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異世界に逃げ込んだ犯罪者をPKするのが仕事です――ヒデンスター・ノヴァで命を狩る者  作者: 鳩夜(HATOYA)
第二部 第一章 開拓編

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EP95 神の都

 村の奥へ案内されると、そこには三台の作業台が並んでいた。


「冒険者様……全部、動きが悪いんですが、特にこれが……」


 村長が一番古そうな台を指さす。俺は前に出て覗き込み、軽く触れてみた。


「これか……」


 創造の眼で見てみると、一つだけ際立ってエネルギーが枯渇しかけている作業台があった。

 なるほど……。やはり長年稼働させ続けていると、エネルギー切れを起こすらしい。

 俺の作業台はまだそこまでの域に達していなかったから、ちょっと想像が追いつかなかったな。


 そうやって少し考えていると、不意に視界にメッセージが浮かんだ。


 ――〈天力で稼働エネルギーをチャージできます〉。


「なるほど……」


 俺は頷くと、さっそく作業台に手を置き、天力を流し込んだ。

 次の瞬間、台全体がふわりと光を帯び、機構が滑らかに動き出す。まるで命を吹き返したかのように。


「わあっ! すごい! 神様の力を使えるの?」


 近くで見ていた子供が駆け寄ってきて、目を輝かせた。


「いや……これはまた違うやつだよ。たぶん、ね」


 子供の期待を裏切るわけにもいかないが、誤解を招くのも良くない。

 俺は曖昧に笑って答えた。

 ……神様。たぶん、彼らの言うそれは天族のことだろう。

 寿命がなく、不思議な力を使う存在。普通の人から見れば、確かに神様にしか見えない。


「村長、とりあえず神の都に向かってみるよ」


「……気をつけてな」


 短くそう言って、村長は俺を見送った。


 村を後にしながら、ふと考える。

 数十年に一度現れ、作業台に天力を注いでいったという人物……十中八九、天族で間違いないだろう。


 だが、なぜここに? この無人島に、どうして人々と共にいるんだ?


 行動から察するに、悪い奴ではなさそうだ。

 できることなら直接会って、話をしてみたい。

 ……まあ、それよりも先にやるべきことがある。


 まずはバッテリーのエネルギー採取だ。

 電子端末の中に、その「神様」の情報が残されているかもしれない。



 なぜ人が、しかも天族に至っていない者が、この島で暮らしているのか。

 神様とは、一体誰なのか。


 答えの出ない疑問が胸に渦を巻く。

 俺は頭を振ってそれを振り払い、北を目指して歩き出した。


・・・


 森の奥へと足を踏み入れた俺は、不意に視界が開けるのを感じた。

 鬱蒼とした木々が途切れた先――そこにあったのは、常識では考えられない光景だ。


「……なんだ、これ……」


挿絵(By みてみん)


 大地に口を開けた巨大な円形の穴。

 いや、正確には“穴”ではない。厚いコンクリートで縁取られ、さらに分厚い透明ガラスで蓋をされている。


 その下に広がるのは……見たこともない人工都市だった。

 高層の建物が林立し、鉄骨と配管が絡み合うように張り巡らされた街並み。

 だが、そこに人影はなく、崩れかけた外壁や赤黒い錆が都市全体を覆っていた。


 時折、ビルの窓奥で赤い光がちらつくが、まるで都市そのものがまだ生きているかのように不気味だ。

 思わずガラスに手を当てる。冷たい感触が掌を刺し、現実感を確かに伝えてくる。


 森に囲まれたこの閉ざされた世界――まるで、誰かが“都市そのものを墓標にして封じ込めた”かのように見えた。


「……ここに、何があったんだ……?」


 自分の声が、ガラスの向こうに吸い込まれていくような錯覚を覚えた。

 ――ん?


 どうやって中に入るかを考え、周囲を見渡す。


 すぐに見つかった。

 地面に埋め込まれたマンホールのような鉄板。中央に取っ手があり、力を込めて引き上げると、軋んだ音とともに開いた。

 そこには、黒く口を開ける縦穴と、錆びついた鉄梯子。どうやら都市内部へと降りるための通路らしい。


「人が出入りすることを想定して造られたみたいだな」


 慎重に足をかけ、梯子を降りていく。冷たい風が縦穴を抜け、頬を撫でた。

 やがて辿り着いた先は――端に建っている高層マンションの屋上部分。


 都市の中枢へと、俺はついに足を踏み入れた。


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