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異世界に逃げ込んだ犯罪者をPKするのが仕事です――ヒデンスター・ノヴァで命を狩る者  作者: 鳩夜(HATOYA)
第二部 第一章 開拓編

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EP99 脱出

 情報がそろったところで、まずは現状整理だ。

 俺たちは、テニスコート半面ほどの広さの部屋の中心にある檻の中に閉じ込められている。

 全力で叩けば破壊できるかもしれないが、問題はその外。壁沿いにうじゃうじゃと蠢くレールスパイダーたちが、まるで見張りのようにこちらを囲んでいる。

 おまけに天力を吸い続けられているせいで、まともに力を出すことすら難しい。


 うーん、と悩んでいると、メルヴェがぽつりと言った。


「ねえ、あっちに通路が見えるでしょ?」


 指さした先には、奥へと伸びる細い廊下がある。だが途中で暗くなり、先は見えない。


「あの先にね、天力を糧にしてる“コア”があるんだ。あれを壊せば、全部一時的に無効化できるかもしれない」


「なんでそんなことが分かるんだ? ここからじゃ見えないのに」


「オレンジユニットと視覚共有して、先まで見てきたの」


 なるほど……便利すぎる相棒だ。


「じゃあ、そのブレイズオーバーで壊せないのか?」


 メルヴェは困ったように首を横に振った。


「できるならとっくにやってるよ。コアの入り口に“ゲート”があって、通ると天力がすごく吸収されちゃうの。

 ユニットもその時点で無効化されて消滅しちゃうんだ。何度も試したけど無理だった」


 なるほどな……。


「でも、天力なしでもユニットは浮けるんだろ?」


「浮けるけど、その場合はボクの周辺しか動けないの。遠くまで飛ばせるのは天力のおかげなんだ」


「……たとえば、俺が天力を纏わせたら、奥まで届く可能性は?」


 メルヴェの瞳がぱっと輝く。


「それ、いいかも!」


 俺は頷き、オレンジユニットを出現させてもらった。


「剣に天力をまとう感じで……」


 掌に意識を集中させる。青白い光がゆらりと滲み、ユニットの表面に薄くまとわりついた。


「すごい……! 綺麗に纏ってる!」


「よし、これで行け!」


 メルヴェは集中し、小声で命令を飛ばした。オレンジユニットが一直線に通路を進んでいく。


「すごい! ゲートを超えた!」


 その直後、


「――ブレイズオーバー」


 メルヴェの声と同時に、遠方で爆発音が響いた。


 瞬間、周囲のレールスパイダー全ての体がびくんと痙攣し、電流が走る。

 それから、動きが止まった。完全に。


「……今だ!」


 俺は木の剣に天力をこめ、一気に檻を両断する。鉄柵が火花を散らし、床に崩れ落ちた。


「逃げるぞ!」


 メルヴェの手を引き、その場を駆け出す。


「そうだ、バッテリーも持って帰ろう!」


 メルヴェの言葉に頷き、青く光るバッテリーをいくつか回収。

 俺たちはまっすぐ出口の梯子へと向かった。


 だが、そこに来てメルヴェが足を止めた。


「ボクはここに残るよ……ここからは出られない」


「なんでだ? もう危険は去ったし、一旦村に――」


「大丈夫。助けてくれてありがとう……でも、たまには遊びに来て。危険な場所だけどね!」


 メルヴェは笑って手を振る。

 無理に連れて行くことはできない――そう判断して、俺は頷いた。


「わかった。また来るよ。いろいろ聞きたいこともあるしな」


 そう言って俺は一人、梯子を登り終え、

 村へ戻るその途中で――


「……っ!」


 全身の毛穴が一斉に逆立つ。

 冷たい悪寒が、背骨を走り抜けた。

 この感覚……間違いない。


 圧倒的な“天力”の気配。

 メルヴェのものではない。もっと鋭く、深く、重たい――まるで、空間そのものを歪ませるほどの力。


「くそっ……まさか――!」


 俺は即座に引き返した。

 梯子を滑り降り、再び暗い廃墟の奥へ――

 そこには、想像を超える“何か”が待っている気がしてならなかった。

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