第10話 地下召集
ダウト先生の後を黙ってついていくと、狭い通路のような場所に出た。
湿っぽくて、ジメジメしていて、なんだか、通るだけで気分が滅入りそうな、そんな薄暗い通路。
別に地下に行くのが不安だというわけではない。
むしろ、教員しか入れないエリアとかロマンの塊でしかなく、好奇心がうずく。
ただ、今日1日にあったことを思い浮かべると気分が落ち込むのも仕方がないと思う。
突如としてなり出した警報音。
遠くから聞こえる誰かの悲鳴。
そして、ふざけたようなことを本気で言ってくる教師陣。
繰り出した足が棒のようだ。
疲労困憊とは、こう言ったことを言うのだろうな。
ボーッとする頭でそんなことを考えていると、ダウト先生の歩みが止まった。
目前には、年季の入ったどこかの市営病院によくあるような薄汚れた板戸にまるノブがついている扉。
その真横には、カードリーダーのようなものが配線がむき出しの状態で無造作に取り付けられている。
配線周りはすごくゴチャゴチャしていて、素人が後から無理やり取り付けました、と言った感じがひしひしと伝わってくる。
「なんか……すごいですね」
先生はカードリーダーに紋様が書かれたプラスティックの透明な板のようなものをかざしながら、微笑した。
「ここは普段、生徒が立ち入ることはないからね。みんな、見た目になんて気を使わないんだよ」
「まあ、使えてるからいいや、っていう感じですかね?」
「そうだね……」
気持ちがすっごいよくわかるよ。
僕も、そういうのあんま気にしないタチだから。
なんなら、片付けなんて絶対できないし……。
案外先生達も人間らしいところあるんだな、とかって思っていると、先生がドアノブを回して先を促す。
「はい。着いたよ」
その先にある螺旋階段を降りると、ひらけたホールのような場所に出てきた。
もうほとんどの生徒が集まっており、ホール内は喧騒に包まれている。
そして、その前方にはブル先生を含む何人かの先生達。
よく見ると、生徒の周囲にも、取り囲むかのように等間隔に教師らしき人物が並んでいる。
隣にいたダウト先生は、しまった、とでもいうかのように頭の後ろをポリポリとかいた。
「あー。僕らが最後だったみたいだね」
待たせたとかって言って統括に怒られないかな……。
とかっていう声がボソッと隣から聞こえてきたような声がするが敢えて無視した。
先生達も、色々大変なんだな……。
僕らはまだここの先生達のことをよく知らないけど、案外、みんな優しかったりするのかもしれない。
と、一瞬でも思った自分の考えをルシェルは数十秒後には恨むことになる。
そもそも、校舎内に実践演習だとか言って侵入者をわざわざ迎入れて、挙げ句の果てに管理不足で生徒に怪我させるような教師陣が優しいはずがなかったのだが、この時のルシェルはそのことに気づけないほどには疲れていたのだろう。
まあ、今まで見聞きしたことをまとめると、流石に施錠がのいていたことについては教師陣も予想しきれていなかったようだが。
そんなことは入学早々危険にさらされた当事者からしてみれば知ったところではない。




