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23 スールギフテン

 極彩スズメの捕獲に精を出している人が多いらしく、ギルド内でもそこかしこで極彩スズメの話が行われている。

 俺たちはもう捕獲したからこいつをどこに売るかだが、あてはない。

 仕方ないので受付のソアラさんに聞いてみる。


「すみません、極彩スズメを捕まえたんですが売る当てがないんですよ。いいところとか知りませんかね?」

「極彩スズメを捕まえたんですか、それは素晴らしいですね。素敵な踊りをされたんでしょうね。」


 素敵な踊りというところは苦笑いで流しておく。


「そうですね、ではその極彩スズメを見せていただけますか?」


 今はキリが持っているので渡してもらう。


「これは非常に美しいですね。欲しがる方は多いと思いますよ。ただこれほどのものとなるといい値段を付けることができますからね、売る相手は選んだほうがいいでしょう。」

「なるほど。」

「えっと確か依頼に。ありました。スールギフテンという大きめの商店なんですが、そこの代表であるピピンさんからの依頼で、出来るだけ美しい極彩スズメが欲しいというのがありましたね。

 報酬は極彩スズメを見て決めるとのことですので、期待できるのではないでしょうか。」

「そのスールギフテンというところの噂はどんな感じでしょう?」

「評判はいいですよ。手広くやっていていろいろなところに顔も効く商店なので心配する必要はそこまでないと思います。」

「なるほど、ではそこも考えてみますね。」


 お礼を言って受付から離れる。

 二人も話は聞いていたので意見を聞いてみよう。


「どう思う?」

「私はいいと思うよ、高く買い取ってもらえそうだしね。」

「私も問題ないと思うわ。」

「それじゃあ行ってみようか。あまりにも低い金額を提示されたら断ればいいんだしね。」

「そうだね。」


 スールギフテンは大通りにあった。

 でかい建物だ、でも落ち着きがある。

 へんにキラキラした建物だったら入りにくいことこの上なかったからな。


「入るか。」

「腰が引けてるわよ。」

「いや、でかい店に入るのは初めてだからさ。」

「うん、私もちょっと緊張するかも。」

「エリィ、先に行ってくれよ。」

「そこはリーダーが引っ張っていってほしいわね。」

「俺リーダーだったの!?」

「そうだよ。」

「私もそう思ってたわ。」

「俺、初めて知ったんだけど。」

「あのー、お客様?」

「「「あ・・・」」」


 店員らしきお姉さんに声をかけられてしまった。

 入り口で問答してたからお店に迷惑が掛かっていたようだ。

 ここは気を取り直していこう。


「んんっ。失礼しました。」

「いえ、何か御用ですか?」


 プロだな、すぐに笑顔を張り付けて対応してくれる。

 大きいお店ともなるとそこらへんの教育もしっかりしているんだろう。


「私たちは依頼で来ましたハンターのエスプレッソといいます。代表のピピンさんにお取次ぎお願いできませんか?」

「少々お待ちください。」


 ふぅ、緊張した。


「やればできるじゃない。」

「うんうん、やっぱりリーダーだね。」


 好き放題言ってくれる。

 まぁ無難に対応できただろう、後はピピンさんが来るのを待てばいいや。


「お待たせしました、極彩スズメの件でございますか?」

「はい、そうです。」

「では御足労お願いします。代表がお待ちです。」

「わかりました。」


 どうやら商談室で話をするらしい。

 代表が立ち話なんかしないか。


 コンコン。


「失礼します、お連れしました。」

「ご苦労様。入ってください。」

「失礼します。」


 特に豪華な部屋というわけではないな。

 三十歳くらいの代表であるピピンさんと五歳くらいの女の子が座ってる。


「はじめまして、スールギフテンの代表を務めていますピピンと申します。こちらは娘のココナです。」

「はじめまして。ハンターのエスプレッソといいます。私はジュンといいます。こちらはキリとエリィといいます。」

「これはご丁寧に。本日来ていただいたのは極彩スズメの件で、とのことですが。」

「はい、こいつなんですが。」


 持っていた極彩スズメを檻ごと手渡す。


