3.月の女神ディアーナの化身
「コンロ!」
ジューーーー
肉の焼けるいい匂いだ。
ジュル。
おっと、よだれが垂れてまう。
「いい匂いだね。」
「ああ、そうだな。さっきからお腹が鳴り続けてる。早く焼けてくれー。」
そんなことをマジな顔して言っていると、アルベルトが笑った。
「はははは。ほんとにレイモンド様はお貴族様っぽくないよね!」
その通り。
俺は中流階級、しがない地方公務員だ。
貴族なんて柄じゃないんだよね。
こんなふうにバーベキューの肉にかぶりついている方が好きだ。
もちろんフレンチやイタリアンみたいな料理も好きだが、この世界の料理は基本的にイマイチだ。
まず、毒味をしなければ食べさせてもらえない。
つまり冷めたご飯を食べることになる。
まあ、それだけうちの家が大きい家だということなんだろうけど。
今度は温め直す魔法も作るか。
『レンジでチン』とか。
「おおい、レイモンド様!お肉焼けたよー。」
「あっ、ああ。すまない。」
「別にいいよー。じゃあ。」
「いただきまーす!!」×2
うまい!!たまらんなあ。
焼きたての肉最高!!
ヒャッホウ!!
「でも、レイモンド様ってよく考え事してるよね。集中しだすと周りが見えなくなるというか。」
「それはな。長い間、誰とも会話できずに、1人で自己内対話をしていた結果なのだよ。」
「じこないたいわって何?」
おっと、アルベルトは6歳だ。もうすぐ7歳になると言っていたから、年齢は1個上だが、学年で言うと二つ上の小学1年生だと思う。
そしてアルベルトはかなり賢い方だ。
(うちのクラスにもこんな子がいたら良かったのに。)
とはいえ、実際は35歳の俺とは比べるまでもなく、知識量は少ない。もちろん語彙力も。
使う言葉には気をつけないとな。
「ああ、自己内対話っていうのは自分自身と話をするということだよ。心の中で、『お腹すいたな。』『いやさっき肉食べただろ?』とか話すんだ。」
アルベルトが俺をじっと見つめる。
「レイモンド様、大丈夫?何か悩みがあるの?」
「ちがーーーーう!!」
どうやらヤバい奴認定されたらしい。
「それと、何度も言うが俺のことは『レモン』って呼んでくれ!!」
「ああ、ごめんよ。どうしても慣れなくて。気をつけるよ、レモンくん。」
ふう。危うく、初めての友達に心が病んでいる奴だと思われるところだった。
残った肉を食べていると、
「それにしても、レモンってあだ名は誰がつけたの?こんなこと言ったら怒られそうだけど・・・。」
「酸っぱそうな名前だって?」
「あっ、うん。ごめん。怒った?」
そう言って俺の方をチラチラと見てくる。
「そんなことで怒らねえよ。『レモン』っていうあだ名は、俺の専属の召使いのジュリアっていう子がつけてくれたんだ。」
「子ってことは、僕たちと同じくらいの歳なの?」
「いや、この前21歳になった。」
「えええええ。そんな年上を子って呼ぶの?」
ふっふっふ。
「俺からしたら21歳なんてまだまだ子供みたいなもんだよ。ふっ。」
「ぷっ。あははははは!」
大爆笑しやがってるな、こいつ。
「おい、アル!何が面白いんだよ?」
「レモンくん、君5歳でしょ?それが21歳を子供みたいなもんだって面白すぎ!はははは。」
そういえばそうだった。
「全くだ。ははははは。」
ひとしきり2人で大笑いした後、
「でも、時々レモンくんが見た目の歳に見えない時がある。本当は、何十年も生きているお爺さんなんじゃない?」
おお、鋭いな。
「馬鹿野郎!俺はピッチピチの5歳児だ!!」
ほっほーい。ぶりぶりー、ぶりぶりー、ぶりぶりーで有名な幼稚園児と同い年だぞ!
