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再会 前編

 夕焼けに照らされるタラッサの町。

 アーマードパックから降りたホスタは、おぼつかない足取りで放棄された巨大な盾から顔を出す。

 潮風に揺れる髪を分けなら、視線の先に有る物で涙を流す。


「あ、あれは……」


 夕日に照らされるエース機体に、ホスタは目を奪われた。

 機動性を追求した細身のアーマードパックと言う、見慣れていた筈の物を視界に収めていると、目から涙が零れ落ちて来た。

 リージアの妄言のせいですっかり諦めていただけに、この事実には感涙しか無かった。


「み、皆さん」


 珍しく笑みを浮かべたホスタは、思わず駆けだした。


 ――――――


 その頃。

 リージア達は、ワイバーンから大剣を引き抜いたアーマードパックに目を奪われていた。


「何か、リージア達の奴より細くない?」

「高機動モデルだからね、装甲を犠牲にして機動性を極限まで高めた機体……こんなのマトモに使えるのは彼女だけだよ」


 目の前の高機動機の事をフォスキアに説明するリージアは、笑みを浮かべながら上を見上げる。

 同時にコックピットが開き、中から飛行ユニットを装備したアンドロイドが出て来る。

 特有の白髪を短髪にした彼女を見るなり、リージアはその名前を呼ぶ。


「そうでしょ?ゼフィー!」

「久しぶりだな!リージア!」


 リージアの名前を呼びながら、ゼフィーは武装解除して三人の前に降り立つ。

 改めて見た彼女の姿に、リージアは目を凝らす。

 彼女のまとう飛行ユニットは所々破損が見られ、テープやワイヤー等で応急的な補修がされている。

 それは彼女の義体も同じ事で、右目や腕等あちらこちらに防塵用の包帯が巻かれている。

 恐らく、義体を修復するだけの余裕もないのだろう。


「……激戦だったんだね、まぁ生きていて何よりだよ」

「ああ、しかし、まさかお前達が来ているとはな、ホスタは元気か?」

「もちろん、ちょっと乱心気味だったけど、今は落ち着いてるよ」


 互いに敬礼と握手を交わすと、笑顔で話しを始めた。

 まるで久しぶりに再開した友人のような雰囲気をだしつつ、世間話に花を咲かせる。


「それにしても、死んだと思ってたから本当に驚いたよゼフィー、後でホスタ君に謝んないと」

「私も甘く見られたものだ、だが、死にかけたのは本当、だ……」

「生き残りは?」

「あ、ああ、私を含め五人だけだ、デルタは二名、人間の方は、全滅した」

「そっか……」


 呑気に情報交換するリージアだが、後ろの二人の事に気付いていなかった。

 リージアの前に居るゼフィーは、モミザとフォスキアの敵意の籠った目をマトモに受けている。

 ついでに、何故か黒いオーラの幻覚まで見えてしまっている。


「ねぇ、誰あれ?」

「ガンマチームのリーダー、CA-2203-34ゼフィランサス、ゼフィーってのは愛称だ、一応ホスタ与かってる身だから結構接点が有るんだよ」

「……友達、なのよね?」

「当然だ、ただの友人だ」

「そうよね、これ以上ライバル増えたら溜まった物じゃないわ」


 楽しそうに話すリージアを見て、二人は軽く嫉妬に駆られていた。

 シリアスな表情浮かべるリージアだが、フォスキアは口元を引きつらせてしまう。

 横に居るモミザも、目元に青筋を浮かべている。


「はぁ、はぁ、はぁ、隊長!!」

「お」

「あ」


 話をしていると、宇宙艇の方からホスタが走って来た。

 久しぶりに見る部下の姿に、ゼフィランサスは笑みを浮かべる。

 その横で、リージアも笑顔で手を振る。


「ホスタ」

「邪魔!」

「くぅぅん!!」


 ホスタが近くを通り過ぎると同時に、リージアはぶん殴られた。

