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31 付け根の味はどんな味?

 久々にギルドに顔を出した。

 もちろん依頼をさがしにだ。

 特に変わった依頼はない、なら何か手ごろな依頼でも受けようかと思っていたらキリが気になる依頼を見つけた。

 依頼・ロングホーンボアの討伐。群れでいる可能性あり。村への被害が心配されるため早めの討伐が望ましい。


「なんでこの依頼を受けようと?」

「ロングホーンボアって角の付け根の肉が美味しいらしいんだよね、できたら倒してすぐに食べてみたいなって思ったんだ。」

「いいんじゃないかしら、私たちは自分の欲求に素直に受けるべきよ。」

「まぁな。実入りも悪くなさそうだし、これで行ってみるか。」

「やったー!」


 こうして休暇明けの依頼は決まった。


「今回は歩きで三日か、馬車があればよかったんだがな。」

「しかたないよ。馬車は通ってる場所も限られてるからね。」

「それにこの間のダンジョンに比べればいいほうよ。」

「そうだけどさ、ままならないもんだ。」


 一度楽を覚えると次も楽をしたくなる、こればかりはどうしようもないだろう。

 それにしてもこの間バーサーカーと戦ってから調子がいい。

 また一つ強くなれたってことなんだろうか。

 下級ダンジョンとはいえ得るものが多かったな。

 いつかもっと上のランクのダンジョンにも挑んでみたいものだ。

 そうすれば便利なアイテムや武器等も手に入るだろう。


「エリィは魔法の制御はどんな感じだ?」

「うーん、まだまだ安定してないわね。強いて言うなら発動まで少し早くなったかもしれないわ。」

「キリは?」

「私は力が増えた気がするよ。細かい作業は相変わらずダメだけど。」

「みんな強くはなってるんだな。」

「ジュンも?」

「あぁ、少し体の調子がよく感じる。多分少しは強くなってるんだと思う。」

「じゃあシロも強くなってるよね。」

「シャー。」


 なってそうだな。

 シロの毒が戦闘の決定打になることも多い、なんだかんだでゴブリン上位種もバーサーカーもシロの毒が活躍してる。

 水も出せるし間違いなくパーティーの重要な部分を担っているな。


「そういえば今回のロングホーンボアってどんな魔物なんだ?」

「そうね、簡単に行ってしまえば群れるイノシシよ。長い角で群れて突撃することが多いから、村なんかでは被害が大きくなるわね。この間戦った突撃イノシシよりスピードはないわ。」

「それなら大丈夫か。」

「でも群れって、相手にするのが大変なんだよ。だから姉さんの魔法で先制攻撃してもらってある程度は減らしてから、接近戦を挑む感じになると思うよ。」

「角は鋭いのか?」

「えぇ、刺さらないように気を付けてね。」


 シカみたいな角ならよかったのにな。

 いや、それだと魔法とか使ってきそうか。

 単純に突進だけならまだ何とかなる気もするし、よかったと思っておこう。


 スタッカルドを発って三日。

 目撃された場所付近についた。


「まだいるかね?」

「多分ね、魔物もそんなに頻繁に居場所を変えるものは少ないから。」

「それじゃあ探しましょう。なるべく見つからないようにね。」

「わかった。」


 ロングホーンボアは草原にいるらしい。

 集団での突撃に向いた場所に住むようになったのか?