「あははは。あーーー笑いすぎてお腹が痛いよ。」
「全くだ。それじゃあ、薪を拾って帰るか。」
「そうだね。」
そう言って、俺たちは薪を拾いながらアルベルトの家に向かった。
「じゃあな!」
「うん、また明日。」
そこから家に向かって歩いていると後ろから気配が。
「レイモンド様。」
「なんだ?」
「今日もアルベルトと楽しそうに遊ばれていましたね。」
「ああ、今日もいい1日だった。」
俺たちは家に向かってトボトボと歩く。
夕日が赤く光っていて、寂しさを演出してくる。
(カラスが鳴いたらかーえろ♪)
んっ?
なんか違うような。
(カラスと一緒に帰りましょ♪)
ああ、こっちが正解っぽい。
なんてまた1人で考えていると、
「本当にこのままでよろしいのでしょうか?」
セドリックが足を止めた。
「何がだ?」
俺が聞き返す。
もちろん答えはわかっているが。
「リュナ様は毎日倒れるくらいまで訓練をしています。カルラからはリュナ様がどんどん成長しておられると聞いています。」
「そうか。」
俺はそう言いながら歩き続ける。
するとセドリックが走ってきて俺の前に立ち塞がった。
「家の者たちがなんと言っているか、ご存知ですか?レイモンド様のことを『遊び人』とか『ば◯殿』とか『養子確定』とか言っているんですよ!!私はそれが悔しくて悔しくて!!」
「なんだと!!?」
それを聞いて俺は怒る。
(おいおい、俺は女遊びをしてないぞ!誰が『遊び人』だ?それに『ば◯殿』だと?顔を白塗りしてア◯ーンと言ってないのにその呼び方はないだろ!?『養子確定』?マンガン確定みたいに言いやがって!!もう少しマシなあだ名をつけろよ!!
「そうです!レイモンド様!!悔しいでしょ!?」
「いや、全然。」
「なっ!!」
セドリックの口がぱかっと開いている。
これぞまさに開いた口が塞がらない状況ですな。
貴重なものを見せていただいた。
ありがたや〜〜
「どうしてです?」
「そりゃ、俺も腹はたつさ。」
「そうでしょう、そうでしょう!」
「ネーミングセンスのなさにな。」
「なっ!!」
本日2度目の、開いたくちが塞がらないセドリックさん。
(ドライマウスになっちゃうよー)
と思いつつ、ジャンプして顎を押して口を閉じてあげた。
「あっ、失礼しました。」
舌は噛まなかったみたいだ。良かった。
「ですが、このままではリュナ様が先に固有魔法を使えるようになってしまうかもしれませんよ!そうすれば、レイモンド様が大好きなお父上やお母上と親子でいられなくなるんですよ。」
うーむ。どうやら勘違いをしているようだ。
「いいか?固有魔法の資質はすでにどちらかが持っているんだ。それは、お前が説明してくれたよな?」
「その通りです。」
「じゃあ、どれだけ練習しようが、固有魔法は使えないかもしれないし、練習しなくてもいずれ使えるようになるかもしれない。その状況で、なぜそこまで焦る必要がある?」
「そっ、それは・・・。」
多分だが、ステラでは科学より魔法がより身近にあるせいで、目に見えないものを信じてしまいがちなのだと思う。
令和の知識を持った俺からしたら、固有魔法はどちらか1人に引き継がれたもの、つまり遺伝したものだという認識だ。当然その資質が移動するはずがない。でも、この世界の人間は努力し選ばれた人間に固有魔法が使えるようになるという認識をしているのではないだろうか。実際、セドリック自身が俺に固有魔法の遺伝について、『子供が親の固有魔法源を奪う』という表現をした。にも関わらず非科学的なことを信じているというんだからおかしな話だ。まあ、いずれにせよ立証しようのない話だから、話し合いは平行線だろうな。
「きっ、きっとレイモンド様が努力なされば、月の女神ディアーナ様がレイモンド様に固有魔法を授けてくださいます!だから、練習しましょう!!」
最終、神頼みかい!!
