第7話 ことの発端
暇な時にでもお読みくださいませ。こちらは前回と少々変わって別視点からでございます。
少年は、ため息をついた。少年は、とある作業
場に随分前から勤めている、いわばベテランだっ
た。その経験の中でも、指折り数える程度の回数
しかない、極めて珍しいことが起こっていた。
独房から逃げ出し、この作業場を襲撃するため
だけに計画を練ってきたのであろう不届き者達が
この作業場を占拠している。確かに、ここは特に
重要な物を生産する場所だが、だからといってそ
れを生産するのはここだけではない。大した損害
も与えられないまま、この襲撃者達は独房に戻さ
れるだろうと少年は考えていたが、その内、要求
を提示してきた。
その要求とは、この作業場の構造を詳しく説明
しろ、というものだった。不幸にも、最近入って
きた新人の少女が選ばれてしまったが、少年はそ
れを仕方ないと思っていた。なぜなら、ここは新
人が高確率で事故を起こしその命を落とすという
ことが頻発していたからだ。故に、顔見知り同士
も多く、新人を生け贄にするのは残酷ながらも当
然といえた。
少女は襲撃者達の要求を拒否し、大量の切り傷
を作られていた。少年の素人目から見ても、今に
も事切れてしまいそうな状態で、今から急いで応
急手当てしても間に会わないだろうと少年が思っ
た時、突然襲撃者の一人が倒れた。
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