誘導
ここまでの違和感を抱いた事は、初めてだった。
追うのを諦めていた問題が解決したかのような気持ちよさがある。
目を覚ましてそんなことを考えて、そこらの地面か、どこかで目覚めると考えていたが、そんな考えは外れて、華美な天井の下で目を覚ましていた。
誰も居ないうちに問いただす。
スミレ、お前は何をしているんだ?
<私の足りない頭で考えた、最良の策だよ。>
それと何の関係がある?
<まだ言えないかな。せめていつか来てしまう日の直前が良いな。>
俺の思考を正せ。
<私一人の意思ではできないかな。でも私の暗示は解いてあげる。>
詳細を言え。
<貴方の頭を、私と共有する暗示。>
意図は?
<私、地頭が悪いから、あと一つは恥ずかしいから言いたく無いや。>
本当に、それだけだな?
<貴方に誓って。>
強度がわからないな。
<華澄に誓ってって言ったら分かるかな。>
……そうか。なら解かなくていい。こっちに迷惑がかかる。
この会話、多分聞かれてるな。
会話が終わった途端、足跡がこちらに来たのがその証拠だ。
「丁度、終わりましたね。」
馬車で会ったお嬢が扉を開けた。
「ああ、すまなかった。」
危害を向けようとした事は事実だ。
「いえいえ、首締めに痛みは発生しておりませんので。」
「なぁ、神に勝つ方法って、考えたことあるか?」
「私共にとって、神とは七大神でございます。貴方の神と、私が思い浮かべる神は別物ですので。」
「あんたの神は、俺の神に勝てるのか?」
「当たり前に。」
「じゃあ、アンタは?」
「良く見積もって同格、彼女は同種喰いを果たしている。あちらの戦力を低く見積もって二倍でしょうか。」
「アンタとあいつは同格と言っているのに戦力は二倍の意味がわからないな。」
「元は全員同格です。しかし、彼女は神欲を喰っている。」
「俺についてくる気はあるか?」
「愚問ですね。いかな暗愚とてここで聞くほどの愚者はおりますまい。」
「ついてこないと。」
「?何を言っているのですか?ついてくると言っているんです。あなた、しっかりきいていましたか?」
「会話の流れでそうなるほうがおかしいだろ。」
「!もしかして、貴方!呪い持ちを一体も倒していない?」
「そうだよ!悪いか?」
「いえ、神欲は呪いなしで倒せるような人間ではございません。」
「そうか、準備してこい。」
「そうですね。」
やはり変人だった。
<そう、基本的に奴らはどこかイカれてる。>
どうせ準備には時間がかかる。
外に出て遊んでしまうか。
街に出て見ると、英雄が讃えられていた。調べた名前はバグキラーその名の通り虫を殺して讃えられたらしい。
<この世界の虫ってめちゃくちゃ強いからねぇでも最近、何かの拍子で今まで消えていた完全体が姿を現した。>
どうせ俺には関わらないな。
ちょっとやってみたら、幼虫が出てきた。全部一刀両断してみたら英雄になった。しかし、二つ名はつかず、バグキラーの人気の高さを実感した。
興味本位でバグキラーがどこにいるのか聞いてみたら、
「は?何言ってんだ?ここは宗国、あの人がいるのは武王国、そんな事も知らないのか?」
なんて言われた。
すると、急にとても聞き覚えのある音楽が聞こえてくる。
何故か調べてみようと思ったが歓楽街の方から聞こえた時点で諦めた。流石にダバダーが流れてたら嫌でも気になるだろう。
気になる事を調べ尽くして暇になった。
街の外に出てみることにする。
そこにすら面白いものはない。気になったのは、武器としてチャカを普通に使ってる事だった。
<魔法がある世界で、錬丹術が進まないと思う?>
なんか論破された気分になった。
「終わりましたよー?」
急に背中から素の力で心臓握り潰せる奴から話しかけられたらびびる。
「おう、じゃあ行くか。」
何故、外に出ていたのにここまで来たのか、気になる事はあるが、聞いても良いものだろうか。軽い返事をしながら考えていると、
「私のスキル、最も強い物は崇拝。神を信じる者は全て私の力に還元されて、実質的に私の眷属になる。」
そんなことを言われたら、聞きたいことがある。
「俺は神を信じているのか?」
貴方は神を信じますか?なんて問いがあるが、俺は上位存在はいると考えていた。
しかし、それが神と言われる物なのか、わからない。だから聞いた。
「少なくとも、この世界で神と呼ぶしか無い存在を発見している。貴方は、その記憶に従って、私達を神と呼ぶ。つまり、前の世界では兎も角、今、神を信仰しているんです。」
そうなのか。続かない話だったな。
「おっと、先にこちらへ行きましょう。智欲がこの事態を把握していない訳がない。」
前から言っている、智欲、神欲とはなんなんだ?
<その人の求めたものと、欲を組み合わせる。例えば狸は、神の力を求めたから神欲、狸をオトす美を求めたから美欲。って具合にね。>
じゃあ智欲は?
<教えない方が面白いから、教えない。>
失敗したな、余裕がある時はよく面白くなるように動くんだ……。




