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有翼の戦機 前編

 

 墜落地点にて。

 徐々に明るく成って来た空の下、宇宙艇内でリージア達は出撃準備を進めていた。

 彼女達が換装するのは、アンドロイド兵の一般的な装備である飛行ユニット。

 直接義体に取りつける物で、外観は戦闘機をバラした物を身にまとっているイメージだ。


「ごめんねヘリコニア、流石にもぬけの殻にする訳にはいかないから、お留守番よろしく」


 応援要請を受けたとは言え、リージア達にはリージア達の事情が有る。

 もぬけの殻になる宇宙艇を置いて行けないので、ヘリコニアに居残りを頼んでいた。


「仕方ないわよ……それじゃ、貴女達を見送った後は、お友達の歓迎パーティーの用意をしておくわ……ふふ、こっちの方も面白そうね」

「お、穏便にね」


 面白い事好きの彼女としてはやはり不服の様だが、手に持っているお手製チェーンソーはしまって欲しい。

 苦笑するリージアは、飛行ユニットとのリンク作業を続行。

 しかし久しぶりという事もあり、少し手間取っていた。


「……あれ?」


 しっかりとリンクさせたつもりだったが、眼前にエラーが表示された。

 原因を探るべく、リージアはOSの部分を覗きだす。


『どうしたんだい?難しい問題なら、アタシが調整してやるが』

「あ、いや、原因分かったから自分で対処できる(うわ~、まだこんなOS使ってんの?とりあえず、私のデータにある奴張り付けとこ)」


 原因は、飛行ユニット自体に使われていたプログラムだった。

 土壇場で書き換える何て荒業を行うスキルはリージアに無いので、記憶に有った物を無理矢理挿入しておいた。

 すると、何とかエラーは解消。

 リージアの着用する飛行ユニットは、無事に起動する。


「ふぅ……よし、よし(ついでにモミザの奴にも、同じ処置をしておいてっと)」


 リージアは、起動した飛行ユニットの駆動確認を開始。

 背部と脚部のブースターや、身体の各所に取り付けられた重火器との連動。

 それらの機動に問題無い事を確認すると、リージアは他のメンバーの方を向く。


「みんな、準備はいい!?」

「こっちは準備できたよ」

「あーしも」


 リージアと同様の装備をまとうレーニアとブライトの姉妹も準備を完了し、携行している火器を構えていた。

 専用の機関銃とグレネードランチャーを携え、背部にはミサイルポッド二機と増加スラスターが取り付けられている。

 二人は一般的な戦闘用の装備だが、リージアの場合は片方のミサイルポッドがロケットランチャーに差し替えられていた。


「(それにしても、やっぱ少ないな~)」


 今の状況に、リージアは苦い笑みを浮かべた。

 本来はもう数十機は視界に居る筈なのだが、二人だけなので寂しい。

 流石にこの面子だけで、五百体近くの魔物を相手にするのは不安だった。


「……準備完了です」

「ホスタ君!今日は好きなだけ暴れて良いからね!」

「……はぁ、解りましたから」


 不安を解消させるために、ホスタには火力面を補ってもらうべく、アーマードパックを着てもらった。

 三人の着用している物と異なり、かなり大きめの物だ。

 全身を装甲で覆ったホスタを核に、大型の腕部や脚部等を追加で装備し、より強力な火器も身に着けている。

 この世界の住民には刺激が強いだろうが、致し方ない。


「よし!準備完了!という訳でヘリコニア!出撃ハッチ解放!電磁カタパルトも起動させちゃって!」

「はいは~い」

「(いつもよりテンション高)」


 頼まれたヘリコニアは、早速制御室へ移動。

 彼女を見送ったリージアは、開いていた左手にハルバードを装備する。

 移動にかかった数分後。

 出撃の為にヘリコニアの手で前方のハッチが解放され、僅かに光が差し込む。


