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切られた火ぶた 後編

 爆発したベース422周辺にて。

 ストレリチアとガラシアの交渉は決裂し、艦隊はアンドロイド達の乗る艦艇を包囲。

 旗艦となる艦艇に対し、ガラシアが直々に通達を行っていた。

 先の話で得られた情報を元に、敵の戦力の予想もつたえておいた。


『という事だ、いいか?敵艦はE兵器を持っている可能性が有る』

「分かりました、では、ご指示を!」

『各艦にレーザー通信!出現した艦船に対し、飽和攻撃を開始!全ての火力を叩きこめ!』

「了解!」

『アーマードパックも出撃させろ!一機残らずだ!!』

「各艦へレーザー通信!全アーマードパック出撃!全火砲の使用を許可!照準は全てマニュアルで設定!目標は所属不明艦!」


 何をしてくるか分からない以上、全ての火力を敵艦へ浴びせる事にした。

 ガラシアからの指令を復唱し、全ての艦へと彼らの言葉が通達。

 ミサイルやレールキャノンと言った高火力の砲撃の準備が行われ、マニュアルによる照準が行われる。


「テェ!!」


 砲撃開始の合図と共に、敵艦の一部が赤く発光。

 その瞬間、彼らの立つブリッジは焼失した。


 ――――――


 その頃。

 ブリッジ内では、艦の威力に驚きの声が上がっていた。


「敵艦、アイオワ級二隻沈黙!」

「何て破壊力だ、これがフロンティアで開発されたE兵器」

「(……不安要素は多かったが、何とか上手く稼働したようだな)」


 ストレリチア指令が立つのは、極秘裏に建造していた軍艦のブリッジ。

 リージア達の使用する大型艦には及ばないが、E兵器搭載型の艦船だ。

 総司令からの援助によって、裏でコソコソと建造を続けていた。

 使用している動力は、かつてリージア達が逃れて来た際に使用していたリアクター。

 彼女達がバッテリー機に換装してから、埃を被せないように厳重に保管していた物を搭載している。


「周囲の敵艦より、熱源多数!」

「艦載機の発艦を確認!攻撃、来ます!」

「高濃度エーテル散布!全方位にフィールドを展開せよ!!」

「りょ、了解!!」


 旗艦が堕ちようと、彼らは攻撃を辞めなかった。

 レールキャノンとミサイルが大量に放たれ、発艦した多くの機体達も並行して攻撃を開始。

 砲撃の雨が降り注ごうと、司令官は冷静にフィールドの展開を指示。

 操作が終了すると共に、攻撃が直撃する。


「た、耐えられるんですか!?」

「当然だ……リージアの設計に不備がなければ」

「一気に不安が増しましたー!」


 一応この艦は、リージアの設計。

 サボっていた時間を有効活用し、こっそりと考えていた。

 フロンティアでの彼女の活躍を知らない者達にとっては、怠け者が考えた欠陥艦のように聞こえてしまう。

 しかし、E兵器に最も詳しいのはリージアのみ。

 今は彼女を信じるしかなかった。


「……うそ、損害無し?」

「動力部、装甲、各種センサー異常無し」

「成程、あの大ウツケ、いい仕事をする」


 激しく揺れる中で、損害の報告は一切無い。

 後は、リージア達の待つフロンティアへ向かうだけだ。


「エネルギー出力はどうなっている?」

「か、稼働率九十八パーセント、航行に問題は有りませんが」

「そうか、何とかして時間を稼ぐ、せめて百二十パーセントを維持しろ!」

「了解……ん?」


 出来る限り早い到着を目指すには、高い推力が必要になる。

 それを可能にするためのエネルギーを確保するには、少し時間がかかる。

 その間にどうするか考えようとしていると、一つの問題が発生した。


「い、一番ハッチが勝手に開いています!」

