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二次試験の始まり

 入学試験二日目、今日からニ次試験の勝ち残りトーナメントが始まる。試験会場になる闘技場には、見たところ150人近くの受験者が集まっていた。ヒイロとヴァンジャンスは、会場全体を見渡しながら、たくさんの様々な種族を見て感動していた。一次試験では教養試験への自信の無さから周りを見れていなかったが、実技試験という得意な試験になったことで、ようやく周りを見る余裕ができたのだ。


 キョロキョロと辺りを見渡しているヒイロをヴァンジャンスが無理矢理、頬を引っ張りけ後ろを見させる。


「いてて、なんだよヴァン!」


 文句を言いながらヴァンジャンスの方を振り返るヒイロに、ヴァンジャンスが後ろの観客席にいるノミルとミコルを視線を向ける。目があったノミルとミコルは手を振っている。試験が始まるまでまだ少し時間があったので、ヒイロとヴァンジャンスは、ノミル達の所に向かう。


「ちょっと、ヒイロ大丈夫?落ち着きがなさすぎよ!」


 ミコルは少し笑いながらヒイロを叱る。


「いや、だってミコ姉、俺達さぁこんなに色んな種族を見るの初めてなんだもん!」


「ん?俺達?ちょっと待て……俺は別にキョロキョロなんかしてないぞ」


「いや、首は動かしてないけど、目はキョロキョロしてた!絶対にキョロキョロしてた!!」


「どっかのアホじゃあるまいし、俺はキョロキョロなんかしない!ゆっくりと周りを見渡していただけだ!」


(いや、見渡してるんかい!)


 と、ノミルとミコルが心の声でツッコミながら、ノミルが2人の気持ちを汲んで簡単に種族紹介を行なっていく。


 ヒイロは興味津々で、目を輝かせながら聞き、ヴァンジャンスも興味なさそうに見せながら、聞き耳を立てて聞いている。


「確かに……悪かったなぁ……お前たちを旅行とかに連れて行ってやることが出来なかったもんなぁ、アインのギルドに来る冒険者もほとんどが獣人族や知識人族だし」


「でもそれは……お兄ちゃん……」


 少し申し訳なさそうに話すノミルに対し、ミコルが言葉を返そうとするが、ヒイロとヴァンジャンスを見て止める。ノミルは、そんなミコルの頭を撫でながら、ヒイロ達が気になる種族を笑顔で教える。


「ほら、あそこにいる黒い翼を持っているのが魔人族。色んな種族の中でも基本的に戦闘能力では、ずば抜ける種族だな。仲間意識や戦闘の強さに関心が高いが、逆に他の種族に対して差別や偏見もない。」


「へぇ、見た目怖そうだけど、いい人達なんだ!?じゃあ、あっちの強そうな人は?」


 ヒイロは素直に受け入れる。そんなヒイロの様子にノミルは嬉しそうに頭を撫でながら、ヒイロが指さした種族の説明をする。


「あれは、龍人族だな。炎や水、風とか属性の竜種によって羽や尻尾の色が違う。魔人族と同等の戦闘能力を持っていて、風の属性なら風龍族、火なら炎龍族などその属性別では、最高峰の力を持っている。そして基本仲間と群れない孤高の種族って言われている。だから他種族には興味や関心はあまりない分、差別とかもないと言われいてる。」


「あれは?」


 今度はヴァンジャンスが指をさす。ミコルは少し動揺を見せ、ノミルの袖を掴む。


「あれは……エルフ族だな。魔法に特化した種族で……プライドが高く基本、自分の種族エルフ至上主義。他種族を認めない。特に歴史上仕方ないが、獣人族と同じぐらい知識人族を恨んでいる。まぁ中にはそうでないエルフもいるみたいだがな」


「どうりで……さっき俺達を睨んでいた気がした」


 ヴァンジャンスの呟きに、ヒイロが「そっかぁ?」と首を傾げる。


「じゃああれは?」


 ヒイロはお構いなしに次々と聞いていく。


「あれは、ドワーフ…鬼人族オーガ…あっちはエルフの亜種族のダークエルフだな……他にもここにはいなそうだが、妖精族やノーム族、人魚族なんかも世界にはいて、様々な種族がいるんだぞ」


「すっげー!!俺、世界中回って色んな種族の友達作りたい!!」


 ヒイロの言葉にノミルとミコルは少し切なそうにしながら笑顔で頷く。ヴァンジャンスは、そんなヒイロの言葉に興味なさげに言葉を続ける。


「俺は別にたくさん友達は欲しいと思わない……だけど世界中回っていろんな綺麗な場所や新しい場所を見てみたい……とは思う」


「そうね、それは素敵だね」


 ミコルはヒイロとヴァンジャンスを後ろから抱きしめながら答える。そして、優しく背中を押しながら声をかける。


「さぁ、頑張ってらっしゃい!お勉強は好きでもないのによく頑張りました。今度はあなた達の大好きな実技試験よ。周りの目を見返す気持ちで頑張りなさい!!」


 ミコルの言葉にヒイロとヴァンジャンスは笑顔で応える。


「はーい!」

「わかった」


 タイミング良く集合がかかり、2人は集合場所に向かう。そんな2人の後ろ姿を見ながらミコルは小さな声で呟く。


「怪我だけはしないでね。」


 そんなミコルの頭をポンポンと叩きながらノミルは笑う。


「大丈夫だよ。あいつらはあぁ見えて本物の天才だよ。能力も知識人族のスペックを遥かに超えてる。だから心配しなくていい」


「そうね。けど、あの子達……私達と同じハーフなのかな?」


「いや、他の種族の特徴は全くないからな。もしあるとしたら神様とのハーフかもな」


「そんなわけ……でも……そうだったら素敵ね。きっとそれならどんな逆風も乗り越えられる。」


「あぁ、現にアイツら小さい頃からそーだったじゃないか」


「そうだね。」

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