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2:淫魔、奉仕す その7

    4


 下半身に妙な感じを覚えて、アンザークは目を開けた。

 まだ窓の外は暗い。カーテンが揺れているのは窓が半開きになっているせいだ。

 くすぐったいような、じれったいような、そして、熱い塊が股間に膨れ上がってくるような感覚。

 エロイーズが足の上にまたがり、顔を股間に埋めていた。


「おふぁんでふ」


 目が合うと、くぐもった声で爽やかな挨拶。


「なにをしてる?」

「なにって、ウチ、サキュバスやから、ご奉仕ご奉仕!」

「なにがご奉仕だ。やめろ」

「気持ちええやろ?」


 エロイーズはなおも豊かな胸に挟んだものにぬらぬらとした舌を這わせる。


「だいたい、それは食い物ではないぞ。意地汚いヤツだな」

「食べへんよ? ウチが食べるのは、これから出てくる白いもんだけやし」


 エロイーズはそう言ってアンザークの股間を舌先で突いた。


「魔王はんが友だちには手を出すなゆうたやんか」

「だからって、オレに手を出すヤツがいるか!」

「魔王いうんやから、きっと精力も凄い強いと思て。ウチが採るくらいやったらたいして減らへんやろ?」

「精力だと?」

「またまた~。かまととぶって。魔族の女ヒイヒイ言わしとったんやろ? こんなちっこい体でもスゴいんとちゃうの?」

「ヒイヒイ? なんだそれは?」


 アンザークは眉間にシワを寄せた。その表情を見てエロイーズが真剣な目になった。


「……なあ」

「なんだ?」

「まさかと思うけど、魔王はん、童貞なん?」

「どうていとはなんだ?」

「……女とこんなことしたことある?」

「おまえが初めてだぞ」

「……童貞なんや」


 エロイーズはぺろりと唇をなめ、アンザークの体の上を膝から腰に上がってきた。


「ほな、魔王はんの童貞いただきま~す!」


 アンザークは言いしれぬ殺気のようなものを感じて素早く逃げ出した。


「なんだかわからんが、おまえには童貞はやらん!」

「え~っ!? 初めてのは美味しいのに……。寝てる間に食べてしもたらよかったわ……」


 口惜しそうに言いながら、エロイーズはアンザークの股間を名残惜しそうに見つめる。


「それにしても、男の子は皆元気やのに、魔王はんのは元気ないなぁ」


 じーっとアンザークの股間を見つめて、エロイーズが人差し指でピンと弾いた。


「なにをする!?」


 アンザークは股間を守るためにベッドから降りると、タオルで隠してしまう。


「魔王はんて不感症なん?」

「なんだそれは?」


 シャツを着ながらアンザークは意味がわからないと答える。


「それとも、誰か好きな相手いてるん?」

「知らん」

「わかった。ジークやな」

「どうしてあいつの名前が出る?」

「名前つけてもろて、仲ええし、美人やし。まあ、胸はウチの方が大きさも形もええけど」

「そうか? あまり変わらんだろ」

「って、ジークの見たん?」

「ああ。さわってみたぞ」


 こんな感じだったかなと、アンザークは両手のひらでカップを作って、大きさと形を再現して見せた。


「で、その後は? 押し倒したりせんかったん?」

「押し倒してどうするのだ? 戦ってるわけでもないだろうが」


 不思議そうな顔をするアンザークに、エロイーズは首を振ってみせた。


「わかってへんなぁ。もし、今度そういう状況になったら、押し倒すんや。女はそういうのを待ってるもんや」

「そうなのか?」

「そや」


 自信たっぷりにうなずくエロイーズ。


「ふうむ……。人間についてはおまえの方がよくわかっているだろうしな」

「そら、長年、人間の精気を食べて生活してきたしな」

「わかった。次に会ったら試してみよう」


 うなずくアンザーク。


「おもろなってきたなぁ」


 後ろを向いたエロイーズはペロリと舌を出す。


「ほな、今夜のところは退散するわ」


 窓から飛び降りると、背中から羽を伸ばして女子寮の方へ飛び去った。


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