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問題児の部隊 後編

 部屋を飛び出したリージア達は、そそくさと空港へと移動。

 用意されていた正式配備の装備を受け取り、宇宙艇へと乗り込む準備を行った。

 数時間程かけて、武器だけでなく、食料や医薬品等を積み込んだ。

 準備を完了したリージア達は早速出発。

 出発したリージア達を、司令官は整備班と共に見送っていた。


「……あの、司令官、彼女達で大丈夫なのでしょうか?」

「構わん、それと、頼んだ物はしっかり積み込んだだろうな?」

「はい、ご要望通り」

「そうか(奴にも特命は伝えた、あとは……)」


 整備班からの報告を受けた司令官は、険しい眼でリージア達の宇宙船を睨んだ。

 やるべき事、伝えるべき事は全て伝えた。

 後は、彼女達の頑張り次第だ。


「貴様らの価値、証明して来い」


 ――――――


 宇宙を航行中の宇宙艇にて。

 出航後の事はオートパイロットに任せ、リージア達はブリーフィングを再開していた。


「は~い、みんな注目~、これからブリーフィングを再開するよ~、皆が静かに成るまで五分かかりました~」


 等と彼女は呑気に言っているが、集まって三分も経っていない。

 単純に前から言ってみたかったセリフを言いながら、またホワイトボードを持って来た。

 だが、ホスタはその態度が気にくわなかったらしい。

 正式採用のライフルをいじりながら、殺意の目を向けてくる。


「ごたくは良いので、早くしてください」


 一秒でも無駄な事をしたら撃たれそうだったので、リージアはホワイトボードに色々とつづっていく。

 説明に必要な用語等を書き終えると、パイプ椅子に座る隊員達の方を向く。


「さて、フロンティアの概要は話したから、存在が秘匿されてるもう一つの理由だね」


 ようやく出て来た議題に、全員食いつく。

 一つ目を説明されてそれきりだったので、ずっと気になっていたのだ。


「そう言えば、もう一つ聞いて無かったな」

「で?その理由って?」

「さっきと比べて多いからね、先ずはそのデータ送るよ」


 質問に答えるべく、リージアはデータを全員へ送信する。

 数分かけてインプットされたデータを閲覧する彼女達を横目に、リージアはボードに要点を書きだす。

 それが終わる辺りで、全員閲覧を終了。

 隊員はそれぞれの反応を見せる。


「エーテル、か」


 一番に反応したのは、副官のモミザだった。

 デルタ達の護衛する研究員が見つけた、エーテルと呼ばれる新時代のエネルギー資源。

 その概要を聞き、モミザは何時もの強面を更に鋭くし、リージアの方を向いた。


「そ、デルタ達が護衛する調査チームが発見した……新しいエネルギーだよ」

「……そうか」

「石油や天然ガスなんか使わなくても、熱や電気を生み出せる有能資源……しかも、自然界から常に発生して、大気中にも含まれてるのかい?」

「……そ」


 妙なアイコンタクトをする二人に割って入ったのは、エーテルの特性を復唱したレーニア。

 エーテルはあらゆるエネルギーに代替可能な、万能資源。

 しかも油田のように、何億何万年という時間をかけず、半永久的に生み出され続ける。

 そんな夢みたいな生まれ方にも驚きだが、価値は薄いように思える。

 この宇宙艇にも積まれているリアクターや、高性能の太陽光発電。

 それらのおかげで、エネルギー問題はほとんど解決している。

 何故秘匿しているのかは、データを読み込んだレーニアにはすぐに解った。


「……成程、統合政府が目を付けたってのは、やっぱこの利用方法か……電波の働きを阻害し、通信やレーダーを無条件で無効化……大気にも含まれてるって事は」

「そ、現地だと、電波通信環境は少し悪いかも(ま、他にも問題有るけど)」

「何だいそりゃ」

「それもダルいけど……放射能みたいに、DNAに影響を与えやすい特性もあるって……」


 ダルそうにするのは、レーニアとブライトの姉妹。

 二人の思った事、特にブライトの発言は、リージアにとっても問題視する事だったらしい。

 既に概要がボードにつづられており、それを見たホスタは表情を鋭くする。