『あら?途中で止まっちゃったわ』

「え?」

「あ~、衝撃でどっか歪んでたなこれ」


 しかし、ハッチは中途半端な所で停止。

 リージア達はかろうじて出られるかもしれないが、ホスタは無理だ。

 ブライトの見立てでは、墜落の衝撃でどこか歪んでいたらしい。

 そんな状況を見て、リージアは。


「折角の出撃シーン位恰好つけさせろ!このオンボロが!!」

「無理矢理こじ開けてんじゃないよ!!」


 半端に開いていたハッチに飛び蹴りをかまし、無理矢理解放させた。

 これで開いたのは良いが、ハッチの扉部分が吹き飛んでしまった。


「はぁ、ヘリコニアさん」

『はいは~い、できるだけ直しておくわ~』

「それじゃ、カタパルト用意!」


 機嫌を直したリージアは、早速カタパルトに足をかけた。

 それに続き、レーニアとブライトも並ぶ。

 宇宙艇からの電力供給によって、両者に給電される。


『電力充填完了!それじゃ、皆に発射タイミング、譲渡するわ~』

「はいはい!CA-2202-13!リージア!行ってきます!」

「IS-2214-34-01レーニア、発進するよ!」

「同じく、IS-2214-34-02ブライト、出撃!」


 それぞれの名乗りを終えた三人は、電磁カタパルトによる加速で出撃。

 翼を展開させ、目的地へと舵を取る。


『それじゃホスタちゃん、お次行ってらっしゃい!』

「アイハブコントロール、GS-2205-75ホスタ、出撃します!」


 三人に続き、ホスタのアーマードパックも出撃。

 カタパルトを使用することなく、大型のフライトユニットの恩恵であっという間に三人の下へたどり着く。


「よし……待っててよモミザ、今すぐに行くから!」


 編隊を組む四機に続き、補給物資の入った無人輸送機も到着。

 通信の為に、ブライトの機体から修理を終えた通信用ドローンを射出。

 完全に朝日が顔を出す前に到着する事を心掛け、四人は目的地を目指す。


 ――――――


 その頃。

 ヴァルネイブの町の城壁周辺。

 次々と押し寄せて来る魔物は、東門に迫っていた。

 城壁では、何とか傭兵たちが押さえつけているが、モミザは限界に近かった。


「はぁ、はぁ、やっべ、セーフモードギリギリじゃねぇか」


 大物を中心に狙い、雑兵の相手もしていたモミザだったが、既に弾は使い果たしていた。

 仕方なく打撃やナイフによって応戦していたが、既にバッテリーは限界。

 だが、まだ大物は居る。


「グハハハ!よく頑張ったが、とうとう終わりの時が来たようだな!!」


 残っているのは、オークロードと呼ばれる個体。

 サイクロプスより一回り程小さいが、魔法を使える知能を持っている。

 万全のモミザであれば敵ではなかったが、今はもうガス欠寸前。

 後少しで、その辺の人間程の力しか出せない状態だ。


「へ、豚野郎が、勝負はまだまだ分かんねぇよ!高笑うんなら、俺の首取ってからにしやがれ!」


 だが、まだ勝負がついた訳ではない。

 疲れた表情で強がりながら、モミザは中指を立てた。

 もうすぐでリージア達が来るのだから、ここが踏ん張り所だ。


「は、負け犬の遠吠えとは、この事だ!!」


 強がるモミザをあざ笑いながら、オークは巨大な鉈を振り下ろした。

 もう避ける体力を持っていないモミザは、その巨大な鉈を素手で受け止める。


「グヲォア!」

「グヘヘへ!!このまま、押しつぶしてくれるわ!!」


 モミザの身体は、徐々に地面へと押しつぶされていく。

 オークロードの一撃で潰れる程、モミザの義体はヤワではない。

 しかし、パワーをあまり出せないこの状態では、押し返す事も叶わなかった。


「あ、クッソ!ブベラ!」


 今の衝撃で、モミザの視界に隅にアラートが表示された。

