25 三階での宝探し
「ようやく階段か。」
「二階は思ったよりも広かったわね。」
「あぁ、ここからが本番だな。」
「そうだね、シロも頑張ろうね。」
「シャー。」
休憩を終えて歩き始めたが一階と違って二階は広かった。
出る魔物は少ない上に大したことがないから構わないんだが、歩くほうでつかれてしまう。
ちなみにシロも強くなっていた。
ゴブリンくらいなら麻痺毒ですぐに動けなく出来るし、おそらく普通の毒も強くなっていると思う。
ずっと一緒に戦ってきたんだからシロも強くなってて当然だった。
「さぁ、本番の三階だ。」
階段を下りる。
するとそこは草原のような場所だった。
空には作りものだろうが太陽がある。
木々が生い茂り外と何ら変わりないように思える。
「すごいな。まるでダンジョンの中だとは思えない。」
「そうだね。外と変わらないよね。」
「不思議よね、今も学者さんたちが謎を解こうと頑張ってるみたいだけど、さっぱりわからないみたいよ。」
この謎を解こうとしてるのがすごい。
俺はありのまま受け入れる以外できそうもない。
まわりに人はいないな。二階であの広さだったんだから三階はもっと広そうだ。
そうそう人に会うことは無いと思いたい。
「とりあえず目的はあるのか?」
「まずは宝箱ね。」
「これだけ人が入っていて宝箱なんてあるか?」
「なぜかわからないけど宝箱自体が出現するらしいのよ。だからそれを見つけたいの。アイテムが手に入るかもしれないし、お金にもなるし。」
「へぇ。」
「後は魔物と戦闘して、可能なだけでも素材を持ち帰って売りたいかな。」
「そういえば外にギルドがあったな。」
「うん。そこそこいい稼ぎにはなると思うんだよね。」
「わかった。それじゃあ探索しながら戦闘もするってことで。」
「いい経験になるわよ。」
「うんうん。」
「ん?二人は経験者?」
「いいえ。」
「ちがうよ。」
「・・・・・。」
まぁいい、いい経験になるのは間違いないんだ。
早速探索するか。
「とりあえず宝箱のありそうな場所に行くってことでいいんだよな?てことは森か岩山か?」
「ただの草原にはないと思うからそれでいいと思うよ。」
「それなら岩山から行ってみましょう。ある気がするわ。」
何の手掛かりもないからとりあえずエリィの勘を信じることにする。
途中アルマジロのような魔物がこっちを見ていた。
戦いになるかと思ったが基本無害のようだ。
こっちにも戦意がないことが分かるとのんびり眠りだした。
魔物の中にも色々いるらしい。
岩山に近づくとそこそこ大きな魔物がいた。
岩トカゲというらしい。
部分的に岩で武装している大きなトカゲだ。名前そのままだな。
こいつは俺たちを敵として認識しているようで襲ってきた。
「俺とキリで挟み込むぞ!エリィは様子を見ながら魔法を頼む!」
「わかった!」
「わかったわ!」
爪は鋭そうだ、間合いに気を付けて戦おう。
シッ!