「……エーテルによって凶暴化した原生生物、魔物、ですか」

「そ、デルタやガンマが壊滅した、とするのならば、この存在が有力かもね」

「そうですか……戦車砲にも耐える個体も確認済み、確かに、一筋縄ではいかなさそうですね」


 魔物が原因かもしれないと聞いた途端、ホスタの目は殺意マシマシと成った。

 オマケに、資料に書かれている内容を一見する限り、魔物は例外なく害獣のように思える。

 下手をしたら、ホスタは魔物を大虐殺しそうだ。

 しかし、それは容認できない。

 魔物なんて物騒な名前はついているが、現地の生態系を形作る大事な存在だ。


「ホスタ君、怒るのは良いけど、不必要な殺傷は許可できないよ」

「……了解」


 釘を打ったリージアの言葉に、ホスタは渋々首を縦に振った。

 その横で、唯一楽観視していたヘリコニアが発言を始める。


「でぇもぉ、なんだか楽しそうな場所よね~」

「いや何処がだい?原生生物は凶暴、その上、大気は電波妨害を行う物質が漂ってる……とても楽しいように思えないが?」

「え~、だって、猫耳の子とか居るんでしょ?是非会ってモフモフしてみたいわ~」


 他の皆が嫌な部分に目をやっていた中、彼女は楽しそうな方を見ていた。

 資料によれば、現地にはエルフだけでなく、獣と人間のハーフのような種族も存在する。

 それを知ってからか、ヘリコニアは何時も以上に緩んだ笑みを浮かべていた。


「そうそう!別に嫌な事ばかりじゃないんだよ!この世界!」


 ヘリコニアの発言に一番同調したのは、先ほどまでシリアスだったリージア。

 先ほどまでの曇った表情は消え、まるで談笑する女子のようにはしゃぎだす。


「エルフもね、普通の以外にも、ダークエルフとかいるし、ヘリコニアの好きな小動物系の獣人も居るの!正にファンタジー!」

「あら、それは面白そうね!現地の言語もしっかりインプットしたから、仲良くなって、沢山お友達を作りましょうね!」

「因みにそのプログラムを入れてると、自動的にローカライズされた言葉を、私達だけじゃなくて、読者や現地の人たちに送れるよ!」

「そうなの?なら、しっかりと意思疎通ができるわね!」


 完全に二人だけの空間が出来上がり、他の隊員の入る隙が無く成ってしまった。

 とは言え、空気が重かったので、良い清涼剤かもしれない。

 だが、可能な限り現地住民との接触は避けた方が良いと思うので、友人作りは止して欲しい所だ。

 少しだけ和みを取り戻した隊員の中で、モミザだけは顔つきが鋭いままだった。


「……お楽しみの所悪いが、リージア」

「ん?なぁに?」

「アクション映画だけじゃなくて、ジャパニメーション好き、その上、大のエルフフェチのお前の事だ、他に何か企んでいるんじゃないのか?」


 リージアの趣味は、映画やアニメの鑑賞。

 しかも、彼女にとって一番のドストライクは、エルフ少女。

 任務以外は基本自由人であるリージアが、憧れの存在が居る世界に訪れ、黙っているとは思えない。


「……あ~……え~っと……」


 モミザの予測は当たっていたらしい。

 リージアは露骨に目を逸らし、顔も冷や汗的な物が出ている。

 これを見た途端、モミザは声を上げる。


「ヘリコニア!そいつを抑え込め!」

「は~いっ!」


 先ほどまで仲が良さそうにしていたヘリコニアは、すぐさまリージアを拘束。

 まさか彼女がモミザの味方に付くとは思っていなかったらしく、リージアは抑え込まれてしまう。


「えええ!?ヘリコニア!何で!?」

「あら?私は常に面白そうな方の味方よ」

「よおぉうし、レーニア!俺も抑えとくから!コイツの頭の中覗け!」

「任せな」


 更にモミザまで抑え込みに参加し、その隙にレーニアがリージアの頭にアクセス。

 本来なら、上官に強制的にアクセスなんて、豚箱送りになってもおかしくない。

 しかし、今のように、違反行為等を取り締まる為であれば例外である。

 その権限を用いて、レーニアは情報を探り出す。


「ちょっと!ブロックなんてするんじゃないよ!」

「フハハハハ!このリージア軍曹、そう何度も同じ手にかかるか!」


 何度も似たような茶番を行っていただけに、リージアも対策を行っていた。