 数日前の全滅発言をまだ根に持っているのか解らないが、空高く吹っ飛んだ彼女を放ってゼフィランサスに抱き着く。


「っと、久しいな」

「良かった」


 ホスタがゼフィランサスの胸に顔をうずめると同時に、吹っ飛ばされたリージアは瓦礫へ落下。

 近くに居たモミザとフォスキアによって、救出される。


「お~い、大丈夫か?」

「うん、何とか」


 瓦礫から引っこ抜かれたリージアは、適当に埃を払っていく。

 ついでに周辺を見渡し、搭載されているセンサを総動員させて生体反応を複数検知。

 その内、六つの友軍機の反応を見つけた。


「……成程、あの人達が持ったのは、彼女達のおかげ、か」


 生体反応の次は、ガンマ達の使っていた兵器に目を移していく。

 確認できるだけでも、エーテル技術で強化されたレールキャノン、シールド、大剣。

 いずれも、リージアが即席で作ったE兵器とは違う。


「(これは……)」

「(あの人達?ああ、近隣の町から応援に来た傭兵達ね……)」


 目に影を落とすリージアの横で、フォスキアもテレパシーで周囲の傭兵の気配を感じ取った。

 同時に、彼らの持つリージア達への不信感が頭に流れ込んで来る。

 おかげで頭痛も酷く成って来たので、スキットルに手を伸ばす。


「(はぁ、この能力だけは融通効かないのよね)」


 彼女の能力の一つであるテレパシーはかなり複雑で、オンとオフは無い。

 なので、何時もはアルコールの摂取で脳を麻痺させている。

 脳の働きは鈍り、一方的に流れ込んで来るテレパシーはわずかに遮断。

 おかげで頭痛は緩和され、感じた事のある気配の方に視線を向ける。


「ヴォルフ!久しぶりね!そんなに警戒しなくてもいいわよ!」


 フォスキアが向いた場所には、瓦礫に身を隠す傭兵団の姿が散見されていた。

 その中に彼女の知り合いも居たようで、向こうも手を振るフォスキアに気付く。

 警戒を解除させるようなそうぶりを見せると、向こうの方から近寄って来る。


「あ、フォスキアの知り合いも居たんだ」

「大方応援に来てるって言う、カニスの所属してたウルフハウンズの連中だろうな、何か知り合いみたいだったし」

「そう言えばそんな人達居たね……あ、ついでにヘリコニア達も呼んどこ」


 以前訪れたヴァルネイブの町を含め、このタラッサの町周辺から傭兵達が集まっている。

 それは前に訪れた町の傭兵団、ウルフハウンズも例外ではない。

 彼らと旧知の仲であるフォスキアが居てくれるというのなら、話がすんなりまとまる事が期待できる。


「久しぶりだな、エルフィリア」

「ええ、二十年ぶりくらいかしら?もうすっかりジジィね」

「貴様は変わらずで何よりだが……どうした?群れないのがモットーじゃないのか?」

「ちょっと訳有ってね、この子達に雇われているのよ」

「(え、デッカ)」

「(二メートル半行ってね?)」


 リージア達の前に来た初老の男性を前に、リージア達は視線を上げながら絶句していた。

 昔からの仲であるフォスキアは普通にしているが、洋画の俳優並みの身長は流石に怖い。

 しかも、角やら獣耳の類は無く、耳の形も普通な所を見ると、多分普通の人間だ。


「ね、ねぇ、フォスキア、そいつ、誰?人間?」

「え?ええ、以前一緒に戦ったカニスの義父よ、それと、種族はちゃんと人間」

「そ、そうなんだ、カニスさんのお父さんなんだ……は、はは」

「ほう、アイツを知っているか、成程、手紙に有った得体のしれない集団とは貴様らの事か」

「た、多分(怖い)」


 上から来る視線に、見上げなければならない程の体格。

 丸太と呼べる程に太い五体に、威厳のある強面の顔や白いヒゲ。

 漫画等だったら強キャラのような出で立ちを前に、流石のリージアも声が震えてしまっている。