先制攻撃だ。腕を少しだけ切り裂いた。
いい武器をありがとう。おやっさんに心の中で礼を言う。
キリは攻めあぐねている、おそらくしっぽがうっとうしいのだろう。
もう少しこっちに気を向けさせるか。
爪の攻撃を誘っては少しづつ切り付けていく。
体に岩をまとっているだけあってスピードはさほどでもない。
時間はかかるが倒せないこともないだろう。
その時キリがしっぽを叩き潰した。
すごいな。岩ごとバラバラになっている。
あれならしっぽはもう使えない。
俺とキリで距離を詰める。
最後はキリのハンマーが岩トカゲの背中を吹き飛ばして終わった。
「ふぅ、お疲れ様。」
「出番がなかったわ。」
「姉さんはもっと強い敵が出た時にお願い。」
「こいつは岩でも素材になるのか?」
「岩はただの岩ね。素材は爪よ。あと肉はまぁまぁ美味しいらしいわよ。」
「肉を持っていくのは無理だろうから今日の飯にするか。」
「そうだね。それじゃあ爪と魔石を取っておこうよ。」
素材の回収を手早くすましてその場を離れる。
俺としては肉が手に入ったのはうれしい。あの保存食を食べなくて済むと思うとそれだけで幸せだ。
メインの宝箱だが岩場の隙間に見つけはしたがすでにあけられていた。
こういうものは早い者勝ちだ、仕方がない。
「もう少し早かったら私たちのものだったかもしれないのに・・・」
「まぁまぁ、宝箱が出るってわかっただけでも良しとしようよ。」
エリィはせっかくあったのに、開けられていたのが悔しかったようで、さっきからブツブツ言っている。
気持ちはわからないではないけどこういうのは引きずると続くものだ、切り換えてほしい。
「あったよー!」
キリが岩山のくぼみに小さな宝箱を発見したらしい。急いで駆け寄る。
「どう?まだあいてないよ。」
「えらいわー、ついに宝物が私のものに。」
エリィのものになるわけではないが今はそっとしておこう。
「そういえば解錠はどうするんだ?俺は知らないぞ。壊すのか?」
「私もそんなことできないよ?」
「ふふふ、大丈夫。私ができるわ。難しいのは無理かもしれないけど、多少のものなら開けて見せるわ!」
「・・・罠とかあるかもしれないから慎重にな。」
「任せて頂戴!」
テンション高いな。これだけ自信満々なら大丈夫だろう。
いざとなったらキリもいるしな。
「あいたわ!」
本当に開けられたようだ、たいしたものだ。
さて中身はなんだろう?
「えっと、回復薬三本ね。」
「「・・・。」」
「まぁこんなものよ、それでもたまにはあたりもあるはずだから気長に探しましょう。」
ないよりはうれしいがキリがいるから正直必要性は薄い。
売ってしまうのも選択肢かな。
「次はどうする?」
「岩場はある程度探したわ。森に行きましょう。」
「そうだね。森も隠せる場所が多いから期待できるかもしれないよね。」
「わかった。」
中身は大したことがなかったが宝箱からアイテムが手に入ったことがうれしかったんだろう、エリィはずっと上機嫌だ。
俺はしょぼくてもいいから売れる財宝とかほしいな、もしくはマジックアイテム。
いや、ここらへんなら倒して手に入れた素材のほうが高く売れそうだ。
宝箱は情熱のある人に任せよう。
「森では気を付ける魔物はいるのか?」
「木こりハンターあたりは不意打ちを食らいやすいから気を付けたほうがいいわ。」
「木こりハンター?」
「えぇ、木に擬態している魔物よ、木を切ろうとしたら逆に攻撃を食らうことから木こりハンターと呼ばれているわ。」
「見分け方は?」
「よく見るとどこかに耳が付いているわ。」
「耳?目じゃなくて?」
「耳よ。木こりハンターは音を感知して敵を襲うの、だからそこまで脅威ではないわ。」
「てっきり顔でもついてるのかと思った。」
「それは人面樹だね。そんなに強い魔物は下級ダンジョンにはいないよ。」
「なるほど。見分けにくさは木こりハンターのほうが難しそうだな。」
「そうかもしれないね。」
森に入る。
正直、いちいち耳があるか探してられない。
そこで役に立ったのがシロだ。
なんとシロは木こりハンターがわかるらしい。
「次はそいつだ!」
「わかった。」
ドォーン!
キリのハンマーで倒す。
この木こりハンターはそこまで強くないみたいで、シロの索敵能力のおかげでサクサクと森を進むことができている。
「この木こりハンターは魔石以外美味しくない魔物だよなー。」
「なるべく相手はしたくないわね。」
「でもいっぱいいるよ?」
「そうなんだよな。」
多分ほかのハンターも木こりハンターの相手をするのが嫌だったんだろう。
森の中に木こりハンターがうじゃうじゃいる。
なるべく戦闘を避けてはいるんだがそれでも相手をしないと通れないところがあるくらいだ。
そのかわり宝箱は四つ手に入っている。
大した価値にはならないかもしれないがペンダントが一つとナイフが一つ薬品が六つだ。
ナイフはエリィがもらうことにした、どうやら使っていたナイフがガタが来ていたらしい。
そんな時エリィがこんなことを言い出した。
「四階へいきましょう。」
え?大丈夫なのか?




