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二話

 三人で通学路を歩く。前二人、後ろ一人の布陣で道を歩く。勿論、前二人にいるのはいろはと緑である。


「それでね、昨日の番組がーーーー」


「ほうほう………」


 いろはが積極的に緑に話しかけ、緑がそれに相槌を打ち、後ろで翔太が欠伸をする。


「……あ、そういえばみーくん。実力テストどうだったの?」


 始業式の次の日に行なわれた実力テスト。成績には直接反映しないものであるが、赤点を取るとキチンと補習を受けなければならないめんどくさいテストである。


「あぁ……テストね、ま、いつも通りよ。文系は良くて理系はダメダメ」


「俺はその真逆」


 しれー、と話題に入る翔太。この二人、得意科目と苦手教科が真逆なのである。一応二人とも、真面目には勉強しているが、どうしても苦手科目は克服できない。


「いろははーーーーーいや、やっぱいいや」


「え、なんでよ!聞いてよ!」


「だってどうせ10位以内だろー?いろはは俺たちの自慢だからなー」


 どこに出しても恥ずかしくない自慢の幼馴染。頭脳明晰、眉目秀麗、スポーツ万能。天は二物を与えずとはよく言ったものだな、とこの言葉を知った時に緑は思った。


「もう、その自慢とか何回も聞いたから!」


(私が欲しいのはそんな言葉じゃないのに!)


(モヤモヤしてんなぁいろは………)


 その後も、他愛もない話をし緑達が通っている高校である私立鳴声(めいせい)高校に着いた。


 全校生徒800人のこの高校は、特にスポーツ分野に力を入れており、全国から有望な選手をスカウトしているのが特徴である。


 特に強いのはバスケ、サッカー、そしてバレー。この三つの部活強く、全国大会常連校である。


「それじゃ、また後でね」


 HRが始まる10分前に教室へつき、いろはとは席が離れているため、若干寂しそうな色を浮かべるいろは。緑と翔太が窓際で、しかも席が前後の関係であるのに対し、いろはは廊下側である。


「一時間目……体育か。だるいな」


「おい運動部」


 一時間目の授業を見て、分かりやすく顔を顰める翔太。


「お前がそれ言ったらダメだろ?」


「体育はなーどうしてもなー」


 だるーん、と机に項垂れる翔太。語尾を間延びさせ、非常にイラつく喋り方をしている。


「部活は好きだからいいんだけどよ…… 体育は………なぁ?」


「……まぁ分からんでもないけど……」


 同意を求めるように語尾の調子を上げる。


 緑は、運動部に所属してはいないが、体を動かすこと自体は好きである。しかし、体育の授業はなんか無駄に疲れるような気がするので苦手である。


(まぁ、楽しいっちゃ楽しいけどさ)


「おらー席に付けー。HR始めんぞー」


 ドアから教師が入ってきて、HRが始まった。


 朝からは簡単な連絡事項だけなので、直ぐに終わる。教師が少しダウナー系なのでそこも関係はしていると思うが。


 女子が更衣室に移動したのを確認してから、緑は体操服に着替え始める。緑のクラスには運動部所属が多いので、女子がまだ教室にいても着替えていたやつはいたが。


「……血気盛んだな」


 意気揚々と着替え始めるクラスメイトを見てボソッ、と呟く。


「加えて、殆ど運動部だしな。このクラスの男子で帰宅部なのお前だけじゃない?」


「………まっさかー」


 と、言いながらも緑の視線は教室を見渡した。


(……えっと、剣崎は剣道部で、田中はサッカー……迎くんは……パッと見帰宅部だけど、卓球部)


 しかも全国常連レベルである。外見はボサボサ髪のメガネ男子なのだが、卓球の腕はピカイチで、全中優勝も経験している。


(………あれ?これマジで帰宅部俺だけ?)


「ま、お前もそれなりにスポーツ万能だしな。器用貧乏の域は出ないけど」


「うるせっ!」


 何も言い返せなかった。


 体育館に移動した緑達、新学期が始まり、初めての体育だが、体育館に着いた瞬間、分かりやすく翔太のテンションが上がった。


(………うわー、まじかぁー)


 支柱、ネット。見ただけで分かる。


 そう、バレーボールである。


「よっしゃ!バレーだ!」


 両手で握りこぶしを作り、「しゃあ!しゃあ!」と喜んでいる翔太。


「いいトスよろしくな!緑!」


 緑の背中をパンパン!と嬉しそうに叩く翔太。


「……待て待て、同じチームになれるかどうかはわからんだろが」


 大抵、チーム分けは経験者やその部活をやっている生徒をリーダーとして、ランダムにチーム分けをするものであるがーーーーー


「………言っても無駄じゃね?」


「…………だよなぁ」


 この二人、こういうランダムに分けられるもので敵チームになったことはない。意図的に分けられて敵チームになることはあるが、完全ランダムだったら、必ず同じチームである。