 バッテリーの残量が一定量に達した事で、強制的にパワーダウンしてしまう。

 セーフモードに入り、モミザは完全に潰されてしまう。


「グへへへ、終わったか」


 鉈を退けた差には、うつ伏せで倒れ込むモミザ。

 力無く倒れる彼女の髪を、オークロードは摘まみ上げた。

 ナイフも手放される程ぐったりとしている彼女を、オークロードは目の前に持って来る。


「望み通り、その首をねじり切ってやる」


 取り巻きのゴブリンやオークが歓声を上げる中、ゆっくりとモミザの胴体に手を伸ばした。

 ここまでモミザの手で、多くの同胞が殺された。

 今まさに、彼らの無念が晴れる時だ。


「ケ!」

「グア!」


 響いたのは、一発の銃声。

 他の銃は使い果たしたが、拳銃だけはまだ残っていた。

 瞬時に抜き放った拳銃によって、オークロードの眼球を撃ち抜いたのだ。


「ウッ」

「ウオアアア!」


 激痛によって手放されたモミザは地面に落下。

 瞬時に周囲のゴブリン達にも射撃を加えた。

 しかし装填されているのは、サブマシンガンに入りきらなかった残り。

 ほんの数回引き金を引いただけで、弾が切れてしまう。


「クソ」

「この小娘が、もう許さん!!」


 片目を潰されて怒りが頂点に達したオークロードは、さっきよりも強い力を込め、鉈を振り上げた。

 確実に消せるよう、鉈を魔法で限界まで強化して。


「死にやがれ!!」


 鉈が振り下ろされた途端、オークロードの左腕は爆散。

 周辺に肉片や血しぶきが吹き荒れ、モミザは笑みを浮かべた。


「グアアア!な、何だ!?」

「へ、遅ぇんだよ、バカが」


 オークロードの左腕が吹き飛んだのを皮切りに、辺りから銃声が響きだす。

 同時に耳に入るのは、生き残っていた魔物達の断末魔や爆発音。

 モミザは勝利確定の音と捉えた。


『壁内部には友軍が居る!外のみを制圧!外周からの機銃掃射を行え!ミサイルなどの重火器の使用は、各自判断にゆだねる!』


 モミザの体内の無線機に、待ち望んでいた声が届けられた。

 彼女の指示に交じって、仲間達の雄叫びや銃声までもが聞こえて来る。


「な、何が起きているんだ!?」

「モミザぁぁぁ!!」


 時刻は丁度日の出。

 リージア達は到着し、朝日を背にして周辺へ弾の雨を降らせていた。

 グレネードやミサイルを使いつつ、多くの魔物達を蹴散らす。

 その中で、リージアはモミザの装備を牽引しながら駆けつけて来る。


「装備持って来たから受け取って!」

「ああ、待ちくたびれたぜ!」


 牽引用のワイヤーから切り離された装備に向かって、モミザは走りだした。

 装備は彼女の接近に反応して自立飛行を開始。

 受け取れる状態に成るが、オークロードは黙って見ている訳では無い。


「させるか!!」


 モミザに向けて、勘で危機を察知したオークロードは火球を放った。

 熱源を感知した装備は高度を上げ、取り残されたモミザは被弾してしまう。


「グヘヘへ!どうだ!この俺を侮辱した報いだ!」

「ば~か」


 高笑うオークロードに発された、リージアのセリフ。

 彼女の嘲笑と共に、モミザは爆炎の中から姿を現す。


「何だと!」

「爆炎に合わせて浮かび上がるって、相変わらず無茶しちゃって」

「ドッキングセンサー!」


 爆発に合わせて飛び上がったモミザは、焼け焦げる野戦服と装備を脱ぎ捨て、もう一度換装を試みた。

 変形した装備はモミザを包み込み、彼女の義体に増加装甲と飛行能力を付与。

 付属の大型バッテリーによって、エネルギーも回復した。


「ウッシャ!」


 装備を着込んだモミザは、取り付けられていた槍状の武器を手に取った。

 通常よりも分厚いく、大きな刃を取り付けた薙刀。

 巧みな技を見せながら装備し、オークロード達を睨む。


