第2部 第2話：霧の獣
「セントラル・シールド」の夕暮れは、結界の光が赤く染まり、街に一抹の不安を投げかけていた。エーテル・フェニックスの討伐で魔力源が守られ、市場にはエアボードの音が響き、魔塩や食料の取引が再び活気づいていた。だが、キメラ生息地の禁呪の聖域から新たな魔力の波動が漏れ出し、住民たちの間に囁きが広がる。ギルドの五人──レオン、カイ、リオ、ガイア、セレナ──は、街の外れにある古い鍛冶屋で、武器に新たな魔法を付与しながら、次の戦いに備えていた。
レオンが剣に火の魔法を注ぎ、赤い髪を振り乱す。「フェニックスを焼き尽くしたぜ。次の奴も俺の炎で片付ける！」火の魔法の使い手は、黒いブーツを響かせ、自信に満ちた笑みを浮かべる。唯我独尊の心の裏で、街を守る使命感が強まっていた。
カイは水の魔法で剣を冷却し、青いコートを羽織り直す。「禁呪の波動が止まらねえ。俺たちの魔法とどう繋がってるんだ？」水の魔法の使い手は、冷静な目で鍛冶屋の炉を見つめる。過去の孤独を乗り越え、仲間への信頼が彼の頭脳を研ぎ澄ます。
リオは風の魔法で剣を軽量化し、金髪をそよがせる。「街の娘たちが俺を英雄扱いだ。次の戦いも華麗に決めるぜ！」風の魔法の使い手は、緑のマントを翻し、軽やかな笑みで場を和らげる。失恋の傷を力に変え、仲間への忠誠が深まる。
ガイアはハンマーを握り、土の魔法で剣を強化。「武器作るの、面倒くせえ……けど、街が家族なら頑張るか」土の魔法の使い手は、茶色のベストをだらしなく着て、怠惰な口調で呟く。過去の後悔が、仲間を守る意志に変わる。
セレナは癒しの魔法を剣にかけ、銀髪を指で遊ばせる。「私の癒しでみんなの武器もバッチリ！ 次も守るよ！」癒しの魔法の使い手は、赤いスカートを軽く揺らし、大雑把な笑顔で仲間を鼓舞。過剰癒しの代償を胸に秘める。
鍛冶屋の扉が勢いよく開き、軍の斥候が駆け込んできた。鎧に泥が付き、目は恐怖に揺れる。「ギルドの皆さん、緊急です！ キメラ生息地の霧の湿原で『ミスト・ビースト』が出現。食料の主要水源を汚染しています！」
レオンが剣を掲げ、「ビースト？ 俺の炎で灰にするぜ」と目を光らせる。
斥候は息を切らし、「霧と獣、竜のキメラ。体長二十メートル、霧で姿を隠し、毒の爪と酸の吐息で攻撃。軍の採取隊が全滅。水源が汚染されれば、街は一週間で干上がります」
カイが眉を上げる。「霧と毒か。俺の水で浄化できるか試すぜ」
リオが笑い、「霧なら俺の風で吹き飛ばす。娘たちを待たせねえよ」と身を起こす。
ガイアが渋々立ち、「また動くのか……面倒だが、街のためだ」と呟く。
セレナが拳を握り、「みんなの命、私が守る！ 行くよ！」と叫ぶ。
五人はエアボードに飛び乗り、結界の南東ゲートへ。リオの風とレオンの火でジェット加速したボードは、轟音を響かせ霧の湿原へ突入。カイの水で冷却、ガイアの土で強化、セレナの癒しで耐久力維持。湿原は濃い霧に覆われ、毒の水が泡立ち、異様な咆哮が響く。
湿原の中心に、ミスト・ビーストが潜む。獣の体に竜の鱗、霧が姿を隠す。目は緑に輝き、毒の爪と酸の吐息が周囲を侵す。軍の残骸が水に沈み、水源が黒く濁る。
レオンがボードを加速させ、炎の剣を振り上げる。「霧だろうが焼き尽くす！」火の波が霧を切り裂くが、ビーストが姿を消し、酸の吐息がレオンを襲う。ボードが腐食し、彼が叫ぶ。「くそ、姿が見えねえ！」
カイが水の魔法を放ち、「浄化だ！」水の渦が霧を押し流すが、毒の爪が水を汚染し、カイを弾き飛ばす。「この毒、俺の水を侵す！」
リオは風でボードを宙に浮かせ、「霧を吹き飛ばすぜ！」ジェット加速で突進、風の刃がビーストを捉える。だが、霧が再び姿を隠し、リオが方向を失う。「ちっ、どこだ！」
ガイアが土の魔法で湿原を固め、「封じる！」岩の壁がビーストを囲むが、酸の吐息が岩を溶かし、ガイアが転倒。「面倒くせえ……」
セレナが癒しの光を放ち、「みんな、毒を癒すよ！」光が仲間を癒すが、ビーストの霧が光を弱らせ、セレナがよろめく。「この霧、厚すぎる！」
ビーストの毒と酸が湿原を支配。霧が視界を奪い、エアボードが軋む。カイが叫ぶ。「霧を逆手に取れ！ 動きを誘導するんだ！」
リオが風を集中。「俺の風で霧を操る！」ジェット加速で霧を渦に変え、ビーストの位置を暴く。
レオンが炎を放ち、「そこだ！」火の槍がビーストの鱗を焼き、霧が薄れる。
カイが水を流し込み、「毒を洗い流す！」水流がビーストを弱らせ、酸を中和。
ガイアが土を隆起。「面倒だが、終わりだ！」岩がビーストの足を封じる。
セレナが過剰な癒しを。「私の力で！」光がビーストの毒を暴走させ、自滅。
ビーストが崩れ、湿原が静まる。水源が浄化され、軍の斥候が叫ぶ。「水源が救われた！ 報酬は水と魔塩を！」
レオンが剣を収め、「次の波動も俺が燃やすぜ」
カイが笑い、「禁呪の謎、近づいてるな」
リオが髪をなびかせ、「娘たちと祝うぜ」
ガイアが倒れ込み、「寝る……」
セレナが皆を癒し、「第2部も一緒に戦おう！」
街に戻る五人。だが、禁呪の聖域の奥で、新たな波動が蠢く。
