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21 装備の強化を考える

 エリィが仲間になって1週間がたった。

 この一週間いろいろな依頼を受けて俺はFランクハンターになることができた。

 意外と早いと思ったがゴブリン村の大規模依頼の貢献度が効いたらしい。

 うれしいことだ。

 エリィのハンターランクはG、俺とキリがFなのでチームとしてはようやくFランクを受けることができるようになったわけだ。

 ちなみにエリィは魔族らしい。いろいろな種族がいるが、わりと珍しいようだ。


「チームとしてF、これでようやく見習いは卒業できたかな?」

「そうだね、ある意味ではハンターのスタートラインに立ったといえるのかもしれないね。」

「そこで俺たちパーティーの装備を一新したいと思ってるんだけどどうだろう。」

「どういうことかしら?」

「それぞれの手持ちの装備だとつらくなると思うんだよな。俺の場合だと剣を少しはいいものにしたい。」

「私のハンマーはうちからもってきたものだけど防具はそろそろ変えたいかも。」

「そうね、私も武器はいいけど、防具はちょっと心もとないわ。」

「そうだろう、これからワンランク上の依頼を受けるにあたって装備が弱いと思うんだ。だからここらで一回整えようと思う。」

「それはいいけど、そこまでするお金はないよ?」

「そうね、少しずつためてるけどまだまだかかると思うわ。」


 そう、ここまでは想像の通り。

 実際にお金がないんだからそこをどうするかだ。


「昨日知り合いの防具屋に相談してきたんだ。そしたら素材を持ち込んだ場合安く作ってくれるって言ってくれた。」

「「おぉー」」

「武器に関してはお金を貯めるしかないけど、防具に関してはこれで少しマシになると思うんだ。どうだろう?」

「ちなみに素材は?」

「タイトビートルの殻って言ってた。」

「タイトビートルなら何とかなるかな。」

「素材が必要なら魔法は使いづらいわねー。」

「エリィは他の魔物の相手を頼むよ。」

「そうね、わかったわ。」


 こうして俺たちの装備の一新が決まった。

 まず必要なのは持ち帰るための台車の大きいものだ。これは俺とキリで何とか運べるだろう。

 あとは蜜、でかいらしいけどカブトムシ。蜜を使うのがいいらしい。

 他はいつもと同じだ。


「今回は近場の森だけどそこそこ奥に行かないといけないらしい。気を付けよう。」

「そうだね、無理はしないようにしよう。」


 森に向かう、いつも薬草を取ってた森だ。

 なじみの森だが奥に行くのは初めてだ。緊張する。


「そういえばここで薬草を取ってたんだよね。」

「あぁ、一ヵ月以上お世話になった森だよ。」

「ずいぶんお世話になったのね。」

「その頃ジュンはこん棒で戦ってたから無理は出来なかったんだよね。」

「こん棒で・・・」

「あぁ、まぁいろいろあってね。キリと出会ったのもその時なんだ。」

「そうなのね。」


 たわいもない話をしながら森を歩く。

 時々やってくるゴブリンはサクッと倒しておく。

 前に比べて手際が良くなったものだと思う。


「そろそろいいかな?」

「うん、ここらへんで蜜を使ってみよう。」

「じゃあまずは夜営の準備をしないとね。」


 カブトムシを探すときと同じように、夜に蜜を塗って朝見つけるやり方をするらしい。

 ちょうどよく開けた場所があったのでそこを野営地にする。

 準備も慣れたものだ。慣れないのは美味しくないご飯だけ。

 これはずっとなれないと思う。

 見張りの順番はエリィ、俺、キリの順番に決まった。

 睡眠時間が増えたのがうれしいね。


「蜜を塗る木を決めておこうか。」

「戦いやすい場所がいいよね。」

「それじゃあ見回ってみましょうよ。ここらへんは木が多すぎるわ。」

「開けてるのはここくらいだもんな。」


 歩いて十分くらいのところにそこそこ開けてる場所があったのでそこにする。

 そのうちの五本の木に蜜を塗って一晩待てばいいだろう。


「これでよし。」

「蜜一本丸々使うなんてもったいないなー。うん、美味しい。」

「まぁ大きいらしいしな。なめるのは少しだけにしとけよ。」

「やめたほうがいいわよ?」

「こんなに美味しいのに?」

「えぇ。普通の蜜と違って人が食べるとおなかを壊すことがあるらしいわ。」

「えー、どうしよう、なめちゃったよ。」

「少しだし、大丈夫よ。」

「腹が痛くなったら無理はするなよ。」

「うん。」


 蜜は塗り終わった。

 あとはタイトビートルが引っかかってくれるのを祈るだけだ。

 日が暮れるまでは薬草でも探すことになった。

 特にやることがないからな、少しでも稼げるならやっておくべきだろう。


「もう慣れたな、この作業。」

「私は苦手だな。見分けがつかないよ。」

「そうなの?私は得意よ、薬草の採取にはお世話になってるもの。」


 エリィも薬草採取に助けられていたらしい。

 親近感がわくな。

 最近はシロも薬草を見つけたら教えてくれるようになった。見分けがつくのがすごい。

 日が暮れる。早朝から罠を見に行かないといけないので早めに休む。

 とはいえ夜営は基本的に早めに休むことが多いが。


「それじゃ何か異常があったら教えてくれよ。」

「えぇ、わかったわ。」


 あいかわらずテントも何もないので、その辺で適当に寝るしかない。

 三人になったんだからそろそろテントを買ってもいいか?

