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名付けの檻  作者:
10/10

第9話 その頃、教師たちは……2

 ルシェルたちがボードゲームをしていた頃、



地下管制室では……、



コープとティナがモニターを睨んでいた。



「・・・こいつら、ボードゲームしてますね」



モニターの中央に映し出されているのは1年の教室3クラス分。

3分割された画面の下半分では、生徒たちが扉をたたき、何やら叫んでいる様子が映っているが、その上の画面に映っているクラスだけ明らかに様子がおかしい。



明らかに遊んでいる。



「この状況で?」



「どこのクラスだ……?」



会話を耳についているインカムから聞いていた他の教師も驚いた様子だ。


通信に割り込んできたブルの声が苛立ちを含んでいる。


話を振られたコープは言葉に詰まった。


「・・・」


・・・あなたの担任のクラスです、


とか、言えるわけない……。



「早く言え。どのクラスだ?」



「・・・2組です」



「ったく……。

緊張感というものを少しは学んで欲しい。


・・・演習が終わったら一回締めときましょう」


ブルは短く舌を鳴らした。







それから、数分後……。


「そういえば、統括、最近喋ってませんね。

・・・インカム電源入ってますか?」


現場にいたダウトは戦闘開始直後ぐらいまではよく聞こえていたはずの統括の声が数分前から全く聞こえなくなっていたことに気がついた。


「統括?」


「・・・あぁ。ごめん。ちょっと考え事してて。


聞こえてるよ。大丈夫」


返事が返ってきたことにダウトはひとまず安心した。

が、すぐにその様子がいつもとは異なることに不安を覚える。


「統括、どうなさいました?

・・・考え事とは?」


統括が指揮中に他ごとを考えると言ったような事は考えにくい。

なんせ、彼が今、この現場を全て指揮しているのだ。

そんな暇はまずない。

そもそも、普段の統括であればそんなことは絶対にしない。



となると、考えられる可能性は……。



「なんかありました?」



何か、異常でも出たのか。

そう思って尋ねると、ようやく、統括が口を開いた。



「・・・遅すぎる」



「えっ?」


ダウトには、統括の言っている意味が理解できなかった。


他の教師も、統括の言葉を聞き漏らさぬよう、生徒の様子に気を配りながらも、耳だけそちらに集中させている。


「制圧に時間がかかり過ぎている。

動きも、連携も、武器も、全てが雑。本来であれば、すぐに決着はついているはず。


なんだけどね……。


侵入者の方が予想以上に粘っている。


それが、少し引っかかってね」


確かに、言われてみればおかしいような気もしなくはない。

が、数が多いということや、一部名付け能力者がいるという事を加味すると案外妥当な時間のような気もしなくはない。


「そうですか……」


まあ、統括は普段からあらゆる可能性を考えているから、何を考えているのかわからない節がある。


ただ、こういう時に統括が目をつけたところは大抵の場合当たるから、



「一応、警戒だけしておき……」


その時だった。

統括が声を荒げた。



「ヤバい!一年、外出てる!」






モニターを睨みつけながら、ラフはダウトの問いに答えていた。


自分が感じていた違和感をを伝える。


そして、その時、一年フロアを映したモニターで小さな影が数個動いた。



———は?



あり得ない。


そして、それがなんなのか理解した瞬間、彼は叫んだ。


「一年生、何人か外出てる。

動ける先生方、すぐに一年生の保護に向かってください!

担当は分散。各自、最寄りの一年生を回収」


次々と返答が入る。


「ダウト、北側の階段から向かいます!」


「ブル、南階段から行ってます。

そのまま、北階段まで抜けます」


「ラフ、了解」


短く答えると、ラフは続けて指示を飛ばす。


「コープ先生、施錠状況の再確認を。

二年フロアは?」


「コープ、ロック記録はあります!確実に!

2年含め、一年以外は問題ないです!全員フロア内にいます」


「コープ先生わかりました。

ティナ先生ドローン出してください。


演習の緊急停止を宣言!

侵入者の拘束をお願いします」


「ティナ、了解!」


「「「「了解!」」」」


その指示を最後に、中央棟に残っていた侵入者の姿は確認できなくなった。


はずなのだが、、、。


数十秒後、モニターに侵入者の姿が映った。


一年フロアだ。


それを追いかけているダウトの姿も。

 

「ダウト、現着です」

 

モニターに、侵入者と対峙するダウトの姿。

その直後、侵入者は吹き飛び、床に沈んだ。

 

「一年生一名保護しました。

目立った外傷はありません」

 

「よし」

 

だが、すぐに別の通信。

 

「こちらブル。別の一年が負傷。対応中です」


「怪我の様子は?」


「傷自体は浅いです。止血も済んでます」


「そうですか……」


「ダウトです。

施錠、やっぱりのいてます。

フロア内に侵入されてました」


「わかりました。



・・・この件は後日詳しく話しましょう。



ひとまず、全校を地下ホールに集めてください」


「わかり……っえ?地下ですか?生徒入れるんですか!?」


「緊急事態です。

安全装置が正常に起動する確証がない以上、地上校舎側に生徒を集めるのは危険。


何より、今回は不可解な点も多い。


僕ら教員の手が物理的に届く場所に置いておいた方がいいでしょう」


「・・・わかりました」


「ダウト先生は保護した一年、ブル先生は負傷生徒を連れてきてください。

ゴシック先生、エリナ先生は侵入者の制圧を、他の先生方は各自担当のクラスの生徒をお願いします」


「ブルです。2組どうしますか?」


「あー。そっか。

・・・どうしよっかな……」


「私が2組も一緒に連れてきます」


「ありがとうございます。

じゃあ、サイリン先生お願いします」






こうして、


教師たちは


施錠解除事件の後始末に追われていたのだった。


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