3:、妹、来襲す その5
「それじゃね、アンザーク」
ジークリットが手を振って、エロイーズと戦闘用ゴーレムを連れて出ようとする。
「あ! そうだ!」
ドアを閉めようとしたジークリットが慌てて、ベッドに寝転んだアンザークを見る。
「この子の名前聞いてなかったね」
「ううっ……名前なんぞ、ないぞ。だいたい、そいつは――」
戦闘用ゴーレムだと言おうとして口をつぐむ。それを言えば自分の正体がバレると気づいたのだ。
「え? あ……ひょっとして、この娘も名前が……」
が、ジークリットはそれを別の意味に解釈して、こちらも口をつぐむ。
「それじゃ、わたしがつけてもいい?」
「……好きにしろ」
ジークリットは戦闘用ゴーレムに屈み込むと、ジッと見て、腕を組む。
「だったらね~。ようし、サナラちゃん! どう?」
「……サナラ。了解。個体識別名サナラで登録」
いきなり無表情になって戦闘用ゴーレムはつぶやいた。
「こたいしきべつ?」
意味不明な表情でジークリットは眉を寄せる。
「気に入ってくれたのかな?」
「喜んでるで、多分。なあ?」
エロイーズが戦闘用ゴーレムに恐る恐る訊く。正体を知っているだけに腫れ物にさわるレベルだ。
「ええ、気に入ったわ」
戦闘用ゴーレムは元に戻ってお嬢様っぽい笑顔を浮かべる。
「ん。よかった。じゃあ、行こっか」
ジークリットはうなずくと、三人で男子寮を後にした。
「なんなのだ、あの戦闘用ゴーレムはーっ!? ううっ……」
アンザークはまだ腹を押さえてベッドに突っ伏したまま、呻きのような叫びを上げた。




