出生(享年1日?)
俺は母親の胎内から出てきた。
考えていたよりつつがなく進行して安堵した。
俺の前にいる父親と母親のような人が俺を取り上げたあと。何か、深刻そうな顔で緊急小規模家族会議をひらいてあるのが分かる。
こんな顔をさせてしまうのなら理由は一つくらいある筈だ。
1.奇形児。
例を見た事がない以上下手な事は言えないが、その可能性は低いだろう。
2.忌むべき容姿を持つ。
考えても他を見れない今考えるだけ無駄な時間だ。
3.時間やタイミングの都合
この世界に俺はゴブリンとして生まれる事が決まっていたらしい。先に通告を行なって生まれた者を回収しているとしたら。
しかし生まれた直後なだけあって言語の壁は厚い。
自身が生まれた種類的に学術関連には期待が持てるが、刻一刻を急いでこの会話について理解するべきだ。
捨てられるにしても、育てられるにしても。
この超重要な問題について考えていると、父親らしき人物?ゴブリン?がどこかへ走って行った。
少し今のうちにやる事だけやっておこう。
スミレ、言語に関して聞きたい事がある。
<なるほど、すまなかった。言語について考えてなかった。すぐ分かるようになるから少し待ってて。>
不測の事態だった様だ。受精卵から転生させて説明をした癖に意外と大分抜けた人間なのか、それとも……
思考を続ける内に父親が如何にも長らく生きたであろうゴブリンが現れる。長、リーダー格だろう。
「長老こちらです。個体差で埋まらないほど見た目が違うので、鑑定をしていただけないかと思いまして。」
自分の子供に向けるとは思えない言葉で長に伝える。
驚いた言葉が分かる。アイツ、本当に早く対応してくれたな、ありがたい。
見た目の違いとは何だろうか、進化による影響だろうか、元の人間の容姿が出たのだろうか。
<進化の影響だね。下等種族ではあり得ないといって良いほど珍しいものだ。>
進化産まれはゴブリンでは珍しいことのようだ。まあ、赤ちゃんの時点でステータスの値が一定値越してるとか、神様に愛されて、更に親の能力が滅法に高くないとだろうからな。俺のように転生前の能力を引き継いでるのはない例だろうから、場合によってはゴブリン初な程珍しいのではないだろうか。
いや、そんなことはどうでも良いなぜ子供にあんな目線を向ける?
「おお、普通の子に比べ多少だが容姿が人間に近いな。これも祝福産まれな様だな。何とこの様な時代を拝めるとは。どれ、では【鑑定】。」
祝福産まれ?進化生まれのことか。それはまあ良いだろう。問題は別だ。
人間と言った時、親二人が明らかに忌々しげな顔を見せた。しかしそれではマズイと言わなければならない。
産まれる直前に情報収集としてスミレに聞いてみたが、俺の種族、ナレッジゴブリンは成長と代替わりが早く人に全く似ないゴブリンと違い、寿命が人間ほどにながく成体になるのが早い。さらにゴブリンから見ると人にとても似るのが特徴らしい。あまり気にしてなかったが、こうなると早めに村を出た方が良いかもしれない。
そんなことを考えていた時、長老が少し悩みながら言葉を紡いだ。
「鑑定結果が出たぞしかし、これは……。」
「どうしたのでしょうか」「何か問題が?」
父親の言葉がでて、それに続くように母がいう。
「うむ、この子の種族名はナレッジゴブリン、成長が早いこと、寿命が長いこと、容姿が人に近いことが特徴じゃ」
ゴブリン目線で表示してくれているのだろうか。
スミレはゴブリンから見るとと一文を付け足していた。
考えを止めて少しばかり顔を親にむけてみる。
長老の言葉に両親は少し俺のことを見て、忌避する様な視線を向ける。あまりにも強い悪意を向けられたせいか、すこし硬直してしまう様な錯覚を覚えた。
その影響か警戒心が体に直接反映されて親から離れてしまう。
その行動を見たのか、それとも両親の顔を見たのかは知れないが長はこう言った。
「わかった。この子は私が責任を持って処分しよう。」
その言葉にニ・三秒程間をおいてから体の負傷を厭わず逃げる
しかし、赤子の落下死を恐れたのかベビーベッドの柵を越えられることなどできず……
そのまま捕まった。
突然生まれたばかりでの急な殺害宣言に狼狽してしまう。
<大丈夫、問題ない。>
スミレにそう言われたが、信用をおいて良いか不安になる程度の信頼感しかない相手に言われてもというものだ。
そうやって生まれた場所から離されていくのだった。
スミレさん、様敬語をお使い下さい。ください。