「何だと、誰だ!?」

『時間を稼ぐ必要があるのだろ?ならば、私が行こう』

「……サクラ」

「そ、そんな事、すぐに出撃を中止」

「待て」


 通信に入り込んだのは、部隊で最強と名高いサクラ。

 アーマードパックをまとった彼女は、単独で出撃しようとしている。

 管制官は止めようと通信を入れようとするが、ストレリチアは首をよけに振る。


「サクラ、航行開始まで時間を稼げ」

『了解した、政府の連中との戦いは初めてだな、面白く成って来た!』

「相変わらずか……カエデの部隊に通達!あの戦闘狂のお目付け役だ、三分で良い、時間を稼げとな!!」

「は、はい!」


 ついでにベータチームと、そのリーダーに彼女のお目付け役を依頼した。

 最強と名高い彼女のお目付け役が務まるのは、一つ下の彼女達だけだ。


「……いや、アイツの事だ、下手をすればカップ麺がベチャベチャになるまで暴れるか」


 サクラという女は、用意したカップ麺ができるまでの暇つぶしをし過ぎて、麺を伸びさせるタイプ。

 仮にお目付け役を動員させようとも、彼女は暴れるだろう。


「まぁいい、好きなだけ暴れてこい、私も、少しはスッキリしたい」

『了解、サクラ、出撃をする!』


 ――――――


 出撃したサクラは、この状況に高揚していた。

 最後の大戦が終了してからという物、相手にしていたのはゲリラだけ。

 彼女からしてみれば、しけた旧世代の装備やジャンクパーツで組んだポンコツばかり。

 だが、今目の前に居るのは政府が運用するピカピカの新型機だ。


「相手は政府の新型か、ゲリラ共より三秒は持ってくれよ……しかし、三分か」


 スラスターを吹かせるサクラは、次々現れる機体達に目をやる。

 人間用に調整されてはいるが、全てアーマードパック。

 性能だけ見れば相手の方が良いかもしれないが、本場はサクラの側な上に彼女には卓越した技量が有る。

 総合的に見れば、サクラに軍配が上がっている。


「まぁいい」


 アーマードパックに搭載される剣を抜いたサクラは、デタラメな軌道で敵艦へ突撃。

 推進剤の消耗何て気にする事無く、彼女はスラスターを吹かす。

 護衛部隊からの銃砲は全て回避しつつ、一気に接近する。


「楽しませてもらうぞ!」

『敵機接近!』

『撃て!所詮はガラクタだ、近寄らせるな!!』


 舌なめずりをしたサクラは、不満を半分に感じながら戦闘を開始。

 サクラからしてみれば、フルコースディナーをたった三分で完食しろと言われている事と同じ。

 味わっている暇はない事を残念に思いながらも、サクラは敵機体へ剣を振るう。


『うわ!』

「ぬるい!」


 放たれてくる弾丸は全て回避し、敵の機体を自らの距離に捉えた。

 すれ違いざまに、二機の敵機体を切断。

 銃も奪い、牽制を行いつつ敵の破壊を続ける。


「ぬるい、ぬるいぞ!もっと熱く、熱くたぎらせろ!この私をな!!」

『ふざけたマネを、弾幕を張れ!近づかせるな!』


 次々と襲い来るミサイルや砲撃、本来であれば弾幕に飲み込まれて粉々だろう。

 その攻撃をサクラは、人混みを避けるかのように潜り抜けていく。


「この程度の砲撃じゃ」

『バカな!』

「私には、火傷一つ付けらやしないぞ」


 黒い笑みを浮かべたサクラは、巡洋艦は艦橋を剣で貫く事沈黙させた。

 無理矢理な戦い方のせいで、剣はへし折れてしまう。

 そこからすぐに離脱し、周辺に居るアーマードパック部隊の攻撃を回避。

 ついでに、現在の相手の布陣も認識する。


「まるで新兵の動きだ」


 戦った感覚では、一通りの訓練は受けた新兵。

 数十年以上訓練を受けても、実戦の一つも経験していない様ではこの程度だろう。