「……ま、それはそうと、仲良いな、お前ら」

「え、ええ、昔からの仲だけど、それなりの関係は……」


 妙にニヤニヤとするモミザの質問に、フォスキアは首を傾げながら答えた。

 ヴォルフとは飲み比べ対決をし合った事も有るので、仲はそれなりに良い。

 おかしい所はないと思っていたが、モミザの嫌味な顔を前にしてようやく気付く。


「あ」

「(てっきりボッチかと思ってたけど、友達いたんだな~)」


 リージアの方を向いたフォスキアは、顔を赤くしながらモミザの思惑を察した。

 恥かしさより焦りが強いせいで変な汗を拭き出しながら、フォスキアはリージアとの距離を一瞬で詰める。


「違うから!!」

「何が!?」

「ヴォルフはただのビジネスパートナーだから!別に変な感じの関係じゃないから!!」


 気を動転させたフォスキアは、リージアの事を前後に揺らしながら弁解を開始。

 確かにそう言う関係に思われても不思議ではないが、ただのリージアからしてみれば友人関係に見えていた。

 完全に誤解だったが、変に焦ったせいでリージアは力強くシェイクされてしまう。


「……」

「やれやれ、また一人問題児を抱えたようだな」


 完全に蚊帳の外となってしまったヴォルフの元に、ホスタを落ち着かせたゼフィランサスが立つ。

 ホスタを預ける前からオメガチームは問題児ぞろいだった事を知る彼女は、フォスキアと言う新メンバーに苦い笑みを浮かべた。

 もうこの際、フォスキアがこの世界の住民である事は目を瞑った。


「知り合いか?」

「ああ、エルフの方は知らないが、他は私と同郷だ、色々と癖は有るが優秀な連中だ」


 ヴォルフの言葉に頷いたゼフィランサスは、続けてやって来たヘリコニア達にも目を向ける。

 他のアンドロイド達は、オメガチームを懲罰部隊だの落ちこぼれだのと呼ぶ。

 しかし、ゼフィランサスは彼女達の優秀さを知っている。

 問題こそ多いが、全員優秀でないとできない問題を起こしていた。


「(だが、それはあくまでもリーダー共以外の話だ、あの二人だけは、我々ガンマは勿論だが、アルファ達でさえその実力を知らなかった……)」


 互いが無事だった事に歓喜するリージア達を目にしながら、ゼフィランサスは目を細めた。

 リージアとモミザとは、ホスタを預けた二年程は交流が幾らかあった。

 だが、彼女達の事は清掃員や備品整理の担当程度の認識。

 訓練を一緒にやる機会も無かったので、二人の実力は不明慮だった。


「(だがようやくわかった、司令官が妙に二人の事を肩入れする訳が)」


 ワイバーンを討伐する際、ゼフィランサスは隙を伺うついでにリージア達の戦闘を見ていた。

 二人の戦闘は、アルファチームにも引けを取らなかった。

 フォスキアと言う補助も有ったが、二機だけで足止めを行うのは、生き残ったガンマチームでも無理だった。


「(あの二人は、今回の件に深く関わっている、でなければ……)」


 目を凝らしたゼフィランサスは、リージア達の武器をスキャンした。

 二つの武器は、高機動機の持つ大剣や盾と同じ技術が使われている。

 手入れは行き届いているが、かなり年期が入っている辺り、昨日今日作られた物ではない。

 しかも、それは二人の四肢にも言える事だ。


「だから!何度も謝ってるじゃん!!」

「謝って済むと思ってるんですか?人の顔蹴り飛ばしやがって」

「ちょ!本当にゴメンって!勘弁して!今電磁装甲に回すだけの電力が無いの!」

「問答無用!!」


 難しく考え込むゼフィランサスの視界に、リージアとホスタのやり取りが入り込んだ。

 どうやら以前に何か有ったらしく、般若のような表情のホスタがリージアへ襲い掛かっていた。

 しかも何処からか対物ライフルを持ってきており、追いかけまわしながら発砲。