 森だと木が邪魔だったりして、角が取り回しにくいだろうしな。

 少し高台を見つけたので周囲を見渡すことにした。

 水辺に集団が見える。おそらくあれがそうだろう。


「多分、あの集団だよな。」

「うん。角が生えてるからね。」

「この距離だと魔法が届かないわ、もっとちかづかなくちゃ。」

「ギリギリまでいくか。」

「えぇ、気づかれないようにね。」


 群れはおよそ十五頭といったところか。

 魔法で半分以上はやっておいてもらえると助かるな。

 そうすればおそらくは俺とキリでいけるはずだ。


「ここまでくればいいわ。準備するわね。」

「俺たちはそれに合わせて突っ込むように距離を詰めておくか。」

「うん。」


 魔法を食らって、混乱してるところをうまく叩ければ一気に終わるだろう。

 エリィを見る、準備ができたらしい。

 俺とキリが頷いて返事とする。

 轟音とともに魔法が連発されていく、そこに右と左から襲い掛かる。

 十頭は魔法で倒せたみたいだ。

 それなら後は五頭だけ、俺とキリで受け持てる。

 こっちに三頭か、二頭をかわしてから最後の一頭に切り付ける。

 そこまで強くはない。速さもダンジョンの突撃イノシシに比べれば遅いしな。角だけ気を付けていれば大丈夫そうだ。

 確かキリは角の付け根が美味しいって言ってたな。

 なるべくそこを傷つけないように倒そう。

 こんなことを考えながら戦えるようになるとはね。

 まずは一頭。足を切り飛ばして動けなくしておく。

 残りは二頭、ここまでくればかわしてから落ち着いて処理すればいい。

 キリは終わったようだ。

 こっちも終わらせよう、一頭の胴体に剣を突き刺し、もう一頭は首に突き刺した。

 動けなくしておいた一頭にもとどめを刺しておく。


「お疲れ様。」

「お疲れ様、ジュンも安定して戦えるようになってきたね。」

「なんとかな。今回はダンジョンで突撃イノシシと戦ってたこともでかかった。」

「あれよりは早くないもんね。でも群れでも危なげなく倒せたのはよかったよ。」

「そうだな。」

「ふふ、今回の依頼は完了ね。素材を取っていきましょう。」

「あぁ、素材はやっぱり角か?」

「そうよ。薬の材料になるらしいわ。あとは毛皮に肉も売れるわよ。」

「それなら角と俺たちの目当てであるその付け根の肉、あとは持てるだけ毛皮を持っていくか。」

「そうだね、どんな味がするのか楽しみだよ。」

「今日のご飯の時のお楽しみね。」


 一部爆散してしまったが、素材を剥いで集めると結構な量になった。

 特に角が重い、ロングホーンというだけはある。

 意外と鋭いし頑丈だな、これで突かれてたら危ないところだった。


「それじゃあ戻ろうか。」

「うん。」

「えぇ。」


 日が暮れてきたので、いい場所を見つけて焚き火を焚く。

 ご飯の準備をする、今回は角の付け根の肉がメインだ、どんな味なのか楽しみだ。


「そろそろいいかな?」

「もう少し焼いたほうがいいわよ、おなかが痛くなったら大変だわ。」

「そうだよね。うぅ、おなかすいたよ。」


 ちなみにこの世界では結構しっかりと焼いてから食べる習慣があるみたいだ。

 レアで食べることなど、ほぼありえないらしい。


「そろそろいいんじゃないかしら?」

「うん!」

「それじゃあ俺も。」

「私もいただくわ。」


 パクッ、モグモグモグモグ・・・

 うん。味はいい。味はいいんだが、固い。

 まるで固いスルメでも食べている気分だ、味がどんどんと染み出てくるから美味しいんだが、噛み切るのに一苦労。

 キリもエリィも同じように苦戦している。

 シロは美味しそうに食べてるな。まぁ最終的に丸のみでもいいんだから、たいして問題はないのかもしれない。


「うーん、美味しいは美味しいんだけどね。」

「あぁ、固いな。」

「そうね、でも私は気に入ったわ。お酒と合いそうよ。」

「そうだな、酒には合うかもしれないか。」


 酒の肴には丁度いいかもしれない。

 でもこうやって普通に食べる時には、味が良くても食べにくいのはなぁ。

 一種の珍味のようなものとして考えておけばいいか。


「普通の肉も焼こうか。」

「うん、そうだね。」


 キリはちょっと残念そうだな。

 まぁ仕方ない、当たりもあれば外れもあるもんだろう。

 いや、味自体は美味しかったんだから決して外れではないか。

 エリィは酒がないのが残念そうだ。

 さすがに持ち歩くわけにはいかないからな、仕方ない。


 依頼は問題なく成功したが、目的の肉はちょっとだけイメージと違ったな。

 そんなときもある、次に期待だな。

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