15 大規模依頼と再会
ギルドにゴブリンの上位種の頭を持っていったら騒ぎになった。
なんでも村を作られると爆発的に繁殖しだすことがあるらしい。そうなったら大規模の依頼として大人数で立ち向かわなくてはならない。
「こんなに騒ぎになるんだな。」
「そうだよ、ゴブリンだって侮ってたら上位種がどんどん生まれて手が付けられなくなることもあるくらいなんだから。ゴブリンキングなんて生まれたら悪夢だよ。」
「そんなにか。」
「いくつもの都市が共同で当たらないといけなくなることもあるみたい。国家規模での対策になるよ」
「ゴブリンにはゴブリンの怖さがあるってことか。」
「うん。倒す数以上のスピードで繁殖されたら勝てないからね。」
なるほど、数は力だな。
「大規模の依頼ってことは俺たちも参加するのか?」
「そのつもりで準備しておいたほうがいいと思う。大規模の依頼って報酬もいいしね。もっとも私たちは低ランクだから普通のゴブリンと戦うことになると思うよ。」
「盾買わないとな。」
「鎧も買おうよ。そろそろ必要だよ。」
「そうだな。じゃあ盾と鎧をそろえに行こう。」
「うん。依頼が張られるのは偵察が終わって村が確認出来たらだから、少しは時間があるはず。それまでには全部揃えたいね。」
そんなわけでドゴラのおやっさんの店に来た。
「おう、今日はどうした。」
「前に買った盾が壊れちゃってさ。あと鎧も欲しいんだけどいいかな。」
「もう壊したのか。無理はしないやつだと思ってたがなぁ。」
盾が壊れた経緯を説明した。
「ほー、そいつは仕方ねぇわな。むしろ良く倒したもんだ。」
「俺はほとんど何もできなかったけどさ。」
「上位種相手じゃもう少しいい剣じゃないとつらいな。だがまぁ今回は盾と鎧か。もし多少でも金があるなら店を紹介してやるからそっちに行け。
うちはあくまでも鍛冶屋だ。金属の鎧なら作ってやれるがお前さんが欲しいのは違うだろう?」
「そうだな。とりあえず皮の鎧あたりを探してるよ。」
「ならミミールの防具屋に行け、あそこはなかなかだ。地図を書いといてやる。」
「わかった、ありがとう。」
地図を見ながらミミールの防具屋についた。
「いらっしゃい。」
「すみません、ドゴラのおやっさんから紹介されてきたんですけど。」
虫人のようだが何の虫かはわからない、先祖返りしていなければたいして変わらないから気が楽だ。年はドゴラさんと同じくらいかな?
「ほう、ドゴラからかい。なにを探してるんだい?」
「えっと盾と動きやすい鎧をお願いします。」
「盾はどういうのがいいのかい?動きやすいのなら木や皮、魔物の素材あたりがお勧めだね。」
「そうですね、金額と相談しながら決めさせてもらいたいと思います。」
手持ちが全くなくなると心細いので結局皮の盾と鎧をお願いした。
皮の質は悪くないものらしいのでしばらくは使えることを願う。
「ありがとうございました。」
「また困ったらアタシんとこにきな面倒みてやるからさ。」
話を聞くとドゴラさんの飲み仲間とのことだ。腕は確からしいから何の問題もない。
これで装備は整った大規模依頼がきても大丈夫だ。
ギルドに立ち寄る。新しい情報があるかもしれない。
「こんにちはソアラさん。」
「こんにちは、いかがされましたか?」
「ゴブリンの村について情報は入ってますか?」
「先ほど偵察をお願いしていたパーティーが戻りまして、ギルドマスターに報告しています。村自体は確認できたそうなので、おそらくはじきに依頼が張り出されるものとおもわれますよ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
村はあったのか。準備自体は出来ているからいつでもいける。
後は張り出されるのをまとう。
ギルドでキリと話していると急にギルド内がざわつき始めた。
依頼が張られたらしい。
村の規模はまだ小さめだそうだ。ただ、その規模の割にゴブリンの上位種が多めらしい。
全体の数は千匹はいかないだろうとのこと。
これで規模は小さいほうなのか?大規模とか想像したくない。
大規模依頼になるから全体のリーダーが決められてる。
パーティー名は「銀の爪」だそうだ。ハンターランクはB。心強い。
俺たちを含め多くのハンターがその場で登録した。
大規模依頼を受けるということは、どうやら報酬だけではなく、自分たちの街を守るためでもあるようで、受けることにためらいのある人はそんなにいないようだ。
ハンターとしての矜持ってやつかな?