「話はここまでだ。暗くなってきたし、早く帰るぞ。」
「しかし!!」
「くどいぞ。セドリック。」
「はい!」
全く、セドリックは過保護だねー。
セドリックの言いたいこともよくわかるけどさ。
でも方法が不味すぎる。
子供に無茶させてなんになる?
子供の仕事は『遊び』だ。
遊ぶことこそ今の時期に最もしなければならないことだ。
実際、日本でも勘違いしている人はたくさんいる。
本来、日本の幼児教育は『遊びを通して学ぶ』ことを重視している。
明確に、学習として学ぶこと、つまり算数とか国語とかジャンルに分けて授業として学ぶのは小学校に入ってからとなっている。例えば、幼児期に全員を机に座らせて数字の1、2、3、4という概念を教えたり字の練習したりするというのは間違っている。もちろん、そうしたいと子供が願っているならばさせてやればいいが。それよりも、イチゴをたくさん収穫するという経験の中で子供の『数えたい』という思いに寄り添って一緒に数えてやるとか、大きな芋を掘ったときに大きさを何かと比べてみたり、長さの単位を使ってみたいという気持ちに寄り添ってやったりすることが大事なのだ。そして、小学校に入ってからそれらの経験をもとに数や長さの概念を獲得するのだ。それが、本来の幼児期の学びだ。当然、運動もそうだ。俺は今5歳だが、プレゴールデンエイジと呼ばれている。今のこの時期は遊びを通していろいろな動きをすることが大事だと言われている。そうすることで、これからの動作の習得に大きくプラスになると言われている。もしこの世界における魔法使いが、ドラ◯エみたいに後ろの方から魔法だけ使えばいいという存在ならば、運動能力は必要ないだろう。しかし、父上はもちろん、他の貴族や魔法騎士は皆、帯刀している。つまり、『魔法使い』というよりは『魔法剣士』みたいな感じではないだろうか?であるならば、魔法だけではなく運動もしっかりと行なっておくべきだ。さらに、ここからは推測だが、魔法だって同じではないだろうか?とにかく訓練するよりも魔法を使って遊ぶことが、より魔法の資質・能力を高めることになると思う。実際、俺はアルベルトの家で薪がないから薪の代わりに魔法を作ってやろうと思った。魔法の開発というと非常に高尚に聞こえるが、要は遊びだ。『長く火が燃える魔法できるかな?ワクワク。』という気持ちだ。実際、途中からアルベルトのことを忘れてセドリックと魔法開発をしていた。セドリックだって楽しそうにしてたじゃないか。結局、何が言いたいかというと、ただ愚直に訓練すれば良いってのは大間違いだということ。子供は子供らしく遊ぶのが一番。そして、その遊びの中で頭を使ったり、体を使ったり、魔法を使ったりするのが良いということだ。
「はあ〜。」×2
俺とセドリックのため息が重なった。
(月の女神ディアーナ様、ヘルプミー!!)
と心の中でお願いをした、その時
キュピーーーン!!
閃いた!!