「コイツで、さっきの分の借り、のし着けて払ってもらえるぜ」

「鎧をまとったところで!」


 調子づいた笑みを浮かべるモミザに対し、オークロードとその取り巻き達は、一斉に襲い掛かる。

 彼らからしてみれば、モミザはただの手負い。

 既に全快している事に気付いていない。


「鎧をまとっただけじゃねぇって事、教えてやるよ!!」


 背部のスラスターを全力で吹かしたモミザは、目にも留まらない速さを叩き出した。

 あっという間にオークロード達との距離を詰め、軽々と薙刀を振るいだす。

 荒々しくも正確な斬撃によって、次々と魔物を仕留めた。


「ば、バカな!」


 いつの間にか、オークロード以外の魔物はただの肉塊と成った。

 そして最後の大物を倒すべくモミザは、槍を振るう。


「次はテメェだ、オス豚があああ!!」

「キサマアアアア!」


 雄叫びを上げた両名は、真っ向から勝負を挑み合った。

 先に繰り出されたのはオークロードによる、大雑把な一撃。

 彼の鉈は、とてつもない勢いでモミザへと迫る。


「グ、な!」

「コイツでッ!」


 しかし、モミザは慣性を無視した動きで攻撃を回避。

 魔法による強化を受けた武器の脅威を把握していただけに、この選択をした。

 僅かに髪を切り落とされながらも、オークの懐へと入り込む。


「終わりだ!!」


 自らの間合いに目標を捉えたモミザは、オークロードを滅多裂きにした。

 魔石も抉り取られ、完全に無力化される。


「うへ~、相変わらずの滅多裂きだね~」

「うっせぇ」


 バラバラに成ったオークロードに同情の目を向けながら、リージアは機銃掃射を行っていた。

 寄り付く火の粉は全て払い、リージアはモミザと共に上空へ上がる。


「アーマードパックまで持って来たのか?」

「そ、あんな数、流石に飛行ユニットだけじゃ不安だったし」

「けど、西門も何か有りそうだ、さっさとあのエルフの救援に行くぞ」

「だね」


 目に留まるのは、異世界人たちの呆気に取られる姿。

 彼らが釘付けになる火力を出す三人の攻撃で、色々とかたが尽きそうだ。

 上空へ攻撃する猛者も居たが、その攻撃も虚しく、一方的に弾丸をくらう事となる。


「みんな!私とモミザは西門に行ってくる、ここは任せたよ!」

『了解、こちらは我々で対処します』

『そっちは任せたよ』

『無理しないでよね』

「はいはい、行こ!」


 仲間達の了承を得た二人は、アイコンタクト送り合った後、現場へ急行する。

 森から町までを僅かな時間で移動できるだけに、町の反対側まで移動する事は容易い。


「見えて来た、あれだね」

「ああ、やっぱ何かと戦ってやがる」


 見えて来た戦場を前に、二人は高度を下ろしていく。

 その時、とんでもない突風が吹き荒れて来る。

 二人が思わず動きを止めてしまう程の風圧だ。


「え?何?」


 ――――――


 リージア達が西門に到着した頃。

 西門にて、フォスキアとバルバトスは激しく切り結んでいた。


「ハアアア!」

「オオオオ!」


 互いに一歩も引かない攻防で地面は削れ、衝撃による突風が吹き荒れていた。

 二人の戦いが災害と呼べる被害を出しており、今立っている場所以外にも、くぼみや焼け焦げた場所が見られる。


「いい加減、死になさい!」

「ッ!」


 一瞬の隙をついたフォスキアの鋭い突き。

 命中する寸前でバルバトスは防ぎ止めたが、その巨体は後ろへ大きく後退。

 そのチャンスをフォスキアは見逃さなかった。


「グハ!」

「これでも!」


 取り出したチャクラムに大量の魔力を流し込み、魔力で巨大な丸ノコのような物を形成。

 手のひらの上で高速回転させ、バルバトスへと投げつけた。


「くらいなさい!」

「チ!」


 投げつけられたチャクラムを前に、バルバトスは剣へと大量の魔力を流し込み、大きく振りかぶった。