「いかがでしょう。なかなか評判も良かったのでお持ちさせていただいたのですが。」

「ふむ、非常に美しいですね。色が強いだけではなく、角度によって色が変わるところがとても素晴らしい。ココナ、どうだい?」


 ソファーに座っているココナちゃんに聞いてみている。

 売り物じゃなくてココナちゃんのために欲しかったのかもしれない。


「うん、とってもかわいい!」

「気に入ったかい?」

「うん!」


 どうやら気に入ってくれたようだ。

 これならかわいがってもらえるだろう。

 シロもそんなに寂しそうな眼をしないで。

 もともとが売るために捕まえたものだ、ゆるしてほしい。

 そんなことを考えていたらココナちゃんがキリの頭の上のシロを凝視していた。


「その子はなーに?」

「この子は私たちの仲間でシロって言うんだよ。」

「かわいい!シロちゃんも欲しい!」

「こらっ!無理を言うんじゃない。」

「だってぇー。」

「申し訳ありません。娘は可愛いものが大好きで、失礼しました。」

「あはははは。」


 笑ってごまかしておこう。

 さすがにシロはあげられない、大切な仲間だからな。


「差し上げることはできませんが少し持ってみますか?おとなしいので危険もありませんよ。」

「うん!持ってみたい!」

「本当に申し訳ありません。ココナ、やさしく持つんだよ。」

「うん!」


 シロをキリの頭の上から持ち上げて、そっとココナちゃんの小さな手に乗せる。


「うわぁー、小さくてかわいい。すべすべしてる。」

「それにしても白い蛇ですか、珍しいですね。」

「やはりあまり見ませんか?」

「えぇ。珍しい生き物を見ることはあるのですが白い蛇というのは初めて見ました。」

「結構賢くて、いうこともきいてくれるんですよ。」

「それはますます珍しい。」


 シロがココナちゃんのほっぺをなめてる。

 初対面でそんなことして大丈夫か?

 喜んでるみたいだしかまわないか。


「シロちゃん、お菓子食べる?」

「シャー。」


 首をフルフルと振って断っている。

 シロは基本的に肉くらいしか食べないからな。食べるものがなければ他のものも食べてたが、好んで食べたいものでもないんだろう。


「シロちゃん、お友達になってくれる?」

「シャー。」


 こんどは首をコクコクしてる。友達が増えるのはいいことだ。


「シロちゃん、お友達になってくれるって!」

「よかったねココナ。」

「うん、一緒に遊ぼうね。」

「シャー。」


 なんだか帰りにくくなってきた。

 そろそろ話をまとめてお暇したいんだが、言い出せない雰囲気だ。


「これもなにかの縁です。よろしければ夕飯でもご一緒にいかがですか?」


 う、夕飯か、どうしよう。

 キリとエリィはどんな感じだろうか。

 キリは、うん、食べていく気満々だな。

 エリィはどっちでもよさそうだ。

 それなら断るのも失礼だし、いただいていこうかな。


「ありがとうございます、お言葉に甘えさせていただきます。」


 そこからはピピンさんの仕事が終わるまでココナちゃんの相手をして過ごすことになった。

 もっとシロが欲しいとか言うかと思ってたがそんなこともなかった。

 いい子だな。

 キリもエリィもそこそこ打ち解けることができたようだ。

 キリなんてお姉ちゃんって言われてまんざらでもなさそうだ。

 俺?俺は見守ってたよ。

 小さい子の相手は難しい、ちょっとお話したりする程度だ。それで十分。


 やがてピピンさんの仕事が終わって夕飯を食べに行った。

 気を使ってくれたのか、ちょっとグレードの高い大衆食堂といった感じのところだ。

 あんまり高級そうなところはかんべんしてほしいからな。

 ちょっと高そうなだけあって美味しかった。

 キリは見た目によらずよく食べる、いつもと同じ調子で食べるものだから、隣で冷や汗が出る思いだった。

 エリィはお酒を頼んでたな、お酒も美味しかったらしい。俺も少しくらい飲めばよかった。


 帰り際にまた是非来てほしいと言われた。特にココナちゃんに。

 そのうち時間があるときにでも伺わせてもらうと言って別れた。

 ちなみに極彩スズメは通常の倍以上の値段で売れた。

 これでしばらくは宿と飯の心配はいらないだろう。

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