 今度相談してみよう。


「二人とも起きて、見に行くよ。」


 キリに起こされる。

 エリィは寝起きがいいほうらしい、うらやましいことだ。


「早く食べて見に行こう。」


 軽く朝食代わりのものを口に入れて罠に向かう。


「なんか動いてるな、想像よりでかいんだけど。」


 だいたい二メートルくらいある。でかすぎじゃないか?


「でも罠にかかってよかったよね。三匹もいるとは思わなかったけど。」

「そうね、それも一匹色が違うのが混じってるわね。」


 そう、二匹は黒いカブトムシなんだが、一匹だけ銀色のカブトムシが混ざっている。


「強いんだったら勘弁してほしいところだけど、そうも言ってられないよな。」

「うん。今回はあくまでも素材が欲しいからね、運がよかったって思おうよ。」

「そうだな。じゃあ確認しよう。

 殻は使うし、ダメージが通りにくいから腹を狙って攻撃。相手の攻撃は角にだけはよく気を付けないとだめだからな。」

「私は他の魔物が来た場合に備えるのと、ピンチの時に魔法を使う準備をしておけばいいのよね?」

「あぁ。それで頼む。それじゃあいくぞ。」

「うん。」


 五本の木に蜜を塗ってるから離れてるやつから狙う。

 うまく倒せれば一対一にもちこめるからな。

 ある程度近づいたところで気付かれた。


「よし、そこの一匹を先に片づけよう。」

「わかった。」


 タイトビートルが飛んでくる。

 すごい迫力だ。ゴブリンの上位種並みに怖い。

 逃げる気はないようでそのまま角を振りかぶってきた。

 盾で耐える。攻撃がなかなかに重い。

 ゴブリンの上位種の攻撃を見てなかったら軽くパニックになってたかもしれない。

 隙をついて剣で腹を狙うがうまくいかない。

 キリもハンマーをふるうが、動きが速いせいか足を数本持って行っただけで、腹には直撃しなかったようだ。

 痛覚が無いのか、構わずに角で攻撃してくる。

 こん棒でぶん殴られている気分だ。

 懸命に耐えていたらキリの二発目が決まったらしくタイトビートルが半身をつぶして動かなくなった。


「ふぅ、助かったよ。」

「でも素材を半分ダメにしちゃったよ。」

「あと二匹いるんだ、多分間に合うさ。」

「うん・・・そうだよね。」

「そう落ち込むなって。助けてくれなかったらきつかったんだ、感謝してるぜ。」

「うん。」

「それよりも次だ。色違いもいるしこっちのほうがやばそうだからな、気を付けていくぞ。」

「わかった。」


 よし、気を取り直せたようだな。

 足りなければまたくればいいんだから、そこまで気に病む必要はないと思ってる。

 助けられることのほうが多いんだ、気にしないでほしい。


「次の二匹は近いな。多分一対一になりそうだ。」

「そうだね。私が銀色のほうへ行こうか?」

「いや、俺が銀色の奴を抑えてるうちに、シロと連携して一匹やってくれ。俺は決め手がないからな、時間くらいは稼いで見せるさ。」

「わかった。シロ、いこう。」


 さて、俺は銀色の奴だ。

 早速気づきやがった、魔法を使う可能性もある、急いで間合いを詰めて対峙する。


「さぁかかってこい!」


 言葉は通じないだろうけど、自分を鼓舞するためにも声を張り上げる。

 動きはそこまで変わらない。

 色が違うだけか?

 角を振ってきた、凄まじい衝撃が腕を伝う。

 どうやらパワーが違うらしい。

 攻撃させてると腕が砕けそうだ、こっちも剣をふるう。

 キンッ

 角がメチャクチャ固い。金属を殴ったようだ、手がしびれる。

 受けるときは受けるが、なるべくかわしていこう。

 幸いにも相手は飛んでいない、ここはじっくりと時間を稼がせてもらう。

 角の攻撃を誘ってはバックステップで回避する。

 顔になら攻撃が通じると思うから剣を繰り出すが角ではじき返される。

 試しに足を攻撃してみたが、足まで固かった。

 種類が違うのかもしれない。

 しばらく単調なやり取りをしていたら、急に相手が飛んできた。

 やばいと思って盾を構えたが盾ごと抱えられてしまう。

 そのままの勢いで後ろの木にぶつかる。

 くっ、今のは効いた、背中がジンジンするし、呼吸がうまくできない。

 やばいかと思った瞬間、轟音とともに魔法が飛んできた。

 ズドドド!ゴウッ!ボボォン!スポポポン

 エリィが助けてくれたらしい、今のは危なかった。


「すまない、助かったよ。」

「いいのよ、それにしても頑丈ね。全部当たったわけではないけれど、半分くらい残ってるわよ。」


 銀のタイトビートルを見ると片方の殻と角、あとはいくつかの足も使えそうだ。

 これは丸ごと持って帰ろう。意外と使えるところがあるかもしれない。

 あとはキリだ、キリのほうを見るとちょうど倒し終わったところらしい。

 前回と違って腹にきれいに入れることができたようだ。


「みんなお疲れ様。」

「えぇ、大きな怪我もなくて何よりだわ。」

「俺がちょっとやらかしちまったけどな。」

「ジュン大丈夫?一応回復しておこうか?」

「そうだな、帰り道に何があるかわからないし頼むよ。」


 キリに回復魔法をかけてもらい、タイトビートルを回収する。


「今回の成果はタイトビートルの半身を二つと完全なもの一つ。それも一匹は色違いだ、十分な成果だろ。」

「そうだね、これで装備を新しくできればいいね。」

「じゃあ街に戻りましょうか。素材が痛まないうちにね。」


 これだけあればある程度は作ってくれるだろう。

 思わず顔がニヤニヤしちゃうぜ。

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