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5.お兄ちゃん系ロールプレイ

なんか違う、と思ったので大幅に内容を変更して再投稿しました。

そして、〈ストーリクエスト〉のクエスト目標を

【【ルアリラ鉱山】周辺を探索する】

【【ルアリラ鉱山第二階層】への扉を調べる】に変更しました。


混乱させてすみませぬ。

「おかえり、お兄ちゃん」

「……いつの間に、いたん?」


 村長の家で【アングリーボア】の換金を終え、消費したポーションを補充しようとボングルさんの店に向かっていると、いつの間にか隣にゆかりが並んでいた。

 右上に表示された時刻表を見てみると、今の【LOFO】内での時間帯は朝八時。周囲を見渡せば、【村】のNPCたちはそこかしこを行き交い、何人かは畑というには少々小さい敷地を耕しながら農業に勤しんでいる。ちなみに、シュプレさん以外のプレイヤーの姿は未だに見えない。

 故に、ゆかりがいること自体はおかしくないのだが、何の用があって俺の隣についているのか、いつの間にいたのか、それだけが不明だった。


「ふふっ、お兄ちゃんがいるところに私あり、私がいるところにお兄ちゃんあり、だよ」

「いや、さっきまで一緒にはいなかったよな? ……いなかったよな?」


 少し誇らしげに胸を張るゆかりの言葉にツッコミつつ、内心ビクビクしながら二度聞きする。

 なんだか、この子には異様な神出鬼没さがある。昨日の夜いつの間にか後ろを取られていたことといい、今回横に並んでいたことといい……この子、実はアサシンとかかなんかじゃないだろか。


 やや辟易とする俺を余所に、ゆかりは一緒に行こう? と言いながら横に並んで一緒に歩き始める。

 あ、付いてきますのね。正直良い香りとかしてきて精神力とかがかなり限界なんですが。一度見たからって、美少女相手に耐性が付くなんて思わないでほしい。

まあ、そこまでの距離は歩かないし、少しの間ゆかりの兄としてのロールプレイを楽しむのも悪くないか。


「お兄ちゃん、これどこに行ってるの?」


 分かってなかったんかい。


「ん、ボングルさんの店。ポーションを買いに行こうと思ってさ」

「ふーん……あ、お兄ちゃん朝ごはん食べてなかったよね。サンドイッチ作ったけど、食べる?」

「食べる」


 ゆかりの手からサンドイッチを受け取り、食べてみる。

 そのサンドイッチはコッペパンに切れ込みを入れて具を詰め込むタイプだったが、堅めのパンとソースの掛かった何らかの肉の塊の濃いめの味が絶妙にマッチしていた。

 毎回思うが、ゆかりの料理はめちゃくちゃ美味い。男の心を掴むならまずは胃袋を掴めとはよく言ったものだと思う。心を掴むとは言っても、俺の場合恋愛的な意味というより、推しに向けるソレ……いや、それも違うか。家族的な意味だと思っておこう。


「ゆかりは立派なお嫁さんになりそうだな」

「そう? えへへ……嬉しいな」


 サンドイッチを食べ終わった後にそう一言口にすると、ゆかりはにへらと頬を緩めた。可愛い。普段やたら落ち着いた顔をしている分、こういった年相応の顔を見せられるとキュンと来る。


 にしても今の言葉、結構お兄ちゃんっぽくなかったか?


 ふふっ、と少し得意げな気持ちになった。


「……そういえば、お兄ちゃんさ。さっきまでどこに行ってたの?」

「ん、ああ、村長とこに行ってたよ。素材換金にな」


 売った素材とは言うまでもなく【アングリーボア】の毛皮やら牙やら肉やらである。

 ちなみに、8000ゴルくらいで売れた。前回より少ない。

 まあ、《クロック・ワークス》による状態異常戦法のテストを兼ねての狩りで、前回に比べて素材の量は減っているため納得の額ではある。

 別に純粋なお金稼ぎが目的ではなかったから、まあこれで十分だろう。

 すると、ゆかりは俺を、いや、俺の【ボアシリーズ】を指さして首を傾げた。


「じゃあ、それは……村長さんに貰ったの?」

「ああ、これは自分で作った。ここの【村】、防具屋がないからな。もう自分で作っちゃえって」


 よくよく考えると、この自分の思考回路はかなり謎だと思う。

 まあ、戦力を自給自足できるに越したことはないとは思うが。自給自足……そういえば、【LOFO】に【テイマー】みたいな職業あるかな。あったら、自分の軍団みたいなのを作ってみるってのも……。