 実弾演習や模擬戦も、どれだけ突き詰めても訓練。

 実戦の緊張感からは程遠く、この状況では培った技量を活かせる訳がない。


「まぁいい、時間一杯まで、戦わせてもらう」


 ほほ笑んだサクラは、沈黙した艦艇から飛び立った。

 とは言え、新型機と張り合えるというのは良い経験だ。

 扱っている面々は性能任せの素人でも、侮れない。


「さぁ、次だ!」

『武器も持たずに!』

『撃ち落とせ!』

『人間様をなめるな!鉄くずが!!』


 丸腰で突っ込んで来るサクラへと、別の小隊が攻撃を開始。

 後方の艦砲射撃の援護を受けながら、一部はサクラに対して接近戦を挑みだす。


「少しは骨の有る奴が居たか」


 向かってくる度胸を買いながら、サクラは敵のアーマードパックへ肉薄。

 彼女を前にした隊員は、装備の斧を振り下ろす。


『この!』

「……やはりぬるいな」


 下ろされて来るなり、サクラは敵の腕をつかみ取った。

 手首の関節部分をへし折り、敵機の手を破壊。

 蹴りを入れつつ、更に銃器と斧も奪取。


「(新型でも、やはり共通規格か)」


 人間用に調整されていても、元はアンドロイドの為の装備。

 その事に微笑みながら、サクラは敵機体に斧を叩きつけた。

 電磁装甲で守られていても、あくまで物理的衝撃を緩和するだけ。

 受け止められる以上の攻撃さえぶつけてやれば、破壊は可能だ。


『クソ!よくも戦友を!仇はとって』


 仇を取ろうと迫って来た機体は、無情にもサクラの手で破壊された。

 しかもご丁寧にコックピットを潰している。

 向かって来た二機は破壊し、弾倉や剣も奪取。

 そのまま、後衛へと向かっていく。


『前衛がやられた!』

『とにかく撃て!近づけさせるな!』

「やはり、どんなに性能が良くても、使う者がこれではな!」


 反応速度や機体性能は明らかに引き出せておらず、サクラへついて行けていなかった。

 登場者は誰も暴れ回るサクラに照準を合わせる事すら叶わず、気づけば破壊されてしまう。

 もう襲い掛かって来た全てを破壊するまで止まらない勢いで、彼女は破壊と殺戮を楽しむ。


「どうした!?貴様らは本当に正規軍の兵士か!?」


 黒い笑みを浮かべながら、戦い続けるサクラ。

 砲撃は簡単に回避し、敵の機体は瞬時に破壊する。

 しかも武器は全て敵から奪い、使い捨てている。

 先ほどからブロッサムからは一切の砲撃が行われておらず、お目付け役のベータチームも艦の防衛に徹している。

 本当に単機で周りに居る艦隊たちを壊滅させかねない。


「これで、三隻目!」


 機体の加速に乗せて、サクラは敵艦の格納された艦橋に剣を突き立てた。

 破損した剣を引き抜くと、すぐに盗んだランチャーを構える。

 敵艦の艦橋へ砲弾を全て叩きこみ、三隻目を破壊し終える。


「もうじき三分か……バッテリーも残っている、もうひと暴れと行くか」


 残っていた三隻を破壊し、司令官に言われた三分も経過した。

 バッテリーはまだ八割以上残っており、細かい敵もまだ散見される。

 命令を無視した彼女は、再び暴れようと奪ったライフルと剣を構える。


「おっとッ!」


 残りの目標へ向かっていると、赤いビームが彼女の機体のそばを通過した。

 先ほどから実弾ばかりだったが、初めてのエネルギー系の武器。

 しかも、反応が一秒遅ければ今頃撃墜されていた。

 この事態に置かれ、サクラは更なる高揚を覚えた。


「格段だ、今のは危なかったぞ!」


 歪んだ笑みを浮かべたサクラは、勢いよく振り向いた。

 その先には硝煙の立つライフルを構える黒い機体が居り、背負っている大型剣を手に取る。

 他の緑色の機体とは異なり、黒を中心とした禍々しい機体色。

