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27 肉ばかり食べてると野菜が欲しくなる

 四階にいる魔物でのねらい目はグリーンマンティスと突撃イノシシだ。

 突撃イノシシは魔力で突撃の威力を高めるなかなか厄介なパワーファイターだ。

 突撃イノシシは最初こそ手こずったが、一度回避した後が隙だらけだから、慣れるとわりと簡単に倒せることが分かった。

 素材としては突撃イノシシのほうが牙、皮、肉と売れるから美味しいんだが、実戦を積み重ねるという意味ではグリーンマンティスもいい相手だ。


 初めて四階にチャレンジしてから三日たった。

 食べるものは突撃イノシシの肉があるからいいんだが正直野菜が欲しい。

 それに素材の換金もしたいということになって一度ダンジョンから出ようということになった。


「ここ数日でだいぶ素材が集まったな。」

「痛んでるのもあるけどそこそこの値段で売れるんじゃないかな。」

「そうよ。魔石はたくさん取れたんだし良しとしましょう。」

「宿で一泊してぐっすり寝たい。」

「そうだね、これだけ長く夜営をしたのははじめてだもんね。」


 街の生活が恋しい。

 おいしいごはん、快適な睡眠。

 なんという幸せなことだろうか。

 戻りは特に何もなかった。

 すれ違うハンターには気を付けながら出口を目指したくらいだ。


「あぁ、出てこれた。」

「まずは換金しに行こうよ。」

「そうだな。とりあえず荷物を減らそう。」


 早速簡易的なギルドに向かう。


「いらっしゃいませ。」

「買取を頼む。」

「かしこまりました。」

「ところでバーサーカーが出たらしいんだが、何か情報は入ってないか?」

「バーサーカーですね。先日出現が確認されたとのことですので、王都とスタッカルドへ依頼が出されているはずです。近日中にも討伐されると思いますよ。」

「なるほど。情報ありがとう。」

「いえ。」


 もうじきに討伐されるのか、なら俺たちはどうするべきか。


「と、言うことらしいんだが俺たちはどうしようか?」

「スタッカルドに戻るか、もう一度ダンジョンに潜るかよね?」

「あぁ。」

「私はもう少し潜りたいかな、いい鍛錬になってるところだし。」

「私も同じね。おそらくバーサーカーは五日前後で討伐が確認されると思うの。だから討伐が確認されるまでは慎重に行けばいいと思うわ。」

「それじゃ一休みしてからまた潜るってことでいいか。」

「そうだねゆっくり休んでいっぱい食べよう。」


 ダンジョンのそばにある粗末な宿に泊まることになったんだが値段が見合っていない。

 ムチャクチャ高いかといわれると、そうでもないところがポイントなんだろうな。

 なんにせよ俺たちは久々の満足の行く睡眠を取れた。

 後は飯だ、店は高い。

 仕方ないので乾燥させてある野菜を買い込んで自分たちで作ることにした。

 あんな高いところで食べたらせっかく稼いだお金が全部消える。キリは見た目によらず大食いだからな。

 この小さい体のどこにあんなに入っていくのか、不思議だ。


「よし、準備はできたな。四階への階段まではサクサク行こう。」

「「了解。」」


 前回と違い一階から敵が出るな。

 バーサーカーの影響で出入りが少ないのかな。

 とりあえず大したものはいないのでサクッと倒して進む。

 三階まではすぐだ、三階では岩トカゲを倒しておきたい。肉の確保のためだ。


「一回目より早く着いたな。」

「階段以外はほとんど無視したからね。」

「今日はここまでにして、少し豪華なご飯にしましょうよ。」

「そうだな。ようやく野菜が食べられる。」

「私は肉が好きだけど。」

「なるべくバランスよく食べなさい。」

「・・・うん。」


 あれだけ肉ばっかりだったのにキリはそれでも肉がいいらしい。

 好みは人それぞれだけど栄養バランスが心配になってくる。

 今回手に入れられたのは乾燥させた野菜なのでスープにたくさん入れることにする。

 スープというより野菜の煮込みみたいになってしまったが。