 情報戦に特化させているIS型である彼女でも、少してこずる防壁に当たってしまう。

 しかし。


「で、その隙にあーしが侵入っと」


 イキがる顔を浮かべるリージアの背後から、姉妹機のブライトが別ルートでアクセスを開始。


「ああああ!ブライトちゃぁぁん!!」

「アンタが対策する事位、見抜いてるんでね」

「モミザに頼まれて、バックドア作っといて正解だった」


 以前設けておいたバックドアより、二人は侵入。

 その中から、今回の作戦に関連する資料をコピーしていく。

 最後の悪あがきを見せるリージアだったが、抵抗も虚しく、情報は抜き取られてしまう。


「お~し、モミザ、抜きとれたよっと」

「ああ、すまん」

「いやぁぁん!見ないでぇぇぇ!!」


 内容を取りだした二人は、早速皆へと開示した。

 その内容を読み込む彼女達の傍らで、リージアは顔を両手で覆いながら寝込んでしまう。


「……オススメデートスポット一覧に、仲良くしたい種族ランキングに、名産品、観光スポット等々……」

「完全に旅行気分じゃないかい」

「(その前に、何で調査チームの人達はこんな事を調べたの?)」


 完全に私的な事ばかりまとめられた資料に、レーニアとモミザの二名はドン引き。

 ヘリコニア以外の隊員も、頭を抱えていた。

 四人から冷めた目を向けられるリージアは、完全に開き直りだす。


「良いじゃあぁぁん!何時も皆油やら埃やらにまみれて、ストレス溜まってると思ったから!タマの外出位楽しい思いさせたいと思ったのにいぃぃ!!」

「駄々っ子だ」

「みっともない」


 もはや逆ギレともとれるような発言をしながら、リージアはみっともなく床で暴れ出す。

 この姿には、レーニア達姉妹も少し引いた。

 彼女なりに部下を労わっての事であったが、もう一つの思惑もモミザにはお見通しだった。


「そう言うけどよ、このラインナップ見てると、エルフの女捉まえようとしてるようにしか見えねぇんだけど」

「て、言ってるけど?」

「……」


 モミザの言葉を聞き、先ほどまでバタバタしていたリージアは停止。

 無表情で立ち上がったリージアは、モミザの方を向くと、可愛らしいポーズをとる。


「キラッ!」

「イラ」


 ポーズとぶりっ子顔にムカついたモミザは、リージアの顔面に一発入れた。

 何しろ、こういう時は図星だったため、本当に開き直った時の行動である。


「……あー、その、何だ、到着には三か月有る、各員、装備のチェックは怠るな」


 ダウンしたリージアの代わりに、モミザが指示を下した。

 彼女の指示に従い、隊員達は任務の準備へと取り掛かって行く。


 ――――――


 三か月後。

 惑星フロンティア

 そのどこかの森にて。

 予定の行路を辿ったリージア達の宇宙艇は、目的の惑星へ到着。

 したのは良かったが、大気圏に突入する前にエンジンにトラブルが発生。

 おかげで、目的の座標から大きく逸れてしまい、深い大森林へ不時着した。


「消火ぁぁぁ!消火急いでぇぇ!!」

「分かっている!」

「消火器持って来たわよ!」


 不時着したリージア達は、二次被害の森林火災の対処に当たっていた。

 ヘリコニアが持って来た消火器をぶちまけ、消火作業を行っていく。

 消火剤をまかれた炎は、次々と勢いを弱めだす。

 対処が早かったおかげか、大火災だけは何とか防げた。


「はぁ、はぁ、どうしちゃったんだろ、整備は万全って聞いたのに」

「ま、その調査はこれからだな、ついでに、どこに落ちたのかも調べねぇと」

「そうだね、レーニアに不備の部分を調べさせて、ブライトに座標を調べさせよう……はーい!皆集合!」


 リージアは消火活動を終えた皆を急いで集め出す。

 何はともあれ、問題が起きた事は事実だ。

 辺りに散らばる装甲の破片等を避けながら、リージア達は集合する。


「よし、集まったね、ご存じの通り宇宙艇は墜落、何とか被害は食い止めたけど、これからの事を通達するよ……まず、ブライトは現在地の座標を調べて、それと、レーニアは原因の調査、ホスタとヘリコニアは内部の被害報告を、私とモミザは、周囲にまだ火種が無いか調べる」