 数発の銃声が響き渡り、何発かリージアに命中する。


「ギャアアア!!」

「(いや、考え過ぎ、か?)」


 リージアの悲鳴が木霊する中で、ゼフィランサスは先ほどの考察を払拭しようか悩んだ。

 彼女が考え通りのアンドロイドであるのなら、こんなマヌケな事をするとは思えない。

 演技と言う考えも浮かぶが、どうにも怪しすぎる。


「この!アバズレが!!」

「ちょ!ゴハ!助けベへ!もみzブハァ!」


 マウントを取られたリージアは、ホスタに一方的に踏みつけられていく。

 もう電磁装甲を発生させるような電力も残っていないので、彼女の打撃はダイレクトにリージアを襲う。

 モミザ達へと助けを請うが、それは通じなかった。


「……ところで、お前らは何時頃から共闘してたんだ?」

「え?ちょ!?ブヘッ!!」


 見捨てられたリージアは、ホスタの猛攻をモロに受けてしまう。

 今までのうっぷんを晴らすかのように、ホスタはリージアの事へトドメを刺していく。


「……ウ、ウム、そうだな、三か月か、二か月程前、だったな?」

「……ああ、我々がここに来た、と言うより逃げ延びた辺りから共闘が始まった」


 ホスタに再起不能になりそうな程ボコボコにされるリージアを横目に、モミザ達は本題に入りだした。

 機械化された魔物を相手にするには、やはり近代兵器に対する知識が必要だ。

 今日までヴォルフ達が持つ事が出来たのは、やはりガンマ達の協力が有っての事だろう。


「逃げ延びた?」

「そうだ、恥ずかしい話、我々は敗走の末にここにたどり着いたのだ、ここで助けを待って居たら」

「俺達が来た、と」

「そうだ」

「らしいんだけど……」


 ゼフィランサスからの説明を聞きつつ、フォスキアはリージアの方を向いた。

 だが、完全にボコボコにされ、もう話もできそうにない彼女を前に唖然としてしまう。

 なので、代わりにホスタがやって来る。


「それで隊長、一体何が」

「(リージアには一度も隊長呼びしてなかったわよね?この子、やっぱり心はこの人の部下って事ね)」

「答えたいが、少々込み入っている、一度本部に撤収し、負傷者の手当てを行いたい、詳細はその時に話そう、今日の襲撃は終わったようだからな」

「はっ」

「(何この態度の差)」


 フォスキアの記憶が正しければ、ホスタはリージアの指示には大体嫌々だった。

 しかし、今のホスタは見た事無い位素直だ。

 そんな態度の差に、フォスキアは苦い表情を浮かべてしまう。


「おっと、その前に……モミザ」

「何だ?」


 撤収の前に、ゼフィランサスは宇宙艇へモミザへと通信を開始。

 本部の座標データと、持ってきて欲しい物資の内容も付属して送った。

 今は人目も有る為、この方法のやり取りが良い事も有る。


「……わかった、こっちも色々用意しておく」

「よし、では撤収しよう」

「分かった、お前ら!撤収だ!」


 ヴォルフの大声は、大気を震わせながら他の仲間へと撤収の命令を下した。

 彼の声を聞いた傭兵達は、警戒を解く。

 身体を伸ばしたり、持っていた酒瓶を傾けたり、それぞれの方法で力を抜いて行く。


「では、我々も行くとしよう」

「んじゃ、俺らも補給、補給っと~」


 ヴォルフ達に続き、ガンマチームの面々も本部へ歩みを進め出す。

 それと同時に、モミザ達も補給を取りに行く。

 ボロボロのリージアを置いて。


「え」


 その様子に驚くフォスキアだったが、誰もリージアを介抱しようとしない。


「ホスタ、良かったらアイツらと一緒に行ってろ、色々話もあるだろうし」

「はい、ありがとうございます」

「ちょ」


 展開していた部隊は、そそくさと武器をまとめていく。

 瓦礫の上に有った四足歩行のアーマードパックは、人型へ変形するというギミックを見せつけながら帰って行った。

