表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に逃げ込んだ犯罪者をPKするのが仕事です――ヒデンスター・ノヴァで命を狩る者  作者: 鳩夜(HATOYA)
第一部 第四章 真実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/115

EP66 ネフィラの未来

 俺は、ネフィラを救えただろうか。

 あの場で彼女を勝たせたのは、間違いなく俺の助力があったからだ。


 だが、それと同時に――

 肉親を、彼女の家族を地に落としたのも、俺だ。


 どんなに酷い連中でも……あいつらはネフィラの家族だった。


 予定通りの展開。

 完璧な証人と証拠。

 ネフィラの勝利と、親の失墜。


 全て計算済み。だが、それが本当に「正しかった」のか――答えは出せずにいた。


(でも……)


 過去の因縁は、断ち切れた

 そう信じるしかなかった。


「ハトヤ……ありがとう」


 ネフィラは、静かに、でも確かな声でつぶやいた。


「いや。俺は何もしてない。頑張ったのは、ネフィラだよ」


 そう言って笑いかける。

 すると、ふと俺の目に――テーマパークのチラシが飛び込んできた。


 ピエロのマスコット。キラキラと光る観覧車。

 子ども向けのキャッチコピーが、なんとも懐かしく感じる。


「なあ、ネフィラ。遊園地とか、行ったことあるか?」


「……一度も、ない」


 彼女はわずかに目を伏せた。


「じゃあ、今から行かないか? 地球でしかできない遊び、俺が全部案内するよ」


 そう言った瞬間、ネフィラの表情がぱっと明るくなった。


「……行きたい! でも、ヒデン社は?」


「別に急ぎじゃない。今だけは、休もう」


 その日、俺たちは一日中遊び歩いた。


 ネフィラがはじめて乗るジェットコースターで絶叫し、

 観覧車の上で見た夕焼けに静かに息を飲み、

 パフェを一口食べては「甘い……」と感動した顔で何度もうなずく。

 世界は、彼女の知らなかった幸せで溢れていた。


 過去を断ち切っただけじゃない。

 これからの未来を、ちゃんと歩ませたい。


 そう、強く思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