お金が目当てで受けた俺にとってはちょっと肩身が狭い。
「出発は明後日か、それまではスパーリングでもよろしく頼むよ。」
「うん。私もこの間の戦闘で反省するところがあったからちょうどいいよ。」
街の外でスパーリングをする。
キリは相変わらず強い。一太刀も入れられない。
でも俺も前より動きがよくなってるような気がする、気のせいか?
「ふぅ。うぬぼれかもしれないけど、前より体の動きがよくなった気がするんだ。なんでだろ。」
「多分魔物を倒してきたからだと思うよ。」
「ん?魔物を倒すと強くなれるのか?」
「知らなかったの?」
「あぁ、ちょっとそこら辺の知識はわからないんだ。」
「子どもでも知ってることだと思うんだけど。ちなみに魔物じゃなくても動物でもいいみたいだけどね、倒したら相手の命の力をもらえるようなことを言ってる人がいるみたい。」
「へぇ、それじゃあ戦えば戦うだけ強くなれるのか。」
どっかの戦闘民族みたいだな。
「基本的にはそうみたいだよ。個人差は大きいみたいだけどね。」
「最近は戦ってたからなぁ、そのおかげか。」
「コボルトにスケルトンとゾンビ、あと上位種と戦って勝てたのも大きいかもね。」
経験値が貯まってレベルアップした感じか?
そう考えると戦闘をする機会を作っていくのも大事なことだな。
無理はできないけど、安全なことばっかりやってたら一度のピンチですべておしまいになりそうだ。
倒せる範囲なら戦闘からは逃げないでおこう。
「そのうち上位種とも一対一でやりあえるようになったらいいけどな。」
「大丈夫、なれるよ。」
「そうだよな、それくらいにはならないとな。」
レベルアップして強くなっても戦い方がお粗末なら仕方がない。
キリとの練習で戦い方を上達させていかないとな。
出発日になった。
門の前に四十人近くいる。これが全部ゴブリンの討伐隊か。
ギルドの本気度が伺える。
時間になったらしく一人の男が前に出た。
あれ?見覚えがあるんだけど。
「俺は今回のリーダーをする「銀の爪」のボーグだ。
俺たちはこれからゴブリンどもが作った村を殲滅しにいく。いいか、これは街を守るための戦いだ。いつもの依頼とは違うと考えておけ。
上位種は高ランクのパーティーが、普通のゴブリンは低ランクのパーティーが戦う。これを徹底すれば必ず勝てる。さぁいくぞ!俺たちの街を守る戦いに!」
「「「「おぉ!!!!!」」」」
やっぱりボーグさんだ。パーティーは「銀の爪」っていうんだ。
Bランクだったとは、すごい人たちだったんだな。
覚えてるかわからないけど、挨拶しておこう。
「こんにちはボーグさん。」
「おう、よろしくな。ん?どっかであったか?」
「以前森で助けてもらったんですけど覚えてませんか?」
「森で?・・・あぁ!あの時の裸の!」
「あ、そうです。」
裸で覚えられてた。
まぁ森の中で裸だ、その印象が強いだろうから仕方ないか。
「えーと、たしかジュンっていったか。どうなるかと思ってたがちゃんと生きてたか、よかったな。」
「えぇ、あの時薬草の取り方を教えてもらわなければ、ここにはいなかったと思います。本当にお世話になりました。」
「いいってことよ。それにしても言葉もうまくなったな、大変だっただろう。」
「皆さん、話に付き合ってくれましたからね。人に恵まれました。」
これは本当だ。わからないなりに説明しようとしたら根気よく聞いてくれる人が多かった。冷たくあしらわれていたらこうはならなかっただろう。
「今はソロでやってるのか?」
「いえ、そこのドワーフの子、キリと白蛇のシロでパーティーを組んでます。」
「なるほどな。それじゃあいっぱしのハンターとしてやってるわけだ。」
「まだまだ未熟者ですけどね。」
「それでいい。変に自信満々だと早死にするからな。今日は無理をせずに周りを見て自分の役目を果たせよ。」
「わかりました。よろしくおねがいします。」
思わぬ再会もできたし気合も入った、がんばろう。