 話し声やグチなどが響き、徐々に人の気配が消えていく。

 そんな中で、フォスキアだけは唖然としながら突っ立っていた。


「リージア、放置?」


 ボロ雑巾のように成ったリージアを放置する彼らを前に、フォスキアは困惑してしまう。


 ――――――


 数分後、宇宙艇にて。

 ゼフィランサスに頼まれた品をカーゴへと詰める指示を下していた。

 先ほどは時間が無かったのでバトルカノンしか用意できなかったが、他にも有効な武器は少なからず有る。


「武器と言っても、他に何を持っていくんだい?アンタ達の武器以外で有効な物が有るようには思えないよ」

「ま、あれ以外でとなると、やっぱりレールキャノンとかになるな、対戦車ミサイルも、足止めには成る」

「そんな化け物相手に、これだけで勝てんの?」

「さぁな、だから、有る物は使う」


 有効と思われる武器をかき集めていると、モミザはリザードマンの持っていたライフルを物資箱の中へ入れた。

 彼らの使っていた武器の中で、モミザ達も携行できそうな火器の一つだ。


「それ使えるのかい?」

「今は無理だな、ロックがかかってやがる」


 ホスタの疑問に答えたモミザは、適当に引き金を引く。

 幾らか正式採用のライフルと共通の構造が見られるので、安全装置が外れている事は解る。

 しかし、引き金はビクともしない。

 弾の代わりに出て来たのは、赤い文字で『LOCK』と言う表示だった。


「じゃぁ、どーすんの?」

「何か機械的な仕掛けが有るだろうから、その辺はお前らのハッキングか何かで何とかしてくれ」

「結局人任せじゃん」

「悪いな、俺はその辺の知識がねぇんだよ」


 モミザの予想では、ライフルに取りつけられているロックは、ハッキングか何かで開錠できる。

 しかし彼女にそんな技術は無いので、ブライト達姉妹に任せるしかない。


「使えるようにしたところで、有効なのかい?」

「安心しろ、目には目を、E兵器にはE兵器だ、実際リージアが作った秘密道具も、ガンマが持っていた武器もE兵器だ」

「そ、そうなのかい(あの子、何所でそんな知識を)」


 モミザの説明を受けながら、物資を輸送用コンテナに詰め込んでいくレーニアは少しうつむいた。

 数日前から気になっていたが、リージアとモミザにはエーテルに関する詳しい知識が有る。

 司令官から開示されている情報は、この世界に来る前に行われたブリーフィングで聞いただけ。

 その筈が、二人はそれ以上の事を知っている。

 どう考えても、何かを隠している。


「……モミザ」

「何だ?」

「何か隠しているね?」


 思い切って訊ねた瞬間、モミザは曇った表情を浮かべた。

 明らかに何かを知っている表情だ。


「有るには有る、だが、悪いが今は話せない、アイツに口止めされていてな」

「そうか……残念だよ」

「悪いな、だが、お前らを犠牲にするマネだけは、俺もアイツも絶対にしないって事だけはわかってくれ」

「……ああ」


 リージアの頼みで、モミザも全てを話す事は許されていない。

 色々と理由は有るのだが、一番の理由はすぐに思いつく。


「(……はぁ、気が重いぜ)」


 頭をボリボリとかきながら、モミザはこの世界に墜落してすぐの事を思い出してしまった。

 フォスキアへ報酬分の酒を探すついでに、少し話をしていた。

 その時のリージアのセリフを思い出すだけで、どうも気分が沈んでしまう。


「(……その時が来たら一緒に死のう、か)」


 死んだ目を浮かべたリージアを思い浮かべたモミザは、何時も以上に表情を曇らせた。

 ここにリージアが居たら更に沈んでいたと思うので、放置して正解だった。


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