これだ。これしかない。
「なあ、セドリック?今日も夜中の見回りはあるのか?」
セドリックの頭に『?』が浮かぶ。
「はい、もちろんです。それが執事たる私の役目ですから。」
よし、チャンスだ。
「大変だな。いつもありがとうな。」
ことさら心を込めて言っておく。
「はっ、はあ。」
ぷくくくく
楽しみだなぁ。
その日の夜中。
静かに扉が開かれる。
セドリックが寝ているはずの俺に問題がないか見に来た。
ブワーー
突然部屋の中に強い風が吹く。
窓は空いていない。
「何事だ?」
ヒューパタン。
扉が閉まった。
「誰だ?誰かいるのか?レイモンド様?大丈夫ですか?」
月明かりが部屋の中を照らしている中、セドリックは不思議なものを見た。
「レイ・・モン・・ド様?空に浮かんでる?」
俺が横になったまま、空中に浮かんでいる姿を見て、セドリックが困惑した。
ブワア
またもセドリックに強い風が吹き付ける。
「レイモンド様?んっ!大丈夫ですか??」
「慎め!」
セドリックが動きを止める。
「我はディアーナの化身 貴様らの言う神なるぞ」
「えっ?なんの冗談・・・ですか?」
「慎め!!!」
「ははっ!」
セドリックはそう言って跪いた。
「貴様はこの子に厳しい訓練を課そうとしているそうだな。」
セドリックは声を振るわせながら答えた。
「おっ、恐れながら・・・。レイモンド様のためを思ってのことにございます。」
セドリックは下を向き、震えながら答えた。
「貴様の考えは間違っておる!」
セドリックが意を決して顔を上げて反論する。
「しかしながら!過去の偉大な貴族、王族の皆様はどなたも厳しい訓練を経て輝かしい業績を成し遂げてこられました。ならば、レイモンド様にも同じように訓練を乗り越え偉大な君主になってほしいと思うことは間違っているのでしょうか!?」
「貴様の思いは正しい。」
「ならば!」
「しかし、やり方は間違っておる。」
セドリックは驚愕していた。
「では一つ聞くが、厳しい訓練以外の方法を試した例は過去にあるのか?」
「・・・存じません。」
セドリックは絞り出すように声を出した。
「ならば、なぜ厳しい訓練だけが魔法の能力を高める効果的な手段だと確かめることができようか?良いか?その方法が正しいと示すためには、実験群と対照群のどちらからもサンプリングし、結果を比較せねばならない。そしてそれが信頼性の高いものであると示すためには、多くのサンプリングを行わなければならないのだ。」
「えっ?」
おっと、セドリックの目が点になっているぞ。
まずいまずい。
「ごほん。つまり、他の方法も試してから出ないと一番良い方法かどうかなどわからん、ということだ。」
「なるほど。おっしゃる通りにございます。」
納得してくれたようだ。
「では、どのような訓練をすれば良いか、ディアーナ様、教えていただけませんか?どうか。どうか、お願いいたします。」
そう言って、セドリックは深々と頭を下げた。
「顔を上げよ。簡単なことじゃ。この者の好きにさせよ。」
「なっ?」
セドリックが言葉を失った。
「この者を信じよ。それとも信じられぬか?」
「いえ、レイモンド様はとても聡明な方でいらっしゃいます。我々、下々の者はもちろん、平民にも優しくいらっしゃいます。それに魔法の資質もずば抜けて優秀でございます。」
「そうか?」
照れる・・・
「ディアーナ様?」
「ごほん。であるなら尚更任せよ。いずれ結果は出る。その時に、貴様らの考えが間違っていたとわかるだろう。」
「はっ!!」
「では、出て行くが良い。」
「はっ?」
いちいち『はっ』の多いやつめ。
「我の命が聞けぬのか?」
「申し訳ございません。すぐに出て行きます。」
「ああ、それと。我に会ったという話は決して誰にも話してはならぬ。この者にもだ。わかったな。」
だって笑っちゃうかもしれないもんね、キャハ。
「はっ!」
バタン。
しーーん
さっ、片付けるか。
ベッドの上に乗せた大きな氷が少し溶け始めてた。
「ヘックシュン。」
寒!
