表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅い女帝はなんかあれ  作者: 名もなき詩人
1/2

女帝と宰相

『ガンマ大陸』の南東部を統治する吸血鬼の帝国『スカーレットエンパイア』。

この国は今、大きな危機に瀕していた…


「…あの女(皇帝)はどうした?」

「まだ城の外の情報に触れた気配はありません」

「なるほど、引き続き警戒にあたれ」

「はいっ!」

ダッ!

「…あの女(皇帝)のことだ…そろそろ外を見たがるだろう…まあ、そうなったら牢にぶちこめばいいだけのことだがな…」


この不穏な言葉を話すのは帝国宰相、アンド・ル・キトラーである。

彼は四代皇帝を決める際に、

『正統な血筋の者を皇帝にして国民の不安を消すべきだ』と進言して皇帝に取り入ったあと、すぐさま自分の賛成派で議会と閣僚を統一し、大陸を巻き込んだ戦争をおっぱじめた悪魔である。

しかしだ、彼から外の情報が皇帝に渡ることはない。

彼を殺しても彼の腹臣が新たに悪政を始めるだけだ。

それほどまでに皇帝に取り入られているのだ…

さて、皇帝側に向かおう。


「…」ペラッ

「皇帝閣下、紅茶の準備が…」

「ありがとう、ここへ」

「はい」

「あ、それと外の様子は?なんだかやな予感が…」

「それは杞憂でしょう、皇帝閣下」

「ならいいわ、下がって」

「はい」


このように刷り込みなのか、はたまた金メッキの王冠と言うべきなのか、虚像を女帝は見ているのである。

しかし、彼女も決して鵜呑みにするようなアホではない。

彼女なりに嘘に気づいているのである。


(…あれは嘘ね…人間ならともかく吸血鬼の能力に聴力強化の魔法で遠くの音、それも貧困と疲弊にやられた国民の声が聞こえないと思って?しかしこの城の大半があの男の息がかかってるとしたら…私が殺されるかあの男が死んでも跡を次ぐ存在が私を押さえつけるかの二卓ね…とりあえず脱出の方法を…)


このような具合である。

因みに彼女の推論はほぼ的を射ている。

実際城にいる人間の大半はキトラーの息がかかっており、とてもではないが素手の彼女一人では太刀打ちできないであろう。

では、彼女に家族は?との疑問が浮かぶだろう。

しかし彼女は正統なる皇位継承者の最後の一人ともいえるのである。

吸血鬼故にあと50年は待たぬと子を孕んだら違和感を持たれる体~

紅く長い髪と目。

白く透き通る肌。

黒い蝙蝠を思わせる大きな、しかし任意で消せる羽。

人間なら14~15歳ぐらいの体格。

まだまだ成体とは言えぬだろう。(羽はともかく人間と似た部分は)


そのため彼女は悩んでいた。

早くこの大陸戦争を集結させ大陸に平和を取り戻すことを。

しかし目の前には自分を押さえつける悪魔のような男がいる。

彼女は今日も悩み、幻想の王子に助けを乞うだろう…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