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異世界に逃げ込んだ犯罪者をPKするのが仕事です――ヒデンスター・ノヴァで命を狩る者  作者: 鳩夜(HATOYA)
第一部 第四章 真実

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EP70 DtEOの決着

 ファイルの入ったノートパソコンを手に、俺たちは無言で部屋を出た。

 エレベーターの沈黙が、妙に重たく感じた。


 社長室に戻ると、そこに瀬日田の姿はなかった。

 部屋は静かで、まるで最初から誰もいなかったかのような空気が漂っていた。


「……いないな」


 俺がそう呟いた時、ネフィラが机の上に何かを見つけた。


「……これ、手紙?」


 一通の封筒が、静かに置かれていた。

 差出人は瀬日田。宛名は、俺とネフィラ。

 手紙の中には、短い言葉が記されていた。



 すべてを君に託す。私はもう疲れた。

 無責任な私を許してくれ。



「……社長……」


 文字は震えていない。ただ、静かに終わりを告げるような書きぶりだった。

 ネフィラが不安げに俺を見つめる。


「ハトヤ……どうするの?」


「……探してる暇はない。情報を信じて、真剣に動ける奴はラフリットだけだ。一度、俺の事務所に戻ろう。連絡を取る」


 俺たちはノートPCを抱えて、ヒデン社を後にした。


・・・

・・



 ――同刻 地球・DtEO本部 ギルドマスター室


 ラフリットは分厚い書類を前に、無言で目を走らせていた。

 机に並ぶのは、戦況報告と損耗記録。


 最新の報告には──


『ルド=グデス、PK完了』


『DtEO側 被害者数:182名』


 成功の二文字が並ぶには、あまりにも犠牲が大きすぎた。


「く……!」


 ラフリットの眉間に深い皺が刻まれる。


 ──ルド=グデス。地球で捕らわれていた大犯罪者……。

 その討伐成功は、戦局にとって大きな意味を持つはずだった。


 だが──


「これで“勝利”と言えるのか……?」


 資料のページをめくる。

 そこには、ヒデンスター側で敗北し、"退場"となったDtEOメンバーのリストが載っていた。


 その中にあったのは──

 バレイ、リヴィエール、ラキル


 長年ラフリットと共に戦ってきた、信頼すべき同志たちの名だった。

 一人一人の顔が脳裏に浮かぶ。


 笑っていた時の、怒っていた時の、背中を預け合った戦場の記憶が。


 その時だった。

 端末が通知音を鳴らした。


 ──ハトヤからの緊急メッセージと、添付されたファイル。

 ラフリットは即座に中身を開く。

 そして──表示された内容に、言葉を失う。


『ヒデンスターノヴァ移住計画』

『黒き厄災と白き加護』

『二度目の攻撃』


「これは……!」


 彼の背筋が粟立つ。

 今、目にしているのはただのファイルではない。


 ──地球の命運を左右する、“真実”だった。

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