氷魔法で氷を作ってベッドの上に置き、その上からでかいシーツを被せその上に寝転がって布団を敷いた。するベッドの1mくらい上に寝ているように見える。でも、それだけではベッドがでかいの?って思われそうなので、風魔法で緩やかに風を起こし、シーツや布団がふわふわしているような感じを演出した。さらに、絶えず風魔法を起こすことで、声の伝わり方も変わるようにした。まあ、そのせいでちょっと俺も声が聞き取りにくかったんだけどね。
でも、大成功みたいだな。
作戦名「◯しの子大作戦」
推しのアイドルの子供に生まれ変わった赤ちゃんがやってそうな作戦を無事に成功させてやったさ。
俺が今5歳児だから信じてもらえなかったらどうしようかと心配していたが、どうやら信じてもらえたようだ。
良かった。
さて、
「この氷、どう片付けようか?ヘックシュン。」
今夜はまだまだ寝れそうにない。
「おはようございます!レモン様!!」
「ああ、ジュリアおはよう。ふわああ。」
俺が大きな欠伸をする。
「珍しいですねぇ。レモン様が寝不足だなんて。いつも口癖のように『睡眠不足はお肌の敵よ!!』っておっしゃってるのに。」
はい、今日はもう肌荒れしまくり、むくみまくりですよー
あれからまず氷をいくつかの塊に砕いて窓から風魔法で遠くまで飛ばした。
その後、氷が溶けてベタベタになっていたベッドを乾かした。
火魔法を使うと火事になるかもしれないと思って、火魔法と風魔法を一緒に使って温風魔法『ドライヤー』を作った。
(いやー魔法って便利だよね。)
と、言いつつも初めて使った魔法なので、威力も温度も弱すぎてなかなか乾かなかった。
体は5歳児なので眠くて仕方ないし、乾かないとジュリアに『レイモンド様が生まれて初めておねしょしましたーー!!!』なんて言われそうだし。
本当、災難だよ。セドリックめ、覚えてろよ!
と一方的な逆恨みをしながらのそのそとベッドから起きていく。
「おはようございます。レイモンド様。」
着替えをしていると、恐る恐るという感じでセドリックが部屋に入ってきた。
「ああ、おはよう。セドリック。」
「・・・その・・・お身体の調子はいかがですか?」
「なんで?」
「いや、えーと。その、なんとなく、です。」
「大丈夫だよ。眠いけど。」
そういうと隣でジュリアが笑いながら
「今日のレイモンド様は、大きなあくびばっかりです。夜更かしでもしたんですか?」
「いやー、覚えはないなー。」
(ちょっと白々しかったかな。)
と、思ってセドリックの方をチラッと見てみると、
じーーーーーーー
と見てくる。
(疑ってるのか?大丈夫か?)
「レイモンド様。」
「なんでございましょう?」
横でジュリアが笑っている。『今日のレイモンド様おかしいです。』だと?
ばーろう。そりゃおかしくもなるわい!
「レイモンド様は、翠色の魔力を見られたことはありますか?」
「???」
「いえ。・・・・あっ、そう!魔食い初めの時に、レイモンド様から薄い金色の魔力と同時に翠色の魔力が溢れたのですが、それ以来、翠色の魔力が出たことはございますか?」
そういえばそんな話を聞いたことがあったな。
見ていた人たちが、なんか俺は異常なやつだみたいなこと言ってたって。
「いや、魔力の色は相変わらず白だよ。」
「そうですか。・・・見間違いだろうか・・・。」
セドリックが独り言のように呟いて1人で考え込んでいる。
まあ、ほっとこう。
「さあ、セドリック。ご飯食べたら、勉強しようか。」
「あっ、はい!レイモンド様は学習に対して本当に貪欲でいらっしゃいますね。」
「それはセドリック先生の教え方が上手いからですよー。」
「いや、ああ、恐れ多いことです。」
照れちゃって可愛いねー。
まあ、家庭教師としては高いレベルだと思うよ。
上手に教えている。
でも、俺だったらもっと違う勉強の仕方させるけどね。
あーあ、誰か一緒に勉強してくれる奴がいたら良いのになー。
そしたら、それぞれの考えを出し合って対話的に学べるのに。
セドリックと勉強していると一方的にインプットが多いんだよね。
面白いけど、ちょっと退屈なところもある。
まあ、この世界を救うために必要な知識だから一生懸命勉強するけどね。
「ふああああ。」
「レイモンド様、寝不足ですね?」
「うるさいわい!!」
「???」
俺に八つ当たりされて『?』となっているセドリックであった。