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十五話

『やーいやーい!この泣き虫ー!』


『うわぁぁぁん!!』


『やめろ!いろはちゃんを虐めるな!!』


『にげろー!セコムが来たぞー!』


『うわぁぁぁん!!みーくーん!』


 パチリと目が覚めた。ノロノロと目を覚まし先程見た夢を思い出す。


 それは、幼い時の頃の夢。虐められていたいろはを、緑が駆けつけてその後虐めていた奴をボコボコにしてしまった夢である。


「………久しぶりに見たな、この夢」


 ーーーー確か、俺は謝らないで、向こうが虐めたことに対してめちゃくちゃペコペコ謝ってたっけ。


 あの頃からなのだろう。緑がいろはに対して、恋心を抱く前に守護りたい気持ちが強くなったのは。










「みーくん、おはーーーー」


 朝、いつも通りにいろはが緑の家にやってきた。しかし、いつもと違うことは、既に洗濯物は干し終わっており、いろはの姿を見つけた瞬間、緑がいろは抱きついたから。


 一瞬だけ、緑に抱きつかれたことに対して意識がついて行かなかったが、認識した瞬間、いろはの顔が赤くなった。


「みっ、みみみみーくん!?」


(も、もしかして!?やっと告白される!!そのままキスの流れなのかな!?)


 盛大に脳内がトリップする。既に告白を受け入れる準備もーーーキスをされる準備もOKである。


『好きだぞ、いろは』


『ふぇ……』


『お前の返事は要らない。無理やりにでも俺のモノにするから……』


(きゃー!!みーくん大胆だよー!!こんな……こんなお庭でそんな……)


 物凄い妄想である。


「…………っ!」


 我に戻った緑が、ゆっくりといろはから離れる。緑の熱が薄くなり、トリップしていた脳内が現実に戻った。


「……みーくん?」


「…………………」


 いろはから離れた緑は、自身が取った行動について不思議に思っており、自身の両手をずっと見つめていた。


(…………なんだ?)


 眉を顰める。じっ、と見つめていた両の手にいろはの手が重なった。


「……みーくん?」


 すっ、と顔を上げる。そこには緑を少し心配そうに見つめるいろはの姿。そんな姿と、夢の中のいろはが重なった。


(………なるほど)


 スっ、と合点がいった。これはきっと昔取った杵柄と言うやつなのだろう。


「……なんでもない。悪いないろは。急に抱きついたりして」


「う、ううん!別に!なんならもっと抱きしめーーーこほん!なんでもないよ!」


「そうか……今日、久々にいろはの昔の夢を見てな」


「昔……………あぁ」


 それを聞いて、いろはも緑の行動に合点がいった。


「なるほど、癖だね」


 それは、子供の頃の記憶。


 いろはは、子供の頃からかなり虐められやすい傾向にあり、性悪のクソガキ共からよくちょっかいを出されていた。


 そして、虐められているところに翔太と緑が駆けつけ、緑が虐めていた奴らを容赦なくボコボーーー少し折檻をした後に、泣いていたいろはを抱きしめていた。


 ちなみに、そのクソガキの親は虐めていた息子が悪いんです!と言った感じで謝罪は求めなかった。


 とまぁそんな感じで、久しぶりにいろはが虐められていた夢を見た事により、その癖が出てきたということである。


(……ちょっと残念)


 これがいろはの好意を抑えきれなくなった緑の行動だったのなら、いろははどんなに喜んでいたものか。


「ゴメンな。今日の朝は俺が作るよ」


「気にしてないよみーくん。私も一緒に作るよ」


 と、二人は家の中に仲良く入っていく。


 そして、それを見ていた翔太と、緑の両親がのっそりと出てきた。


「……なるほど、息子も少しずつ意識はしていると……」


「うす。翔さん……」


「任せな翔太くん。君たちの作戦、ぜひ協力させてもらおう」


「あざーす!」


 こうして、翔太はドンドン外堀を埋めて行った。


 さて、次は一体何を画作しているのだろうか……。




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― 新着の感想 ―
[一言] 先生、高校生だったんですね。 球技大会、懐かしいです(о´∀`о) それにしても、その年で書いているとは… 私もこれから、より精進しようと思います! これからも応援しています!!!!!!
[一言] 更新お疲れ様です(^_^ゞ …無理はしないでくださいね…? 書くことがどれだけ大変か、 身を以て知っている身としては、 書いてくださるだけでありがたいです。 これからも応援しています!
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