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異世界に逃げ込んだ犯罪者をPKするのが仕事です――ヒデンスター・ノヴァで命を狩る者  作者: 鳩夜(HATOYA)
第二部 第一章 開拓編

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EP85 グローバル世界へ

 南部レベル10エリア――虚界の門・最果て


「……相変わらずだな、ここは」


 眼前に広がるのは、何度見ても慣れない虚無の光景だった。

 何もないのに、すべてが吸い込まれるような暗い空間が広がり、その奥に確かに“境界”が存在している。


 キューイが作った抜け道は二つある。


 一本目はドワーフの抜け道・一巻。

 二本目は以前、俺が使った二巻。


 この二つを繋ぎ合わせれば、ほぼ直通でレベル10の最果てまで来られる。

 かつては命懸けで数ヶ月かけて挑んでいた場所に、今では数日で来られるのだから……


 ドワーフの技術には本当に驚かされる。

 俺は境界の前に立ち、深く息を吸った。


「さて……」


 ここが最果て。

 この“虚界”の奥に手を伸ばした瞬間、俺は天族になる。

 寿命の概念が消え、殺されない限りは永遠に生き続ける存在に――。


 どんな気分なのだろうか。

 不安がないわけじゃない。

 だが、それ以上に胸の奥で膨れ上がる期待と好奇心のほうが、遥かに大きい。


 迷いは……もう、ほとんどなかった。


「――キューイ、ネフィラ。先に行ってるぞ」


 小さく呟いて、俺は両手を虚空に伸ばした。

 冷たさも熱さもない、何もないはずの空気が、不思議な抵抗を返してくる。


 【すべての条件を満たしています】

 このまま10秒間触れ続けた場合、天族に覚醒し、転送が始まります。


 淡々と響くシステムボイス。

 俺はそのまま目を閉じ、じっと手を触れ続けた。


 そういえば――キューイが言っていたな。


「お主は元々、天力を持っておった。

わしがドワーフ族の天力を注いだとき、すぐ半覚醒状態になったのは前代未聞じゃ。

本来なら何度も天力を注がねばならん。じゃが一度でこうなったのは、お主が“そういう器”だったからじゃろうな」


 そして今。

 完全な天力覚醒を果たしたただの人族が、天族になったときどうなるのか――。

 その結果を、キューイは心底楽しみにしていた。


 もちろん、俺自身もだ。


(どんな世界が見えるんだろうな……)


 そう思った瞬間――


 10秒経過


 視界がすっと暗転する。

 全身が宙に浮いたような感覚に包まれ、意識が遠のいていった。

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