 その上、量産型よりも全体的に筋肉質と呼べるような大柄な機体構成をしている。

 デザインも他の機体とは根本からことなり、各部のスラスター部分からは赤い光が漏れている。


「……噂のE兵器か?面白い」


 司令官からE兵器に関する説明をあらかた聞いていたが、目の前の兵器が該当するとは限らない。

 しかし、存在しない筈のビーム兵器。

 更に左腕からはエネルギーフィールドが発生し、装備する大剣を構える。


「クク、クカカカ」

『気味の悪い機械だ、成程、ガラシアや他の連中が嫌うのも頷ける』

「カカ、これが笑わずに居られるか?異世界に行かなければ作る事の出来ない兵器が、今目の前に、そして私に敵対している、面白くない訳がない!カッカカ!!」

『……』


 サクラは聞こえて来た青年の声に応えながら不気味な笑い声を出し、発砲を行った。

 彼女の様子には、敵機体に乗る青年と思われる人物は言葉を失っている。

 そのわずかな動揺のせいで、被弾を許してしまう。

 しかし、エーテルを纏った装甲には、六十ミリの機関砲では豆鉄砲だ。


「成程、話は本当のようだな!カカカ!」

『様子のおかしい奴だ!』


 効かないと解っていても、サクラは銃撃による牽制を行いながら接近。

 相手も攻撃とは言えないような小細工に怯む事無く、彼女との距離を詰める。

 間合いに入る込む寸前でライフルを捨てたサクラは、先ほど入手した剣を振るう。


「クッ!」

『チ!』


 すれ違いざまに、二人の斬撃は繰り出された。

 サクラの機体の一部に切創ができたが、相手は無傷。

 しかも剣諸共斬られてしまい、サクラは再び丸腰となってしまう。


「成程、これは……」


 一歩遅れを取ったというのに、サクラは笑みを浮かべた。

 感触からして、サクラの剣も敵機体を捉えていた。

 それでも歯が立たず、その先に有った敵の剣に両断されたのだ。

 こんな結果を見せられては高揚しない訳にもいかず、非常用のナイフを取りだす。


「面白く成って来た、最大稼働とやらも使わせてもらう!」

『どうやら、殺されなければならないのは、本当らしいな!』


 サクラは新たに搭載された最大稼働を使って接近、二人の鍔迫り合いが起こる。

 こんな事ができるという事は、サクラの持っているナイフにはエーテル技術が使われているという事だ。


『やはり貴様らもE兵器を、何処で手に入れた!?』

「よく聞いてくれた、などと言って手の内を明かすと思うか?」

『それもそうだな』

「相手の手の内は、戦いの中で見つけるのが醍醐味だ!さぁ!当ててみな!」

『……気持ちの悪い奴だ!』


 敵機のパイロットは、サクラの気味の悪さに声を震わせた。

 一刻も早く離れようと、彼はシールドをサクラへと振るう。


「ほう」


 嫌な予感のしたサクラは、すぐに離脱。

 その瞬間、盾と掠めた左腕が損傷した。

 盾であっても攻撃へ転用できるようだ。


「成程、そう言う使い方まで有るのか……ますます面白い!」


 二人の機体は、激しい切り結びを開始した。

 完全に拮抗する戦いが繰り広げられ、徐々にサクラのバッテリーが消耗されていく。

 じきに視界の片隅には、サクラのバッテリー残量にアラートが表示されだす。

 既に予定の三分は大幅に超え、推進剤も無駄遣いが災いして残りが少ない。

 そんな中で有っても、まだ大丈夫だと、タカをくくるサクラは戦いを止めなかった。


『だが、これだけ斬り合っているんだ、そろそろバッテリーも限界だろう!』

「チ」

『気持ちの悪い事を言っても、所詮貴様は道具!人間の決めた取り決めに逆らう事は』


 サクラと距離を取った青年は、大剣を両手に保持。

