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異世界に逃げ込んだ犯罪者をPKするのが仕事です――ヒデンスター・ノヴァで命を狩る者  作者: 鳩夜(HATOYA)
第二部 第一章 開拓編

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101/119

EP101 脱出後

「ハトヤ……ありがとう……!」


 廃墟を離れた直後、メルヴェは俺の胸に飛び込んできた。

 その小さな体を抱きとめながら、ほっと息をつく。


「友達を助けるのは当たり前だろ。それより──ここから出られなかったってのは、さっきの奴のせいか?」


「うん……。ここから出ようとすると、あいつに気配を察知されてすぐ殺されるの。

 でも“深淵の空の日”──空の星が全部消える夜だけは、外に出てもバレなかったんだ」


「星が消える日、か……そんな現象があるのか」


 純天族。

 秩序を守る存在と名乗ったが、あの視線、あの圧力──ただの監視者ではない。

 俺の中で、警戒の糸がまだ張りつめていた。


「どちらにしても、もう出られるなら村へ行こう。みんな心配してた」


「うん!」


 そうして俺たちは並んで、村へと向かった。

 村の門をくぐった瞬間、周囲がどよめいた。


「おおっ、先導者様が帰還なされたぞ! ……神様もご一緒だ!」


 瞬く間に人々が集まり、村中が歓声に包まれる。

 俺たちはそのまま兵士に案内され、村長の家へと通された。


「よくぞ……よくぞ無事で……! 神様も、本当に……生きておられたのか……!」


 村長は涙をこぼしながらメルヴェの手を取った。


「村長、何度も言ってるけど、“神様”はやめてよ。ボクは普通の人族(?)だから……」


 メルヴェが照れくさそうに笑う。

 俺は苦笑しながら、持ち帰った青いバッテリーを村長に差し出した。


「これを。あまり多くは取れなかったが、少しでも役に立てば」


「おお……! ありがたい……!」


 村長の目が輝く。

 だがその横でメルヴェが指をぴっと立てた。


「ねぇ村長、お礼にタブレットちょうだい!」


「もちろんじゃ!」


「えっ? それじゃあ何のためにエネルギーを持ってきたのかわからないだろ」


「よいのじゃ。タブレットは儂らには不要じゃ。それにの、この青いエネルギーには別の使い道がある」


「そうなのか?」


「うむ、とにかく……バッテリーを作るかのう」


 村長は作業台に向かい、手慣れた手つきで青いエネルギーを流し込む。

 淡い光が木製の装置を満たし、やがて一つの筒状のバッテリーが完成した。


「──できたぞい!」


 メルヴェがそれを受け取り、満面の笑みを浮かべる。


「ありがとう村長! これからもちょくちょく作業台のメンテに来るからね!」


「おお……神様、感謝いたしますぞ……!」


「だから神様って呼ばないでってば~!」


 そう言いながらメルヴェは俺の手を取り、村の出口へと歩き出した。


「え、ちょっと。村に残らないのか?」


 俺が問いかけると、彼女はむすっとした顔を向けてくる。


「ボクがついてきたら、迷惑なの?」


「いや、そんなことはないけど……」


「ならいいでしょ、一緒に行っても! あの廃墟はずっと嫌な匂いがしてたし、

 村も“神様”とか呼ばれて落ち着かないんだもん!」


 頬をふくらませながら、メルヴェは俺の手をぐいぐいと引いた。

 その力に思わず笑いがこぼれる。


「わかったよ。じゃあ俺の拠点に戻ろう」


 そう言って俺は、肩の上で眠っていた小さなはむまるの頭をそっとなでた。


「きゅ!」


「はむまる、二人だけど行けるか?」


「きゅきゅ!」


 元気よく鳴くと、はむまるの体が一瞬で光に包まれ──

 次の瞬間、巨大な金色のハムスターの姿に変わった。


「わ、わああっ! か、かわいい……!」


 メルヴェが目を輝かせ、毛並みを撫でる。


「だろ? 大きくなれるのは一時的だけどな。拠点に戻ったら、また遊んでやってくれ」


「もちろん! うわぁ……ふわふわだぁ……」


 そうして二人ではむまるの背に乗り、風を切りながら帰路についた。

 夕暮れの空の下、遠くで沈みゆく光が赤く地平を染めている。


 その光の中で、メルヴェは小さく呟いた。


「ハトヤ、ありがとう。ボク、もう一人じゃないんだね……」


 俺は何も言わず、ただ頷いた。

 ――静かに、はむまるの背が夜風を切って進んでいく。

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