 キリはその野菜の多さにちょっとだけ嫌そうだ。

 エリィは特に何も言わずに食べる。

 シロは肉だな、これは仕方ない。

 俺も食べてみる。うん、野菜の甘味がしっかり出てる。決して美味しい料理とは言えないはずだが、久しぶりに食べたからか、それでも美味しく感じる。


「あぁー久しぶりの野菜だー。」

「そんなに野菜好きだっけ?」

「食べてないと食べたくなるんだよ。」

「気持ちはわかるわ。久しぶりだと余計に美味しく感じるものよね。」


 そうそう。体に足りてないものが満たされていく感じ。

 まだ野菜は残っている。うれしいことだ。

 これでまたしばらくは動けるだろう。


 翌日からは前回と同じように階段からそれほど離れないようにして、戦闘経験を積んでいった。

 それが現れたのは三日目。

 俺たちは小高い丘にいる。もちろん階段からはそこまで離れていない。

 そこで三人で伏せて一匹の魔物を見ていた。


「みたことないやつだけど、もしかしてあれが?」

「多分バーサーカーだよね。」


 見た目は二メートル以上の人間にみえる。ただし頭が化け物でなければだが。

 強靭な足腰をしており、手には剣を持っている。前の剣だったら打ち合った段階で折られてしまいそうだ。

 間違いなく強い。ゴブリンの上位種なんて比較にもならないだろう。

 俺たちは気付かれないようにそっと階段に向かった。


「ふぅー。すごかったな。」

「筋肉の塊だったわね。」

「今まで遭遇しなくてよかったね。」

「おまけに武器持ちか。あれは無理だ。」

「ジュンが今持っている盾じゃ受け切れないよね。」

「あぁ、皮の盾だからな。多分真っ二つだ。」

「もう少ししたらベテランのハンターが来て倒してくれるわ。それまではおとなしくしているのがよさそうね。」

「そうだな、それまではより慎重に行こうぜ。」


 ここしばらくグリーンマンティスと突撃イノシシにはそれほど苦戦しなくなってきた。

 動きにも慣れてきたんだろうが、反応できるだけの能力が身に付き始めているというのもある。

 キリは一撃で仕留めるし、エリィは相変わらず制御できていない魔法ですべてバラバラに吹き飛ばすが、その威力は上がっているように思える。

 素材は犠牲になってもらうとして、パーティー強化には最適な場所に思える。


 二日後、一組のパーティーが四階に下りて行った。

 見た感じ装備もそろっていて強そうだ。


「バーサーカーを狩りにきたのか?」

「たぶんね、あれくらいのパーティーが下級ダンジョンに潜るって言ったらそれくらいじゃないかな。」

「これである程度安心して四階に挑めるようになるわね。」

「・・・見学できないかな。」

「それはマナー違反だよ。」

「そうね、彼らの討伐が終わるのを素直に待ちましょう。」

「そうだよな、わかった。」


 一日後彼らは戻ってきた。


「すみません!」

「うん?なんだい?」


 うお、イケメンだ。対応も様になっている。


「失礼ですが、バーサーカーを討伐しに来たハンターの方ですか?」

「そうだよ。ほら。」


 と、生首を見せてくれる。

 気持ち悪いが確かにバーサーカーだ。


「ということはもう四階にはいないんですね?」

「多分だけどそのはずだよ。ダンジョン内にレアな魔物は発生しにくいからね。少なくとも私たちは一匹の討伐を頼まれたから。」

「ありがとうございます、なかなか四階で探索できなくて困っていたんですよ。助かりました。」

「ははは。それは災難だったね。それでも何があるかわからないのがダンジョンさ、気を付けて。」

「はい、ありがとうございます。」


 どうやらもういないらしい、これで四階に今までより深く探索できる。

 魔物相手にしながら宝箱も探せれば文句なしだ。


「よし、これで四階を大々的に探索できるぞ。」

「そうだね、いこうか。」

「えぇ、今はチャンスね。」


 なんてったって人が極端に少ないんだから宝箱も取れるだろう。

 これなら稼ぎも期待できそうだ。

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