 このまま避けなければ斬り裂かれ、避けた所で何か来る。

 直感的に悟った彼は、斬撃を複数発放った。


「させるかよ!」


 斬撃によって威力が殺された所に、バルバトスは一撃を入れた。

 その一撃によって、チャクラムは砕かれる。


「こんの!」

「読んでるぜ!」


 第二波として放たれたのは、フォスキアによる直接攻撃。

 その攻撃を読んでいたバルバトスは、背中の羽を用いて飛び上がった。


「やるじゃねぇか、だが、コイツはどうかな!!」


 片手を上げたバルバトスは、巨大で複雑な魔法陣を展開。

 その上に、バランスボール程の大きさの黒く禍々しい球を形成。

 下から見上げるフォスキアも、対抗できる魔法を用意する。


「ダークネス・クラッシャー!!」

「テンペスト・ブラスト!!」


 向けられた二人の魔法。

 この二つは互いの合間でぶつかり合い、凄まじい衝撃波と共に相殺される。


 ――――――


 同時刻。

 西門のすぐ前に降りたリージア達。


「えーっと……」


 完全にアウェイな空気に、リージアは絶句していた。

 想像以上の戦いに、完全にビビってしまっている。


「こ、ここはあの子に任せて、私達は、レーニア達の援護に行きましょうか」

「待たんかい」

「ブヘ!」


 尻尾をまいて逃げようとするリージアだったが、モミザは彼女の足首を掴んで阻止。

 地面とキスしたリージアの事を引きずり、モミザはフォスキアの方へと移動していく。


「ちょっと!あの人なら大丈夫だって!ていうか、あっち完全に世界違うじゃん!もうドラゴ〇ボール寄りじゃん!」


 完全に弱腰に成るリージアだが、モミザは聞く耳を持たずに距離を縮めていく。

 見る限り、フォスキアとバルバトスの戦闘力は拮抗している。

 だが、先の任務の疲労が溜まっているせいか、彼女の方が微妙に押されている気がする。

 疲労を溜めてしまった事への借りを返す為にも、二人で参加しなければならない。


「大丈夫だ、俺達ならへのへのかっぱだ」

「どの辺が!?こっちは近代兵器で俺強ええ!する気持ちで来てんの!拮抗してる戦力相手にしても、こっちがスパーキングされるだけでしょ!だから逃げるんだぁ!勝てる訳ないよぉ!」

「チ」


 頭にきたモミザは、今度は両手でリージアの足を保持。

 地面を思いっきり踏みしめ、リージアと共に回転しだす。


「中途半端なものマネ無理矢理ぶち込んでんじゃねぇ!それとさっさと行きやがれぇぇぇ!!」

「ギャアア!モミザも似たような事言ってたのにぃぃ!!」


 モミザのジャイアントスイングで投げ飛ばされたリージアは、弾丸となってフォスキア達の方へ直行する。


「ああもう!やればいいんでしょ!やれば!!」

「な、何だぁぁ!?」

「え!?」


 仕方なく機関銃をしまったリージアは、背部のハルバードに持ち換えた。

 突然ハルバードを構えて向かってくる彼女に驚くバルバトスだったが、すぐに迎撃の体勢に入った。


「こんの!!」

「チィ!」


 スラスターでも加速を入れた一撃だったが、甲高い金属音と共に弾かれてしまう。

 これによって、リージアはバランスを崩しながら吹き飛ぶ。

 しかも、その進路にはフォスキアがいた。


「ギャ、ちょ!ちょ!退いて!退いてぇ!」

「え、ちょ、ちょっと!」

「ギャ!」

「キャ!」


 突然の事に反応できず、二人は衝突。

 そのまま倒れ込むと、モミザも申し訳なさそうに到着する。


「あ~、悪ぃ悪ぃ、大丈夫、か……」


 その時、目を見開くモミザが見たのは。


「ン、ぐ」

「ン、チュ」


 事故でうっかりキスをしてしまった二人だった。


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