魔王妃様のアへ顔は108式まで存在する
低位の魔族に属するスライムやオーク、ゾンビやスケルトンと言った者達と私が言葉を交わす機会など、【ステータスオープン】の研究でもしなければなかっただろう。
「ぷるぷる……ぼく、強いスライムじゃないよ」
スライムは何故、言葉を発する事が出来るのだろうか? もっとも、こやつらに知性などない。ただひたすら同じ言葉を発し続けるだけなので対話は成立しない。
「お願いです。大魔導元帥閣下、どうかオークを食堂に出荷するのだけはご勘弁ください。どうか、オークにも生存権を与えてください」
「食堂営業は私の管轄ではないのでなぁ。然るべき者に陳情するといい」
「そんな~」
オークやミノタウロスは沢山増える。人間の女やそうじゃない牝であっても交尾さえすれば手あたり次第に繁殖できるのがこやつらの強みであるのだが、増えすぎて魔族の食糧自給をひたすら逼迫させてしまうのが難点だとか。
限りある資源を有効活用するには、ある程度間引きもせねばならぬが故致し方なしというのが私の意見である。もっとも、こやつにそれを言った所で納得はせぬだろうし、力こそが全ての魔族において、力なき者は糧となるのが定め。集団が生まれればその中で割を食ってしまう者というのはどうしても出てくる。それがたまたまこやつらであっただけにすぎない。
「うーーーっ! うーーーっ! うーーーーっ!」
ゾンビ共は昼夜問わずうーうー煩い、しかも臭くて不衛生な上に食材にもならない。他の魔族達からあまりにも苦情が多すぎてこやつら専用の区画を用意しなくてはいけなくなったそうだとか。いっそ根絶やしにでもしてしまう方がよさそうだが、死人が出ると勝手に増えるのでそうも言ってられない。ただひたすら面倒な奴らである。
「カタカタ、カタカタ、ケタケタ、ケタケタ」
スケルトン、死後もひたすら働き続けなくてはならない事を考えれば、存在するというのはただそれだけで永劫の苦を背負う定めにあるのだろう。創世記から存在し続けてすっかりヨボヨボ爺になってしまった私も、もうじきこの者達の仲間になる日が近いのだろうか、なんとも諸行無常である。
「ふむ、【ステータスオープン】で幾つか意味を理解した文字がある」
【大魔導元帥】
年齢:6666歳
好きな物:魔王様、魔術研究
嫌いな物:神、天使、運動
職業:魔法使い
レベル:66
スキル:なし
ステータス異常:童貞
……etc
【年齢】と【数字】だ。オーク共の【年齢】が軒並み一桁であり、0年生から11年生までの個体に【ステータスオープン】を行った結果、【数字】が一致する事が判明した。確信に至ったのは、創世記から存在する魔王様の【年齢】と私の【年齢】が一致した事だろう。
「つまるところ【ステータスオープン】とは、世界の記憶に直接触れている。というわけか、ふふ、……なんとも悍ましき魔法よ。これと比べれば私の6千年以上という歳月をかけた魔の追求など児戯にも等しきことよな」
これ程簡単に一介の存在が世界の記録に触れるなどと、本来あってはならない。しかし、現にそれが出来てしまっている。そこから推測するに、神が転生勇者に与えたチートという力は、即ち世界の記録を改ざんし、凌辱し尽す力なのだ。
「……通りで魔王様が勝てぬわけだ」
食堂で苦い泥水を啜りながら今後の研究計画を練っていると、魔王妃様が近づいてこられました。
「あら、大魔導元帥、元気そうね」
「これはこれは、魔王妃様は本日も見目麗しゅうございます」
「ふふ、お世辞でも嬉しいわ。ところで、今のあの人の予定はどうなっているのかしら」
「魔王様もご多忙ですから、今はアークデーモンや地獄の君主を召喚する為に地獄に向かっておられますので2,3日は戻られないかもしれませんね」
実の所、魔王様は魔王城を空けていることが多い。私や四天王を除き、世界各地を統治している大魔諸侯達は隙あらば好き勝手な事をしだすので、それらをけん制するために魔王様が直々に出られる事もある。
「そう、あの人頑張ってるのね。ありがとう」
魔王妃様は、どこか嬉しそうにしておられた。魔王妃様は魔王城で一人寂しくしておられる事も多いのですが、魔王様の妃としていつも気丈に振舞っておいでです。
「魔王妃様」
「なにかしら?」
「【ステータスオープン】をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ええ、構わなくてよ」
「では……【ステータスオープン】」
【魔王妃】
年齢:230歳
好きな物:イケメン、種付けプレス、アへ顔ダブルピース
嫌いな物:魔王、汚いおじさん
職業:妃
レベル:23
スキル:なし
ステータス異常:妊娠中、托卵中、精液中毒
子供の数:8人
エッチの回数:6666回
経験人数:66人
現在交際人数:12人
称号:ドスケベ大好き丸
性癖:レイプ願望、ド変態アナル
……etc
「本当に変な文字が空中に浮かんででるのね~」
「ええ、実に摩訶不思議な話です」
救い? プライバシーの保護? あぁ? ねぇよそんなもん。