛い。

 段々力が強くなってる。これはあれだ、力の制御ができなくなってるっぽいな。


 結局キリが寝落ちするまで痛みに耐えて、宿に戻ることになった。

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