 スラスターを全力で吹かし、徐々に緩慢な動きとなったサクラへと剣を突き立てる。


「ッ!」

『何!?』


 切っ先が当たる直前で、二人の周囲に煙幕が張られた。

 しかも煙の中にはエーテルが仕込まれており、彼女達の視界は機械的にも完全に塞がれてしまう。

 そうなった瞬間、サクラの機体は勝手に母艦へと帰投を開始する。


「……お前か、楽しみを邪魔するな」

「三分だけだった筈だ、さっさと帰投するぞ」


 サクラを連れ出したのは、ベータチームのリーダー『カエデ』。

 お目付け役としての任を果たすために、そそくさと艦へ戻っていく。


「……仕方ない、お楽しみはパーティ会場で、だな」


 そう言いながら、サクラはカエデに連れられながら渋々と帰投。

 彼女達が着艦した事で、出発の準備は完了。

 アンドロイド達を乗せたブロッサムは、フロンティアへ向けて一気に航行を開始する。


 ――――――


 アンドロイド達が出航し、しばらくして。

 サクラと対峙していた機体は、フロンティアへ向かう艦隊の旗艦へと帰投していた。

 機体より降りた青年は、近くで待っていたガラシアと顔を合わせる。


「……お前にしては、手こずったようだな、ソルダ」

「……ああ、アルファチームのサクラ、性格はともかく、噂にたがわない実力だった」


 パイロットスーツのヘルメットを脱ぐと、青い髪を生やした美青年の顔が現れた。

 彼は、サクラの実力に歓心を得ていた。

 機体の性能は青年こと、ソルダの物の方が上。

 それを埋め合わせる事の出来る程の技量に加え、実力も申し分なかった。

 性格は置いておき、十分敵とみなせる程だ。


「だが、失態だぞ、奴らを逃すとは」

「ガラシア、どうせ向こうで戦う事に成る、その時は確実に仕留めてやる、ここは大目に見てくれ」

「ふ、良いだろう、だが、二度目は無いと思え」

「ああ」


 まるで友人のようなやり取りを行いつつ、ガラシアは一本のスティック状の包みを投げ渡した。

 最近の彼らが主食としている、フードバーと呼ばれる物。

 一本で一食分のカロリーを補給でき、最近崩れつつあるインフラでも簡単に製造できる食べ物だ。

 代わりに、味は最悪という評判だ。


「……うん、良い味だな」

「ああ、我々の囲う科学者の英知の味だ」


 彼らの代になってからという物、これが食事の一般的な主食。

 後は、栄養剤などをペーストにした物などを食べている。

 上流階級の更に上に立つ彼らであっても、最近はこんな物を食べている。

 おかげで、そう言った物が普通の食事であると言う認識になっていた。

 美味しそうに頬張る彼を前に、五十代程の整備班の達はコソコソと話を始める。


「……あれが美味しい、だとよ」

「最近の若いもんは、美味い物を知らずに育っちまってるからな」

「ああ、脂ののった魚、ジューシーな肉、シャキシャキの野菜、甘いお菓子、もう子供の頃に見ていた夢の気分だ」


 生鮮食品は月に一度出れば、それだけで上流階級の仲間入りと呼べる状況。

 こうして機械をいじっている中年達は、もう食べる事も叶わない幻の食材だ。

 彼らがそれらを味わう事ができるのは、もはや記憶の中だけ。

 まだまだ物資に余裕が有り、全ての世帯の生活が安定していた頃だ。

 ゲリラのせいで物資が不足し、循環システムがテロによって乱された事に成っている。

 政府の発表では、もうじき回復する事に成っているが、その『もうじき』は何時まで経っても来ていない。


「まったく、昔が懐かしいもんだ」


 現状に愚痴を垂れながら、男性たちは作業を進める。

 



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