 あ、でも今の俺のバトルスタイルからすると相性悪いか。《ポイズン・グレネード》とか自分もくらうし、多分それだと従えたモンスターも状態異常をくらってしまうもんな。


 そんな俺を見て、ゆかりは一言。


「なんか、カワイイよね」

「カワイイ?」

「うん。だって、全身毛皮なんだもん。モフモフで、とっても可愛いよ」


 そう言って、ゆかりは撫でるように【ボアシリーズ】の毛を撫でてくる。

 毛皮か……俺の印象はどちらかっていうと雪男なんだけどな。まあ、認識自体にそこまでの違いはないけど。


 にしても……


「ゆかり、撫でるの、やめてくれ。結構、気持ちがいい……」


 なんだ、この、猛烈なる安心感は……。

 【ボアシリーズ】の毛に神経が連動しているのだろうか。ゆかりの指触りが、直接皮膚を撫でてくるような感覚を与えてくる。その感覚は、まるで風当たりの良いところで耳掃除をして貰っているようで、とても心地がいい。

 思わず、足が止まるほどに。


「ふふっ……この手触り……」


 しかしそんな言葉を発する俺に反して、ゆかりは意地の悪い微笑みを浮かべながら、ボングルさんのポーション屋に行くまでずっと、俺の(【ボアシリーズ】の)毛を撫で続けていた。


◆◇◆◇◆


 その後ボングルさんのとこでポーションを購入し、ゆかりとは一旦別れた。何でも、村長に用が出来たとか。

 少し残念な気持ちだったが、何か思いついたような様子でご機嫌だったのでまあよしとしよう。


 一方、ボングルさんのポーション屋では新たな回復ポーションが追加されていた。


―――――

【お手軽な回復ポーション】

≪効果≫HPを150回復する

≪概要≫【安価な回復ポーション】をさらに使いやすいように効果を高めた一品。値段はお手軽で、一般家庭の常備品によく使われる

≪Recast time≫30s

―――――


 回復量150ってのは便利だな。なにせ、一回使っただけでHPの50%を回復できる。《気合の踏ん張り》が発動するちょうどのラインだ。ぜひ使わせてもらうことにする。


 あと、俺が今まで使ってたポーションって家庭の常備品以下だったのか。


「……暇だな」


 【村】の真ん中の広場で、ベンチに座りながら独り言ちる。

 ゲーム内で暇ってのもなかなか変な話だが、要するにやることがないのだ。


「シュプレさんは……ログアウトしてるのか」


 フレンドリストの【追跡】機能でシュプレさんの位置を確認したが地図には何も表示されず、プレイヤーネームの横には【ログアウト】という灰色の文字。

 これでは、頼まれていた仕事をやる時間まで猶予は有り余る。

 《鍛冶》のレベル上げをしようにも、あれは少々お金の消費が激しい。それに、今はゲームを素朴に楽しみたい気分だ。

 つっても、フィールドでレベル上げをしようにも今更……。


「……だったら、〈ストーリークエスト〉進めてみるか」


 【村人】レベル50、【ムラビート】レベル42、合計レベル92。攻撃手段だって手に入れた。だったら、そろそろやってみるのも良さそうだな。えーと、クリア目標って何だったっけ?

 【クエスト】画面を開く。


【【ルアリラ鉱山第二階層への扉を調べる】 0/1】


 あーこれこれ。確か、第一階層は調べたけど、第二階層への道が閉じてるみたいな話だったっけ。

 成人したからといって1人の【村人】に助っ人付きとはいえ事件を任せるのはあんまりな気はするが、それも一種のご都合主義ってやつなのだろう。


「よし、じゃあ行くか」


 そう言って、俺は【ルアリラ鉱山】へ歩き始めた。

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