 少し早口気味だったが、全員リージアの指示に釘付けだった。

 何しろ、今までの彼女からは考えられない指揮だ。

 なんだかんだ隊長らしいシリアスな指示は、初めて聞いた。

 皆が驚く中で、ホスタは警戒気味に目を逸らしていた。


「……おーい、ホスタ君?話聞いてた?」

「はい、私もその采配には賛成ですが……誰か居ますよ」

「……さすがGS型、気づいちゃってたか~」


 ホスタの能力を称賛しながら、リージア以外の全員が拳銃を手にする。

 各々の特性に合わせてカスタムされているが、中身は全て正式採用の九ミリ拳銃だ。

 しかし、リージアは交渉に出る為に、丸腰で前へと出る。

 襲わずに隠れているという事は、人間の可能性が高い。


「……えっと、申し訳ありませんが、出てきてもらえます?こちらに敵意は有りません、どうかここは穏便に済ませてください!」


 両手のひらを見せながら、リージアはできるだけ丁寧な言葉で話しを持ち掛けた。

 相手の場所は、既にわかっている。

 木の影に隠れているが、チラチラと刃のような物が見える辺り、相当警戒されている。

 穏便に済ませたいが、向こうは敵意が有る。


「(まいったな~、できるだけ現地の人との敵対は避けたいんだけど)」


 交渉を持ち出しても、ずっと木の陰から様子を伺っている。

 どうやら、向こうには交渉の余地がないのかもしれない。


「(こういう森って、大体エルフの縄張り、なんて事もあるからなぁ~、到着五分でエルフと敵対何て勘弁だよ)」


 最悪の事態を想定しつつ、リージアは笑顔で手を振ったりする。

 根気強く交渉を行おうとするリージアだったが、その後ろから発砲音が響く。


「イッ!」


 嫌な予感を覚えながら、リージアは右後ろに視線を送る。

 発砲したのは案の定ホスタ、その証拠に銃口から煙が上がっている。

 幸いただの威嚇だったらしく、弾丸は木に命中していた。

 だが、発砲許可は出していない。


「今のは威嚇です、姿を現さなければ、次は当てます」

「アホか!?穏便にって言ってるのに!撃つやつが有るか!?お願いだから今は私の指示に従ってよ!」

「こうでもしないと、向こうも出てきませんよ」


 そろそろ容認できない位の命令違反。

 流石のリージアも少し腹を立てながら、ホスタの銃を無理矢理下ろした。

 注意をする為に、リージアは目標に背を向けてしまい、無警戒となった彼女に向けて、攻撃が放たれる。


「リージア!伏せろ!」

「え?ギャ!」

「う!」


 モミザのおかげで、リージアはホスタを押し倒しながら回避に成功。

 二人へ襲い掛かった攻撃は、不規則な軌道を描きながら進む。

 やがて奥に居たレーニア達に差し掛かり、彼女達も回避する。


「キャ!」

「お姉!」


 レーニアがしゃがみ込んだ瞬間、甲高い金属音が響き渡った。

 少し飛び散った火花を見たレーニアは、頭上を向き、目を丸める。


「お、おいおい!?装甲を切り裂いたぞ!?」


 見た限り、チャクラムと呼べる投擲武器が、宇宙艇に食い込んでいた。

 宇宙でのデブリ対策等で、表面は頑丈な装甲でできている。

