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異世界に逃げ込んだ犯罪者をPKするのが仕事です――ヒデンスター・ノヴァで命を狩る者  作者: 鳩夜(HATOYA)
第二部 第一章 開拓編

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EP100 純天族

 すぐにメルヴェの姿を見つけた。

 だが、同時に“奴”の存在にも気づき、息を殺す。


 メルヴェの目の前に立つ男。

 右の掌の上には、正四面体の三角形状のキューブが浮かび、そのまま男自身も宙に浮いている。

 人より尖った耳、雪のように白い肌。まるでこの世のものではないような存在感。


「ようやく姿を見せましたか。秩序を乱した最後の逃亡者」


 静かに響いた声に、メルヴェは怯え、言葉を失っていた。

 このままでは殺される──そう直感した俺は、迷わず姿を現す。


「メルヴェ! 探したぞ、ここにいたのか! えっと……その人は?」


 男はこちらを振り向く。キューブの先端が、ゆっくりと俺を向いた。


「人族の先導者ですね。そちらの種族に会う予定は無かったのですが……」


「あなたは一体?」


「私は純天族。この世界の秩序を守る者です」


 その声音は穏やかで、笑顔すら浮かべていた。だが、その奥に潜む威圧感は尋常ではない。


「目の前にいる未来人族は、君たち人族が入植する予定だったこの無人島を荒らしました。

 よって、すべて処分した……と思ったのですが、生き残りがいたようですね」


 メルヴェを見下ろしながら、純天族は冷ややかに告げる。


「さて、あなたは離れなさい。巻き込まれますよ」


「待ってくれ! 純天族様、彼女は俺の仲間だ。一緒にこの島に入った!」


「……仲間? ですが明らかに未来人族の天力を感じますが?」


「この遺跡は未来人族が作ったものですよね?

彼女には長くここを調査してもらっていた。……そのせいで誤認したのでは?」


「ふむ……」


 純天族は少しだけ沈黙した。

 そして次の瞬間、淡い光を放つキューブを握りしめながら言う。


「もし一つでも嘘があれば、あなたは今すぐ消滅します。先導者の権利は次の者に移るでしょう」


「嘘はついてない!」


 俺はメルヴェを抱き寄せ、そっと耳元で囁いた。


「これを使え」


 自分のキューブを手渡し、背中でその動作を隠す。


「どうすれば信じてくれる?」


「キューブを見せてもらえれば、一目でわかります」


「なら、メルヴェ。出してみろ」


 俺の背後から現れたキューブは、六面体の構造をしていた。

 そう──俺のキューブだ。


「……確かに。未来人族の正八面体とは異なりますね」


 純天族はじっとそれを見つめ、やがて小さく笑った。


「まあいいでしょう。我々としては、この島がしっかり開拓されればそれで構いません」


「よかった。行こう、メルヴェ!」


 二人でその場を離れる。だが──


「おい、見逃してよかったのか?」


 空間が歪み、もう一人の純天族が姿を現した。


「ドワーフ、エルフ、未来人族……彼らは皆、排他的思想でした。だがそれでは先に進めない」


「何が言いたい?」


「彼の纏う天力、見ましたか?」


「人族だろ? しっかりは見てないが……」


「私は、いくつかの種族の天力を感じました。

 また、彼女を守ったあの態度──称賛に値します」


「……だが、見逃す理由にはならねぇだろ」


「私は現状に飽き飽きしている。この終わりなき戦争状態に、ね」


「……ふん。確かに、それは同感だ」


「ならばよい。この島は傍観としましょう」


 そう言い残し、純天族の二人は光に溶けるように姿を消した。

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