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プロローグ
その場所は、闇に溢れていた。
いつもなら、その中心部に闇が具現化した『者』がいるはずだった。
だが、いない。
ある場所は、静寂だった。
いつもなら、その中心部にある岩に『剣』があるはずだった。
だが、ない。
見守るはずの『者』もいない。
払うはずの『者』もいない。
闇は溢れだし、ドゥーネ王国を浸食していく。
闇が溢れだす十数年前、ドゥーネ王国に光が降り注いだ。
二つは教会の前へ、一つはとある農村へ。
もう一つは森へと降り注ぐ。
光は自由に生きる。
自分の『意思』で生きる。
一つの光は、宿命を忘れている。そんなもの最初から自分の中にはないかの如く。
一つの光は、目に見えるすべてを楽しんでいる。自分が何者かも知らず。
一つの光は、竜に宿る。以前の形を忘れ。
一つの光は、すべてを零にし、自分も零にした。そして全て忘れ笑う、幸せそうに。
それぞれの『意思』で生きる。混沌としてきた王国で。
分かれていた光がもう一度集まる。
宿命ではなく、自分たちの意思で。
さあ、始めよう。冒険を。
すべてを壊し、始めよう。