 明らかに人力で出来る芸当ではない。

 だが、向こうの攻撃は、それだけでは終わらない。

 既にリージア達へと、第二波のチャクラムが二枚放たれていた。


「ちょちょ!」

「退いてくださいっ!」


 リージアを退かしながら起き上がったホスタは、すぐにチャクラムを撃ち落す。

 刃ではなく、側面を撃つ事で弾いた。

 次にホスタが狙うのは、二枚のチャクラムを投げた後に姿を現した誰か。

 緑のフード付きのマントに身を包み、剣を片手に突き進んで来る。


「この!」

「それ以上は、ダメ!」

「あ!」


 しかし、拳銃はリージアに蹴り飛ばされてしまった。

 代わりに前へと出たリージアは、その辺で拾った装甲板を盾代わりにする。


「(ッ!この剣!)」


 彼女の持つ剣に嫌な予感を感じたリージアは、刃を直接受け無かった。

 相手の攻撃に合わせ、斬撃を受け流す。


「(ウ、早い!)」


 とてつもなく早い連撃を流しながら、リージアは徐々に下がって行く。

 隙をついて無力化するつもりだったが、相手の方が早い。

 突きを繰り出され、装甲は貫かれる。


「ウッソ!?」


 装甲を貫いた剣は、リージアのホホを掠めた。

 次の瞬間、相手の剣は装甲を両断。

 二つになった装甲を捨てたリージアは、瞬時に間合いを取った。

 向こうが接近して来る直前。

 拳銃に手をかけ、狙いを定める。


「悪く、思わないでよ!」


 正当防衛射撃を行うべく、リージアは拳銃のハンマーを下ろしながら引き抜き、発砲。

 二発の弾丸は、全く同時の銃声と共に撃ちだされる。

 彼女の愛用銃は、シングルアクション式のリボルバー。

 得意の早撃ちを披露し、二発とも相手の足を狙った。


「ッ!」

「(に、人間の反射神経じゃない!!)」


 発砲された瞬間、相手は咄嗟に動きを変えた。

 撃ちだされた二発の銃弾を切り裂きつつ、リージアに攻撃を仕掛けて来る。

 その技は、まるで稲妻。

 空気を切り裂きながら、剣の先はリージアへと迫る。


「(は、早!)」


 人間離れした芸当を目の当たりにしながら、リージアは向けられた剣を掴む。

 おかげで直撃は免れ、代わりに指が削れた。

 だが、逆に銃口を向ける事に成功する。


「……」

「(み、耳が、長い)」


 激しい動きの末、相手の被っていたフードがはだけ、素顔が現れた。

 特徴的な長い耳に、草色の流れるように長い髪。

 情報に有ったエルフに間違いない。


「(……ヤバい)」


 ルビーのように赤い瞳を向けられながら、リージアは言葉を失っていた。

 宇宙艇よりも柔いボディの彼女達であれば、容易に切り裂かれる。

 しかも、向けている銃のハンマーは、まだ降りていない。

 少し動けば、相手の攻撃の方が先に繰り出される。

 そんな恐怖も有ったが、リージアには何よりも驚くべき事が有った。


「(この人、めっちゃ可愛い!!)」


 圧倒的な彼女の美しさに、リージアは釘付けだった。


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