 ウォームアップとして、体育館を二週走り、準備運動をしてから、教師の命令でパス連へと映る。コートの反対側で、緑といろはの視線が会い、いろはがフリフリと手を振っていた。


 オーバーハンドパスで、パスのラリーをする。時々、緑が軽くスパイクを打ち、翔太がレシーブで返す。


「進藤」


「ん?」


 パス連をしていると、翔太に声がかかる。ボールをキャッチして、後ろを振り向いた。


「おう、どうした?飯塚?」


 飯塚公平(いいづかこうへい)。翔太と同じバレー部に所属しており、二年生にしてレギュラー。しかも翔太と二大エースとして活躍している。


 実力は、ユース候補に名前が上げられる程上手い。スパイカーとしてとても優秀であり、全国の中でも五本指には入る実力者である。


「体育であろうと、負けないよ」


「へっ、上等だぜ」


 二人の間で火花がバチバチと散る。中学の頃からライバル意識が強い二人である。


「こっちには緑がいるからな」


「おいこら」


 勝手に巻き込むな……と思いながら翔太を睨む緑。公平の目線が緑に移動した。


「白石君……進藤の幼馴染が」


「あんまコイツの幼馴染だからって期待するなよ。所詮、素人に毛が生えた程度だ」


(………素人…ね)


 公平は、しばらく緑を見ていたが、教師の集合という声に目線を逸らした。


「それじゃあ進藤、次はコートの向こう側で」


「おう」


「……あのさ、水刺すようで悪いけどさ……君達は経験者だから別チームだけど、俺は翔太のチームに入れるわけじゃないからね?」


 そこ分かる?ランダムなんだよ?と思いながら二人に向かってそういう。


「……?君と進藤が別チームにいる姿を見たことがない」


「えぇ……?」


 何とも変な顔である。


(……ま、まぁ?もしかしたら本当に俺が進藤くんの方に入る可能性とかもあるかも………あるよな?)


 と、思っていた時期がありました。


「よろしくな!緑!」


「………………………」


 いや……まぁ分かってたさ…うん、と思いながらにこにこ顔の翔太を見やる。


 その後、翔太と公平をリーダーとしたチーム分けを行い、くじ引きでAかBかどうかを決めたのだが、緑が引いたのはA。当然、翔太と同じチームだった。


(……まぁ、薄々勘づいてはいたけどさ)


 ポジションは適当。とりあえず適当でいいよ、と翔太が言ったので、血気盛んなクラスメートは積極的にアタックをしたいので、前へ行きたがる。そのせいで、緑の最初の位置は後衛になってしまった。


(……げ)


 分かりやすく緑の顔が歪む。それは、サーバーが公平であり、しかもなんとご丁寧にボールを持ったまま、指で緑を指さした。


(……初っ端から俺狙い……いい性格してるわあいつ……)


 ダン!ダン!と二回強くボールを打ち付け、ルーティンである、ボールのロゴを見つめる公平。ピッ!という笛がなった後、三秒ほどで上へボールを放る。


(………たっか……)


「しかもいきなりジャンプかよ」


 容赦ねぇ…とかおもいながら、足を開き、しっかりと土台を作る。


「フッ!」


 パァン!と強烈な音がした後、物凄い速さで緑へボールが向かう。


「ちっ!」


 素早く地面を蹴り、しっかりとボールを真正面で受け止めーーーーーーー


「…………いっ!?」


(おっ………も!)


 重心をずらし、思いっきり衝撃を逃がした筈だが、それでも逃がしきれなかった衝撃で、尻もちを着いた。


 だが、しかし。


「ナイスだ緑!」


 初見殺し。中学の頃、緑と翔太が試合で使わない癖に何故か練習していた最速ツーアタック。レシーブが、そのままセットアップになり、翔太でしか打ちえないトスである。


「うらぁ!!」


 スパイクを決め、そのボールは敵チームが誰も動けないまま、地面へと接触した。


「よっしゃー!!緑ー!!ナイスー!!」


 翔太がハイタッチしようと緑へ向かうが……。


(う、腕いてぇ…………)


 それどころでは無い緑だった。

皆さん知っての通り、作者のバレー知識はハ〇キューです。難癖つけないで貰えると助かります。


面白かった!続きが気になる!と思った方はぜひぜひブックマーク登録、それから下にある評価ボタンをぽちぽちっと五つの星を黒くして貰えると、嬉しいです。


たくさん着いたら出版社からお声がかかります。多分

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です(^_^ゞ 私はもうすでに☆5個つけたので、 これ以上貢献できません。 …六個目以上押せないかなぁ、と思う今日この頃。 応援しています!
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