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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

君の手を掴んだ日。

作者: ゆかちゃん


醜い私が君に恋をしてしまった。

あぁ。神様は本当に残酷だ。


-----------------------------------------


私には父親がいない。

正確には誰が父親なのかが分からない。

母は所謂体を売っていてある客との間に私が出来てしまった。

それだけでも母は私の事を荷物の様に感じているのに

私の顔には生まれつき醜いアザがあった。


美しいものが全て正しいと考えている母にとって

私の醜さは耐えきれるわけもなく

また、自分からこんなに醜い子供が生まれた事が何より気に入らなかった。


母は私に満足な食事を与える事はなく

世間の恥だと私を家に閉じ込めた。

客が来る日は決まって私をベランダの箱に閉じ込め鍵をかけた。

機嫌の良い日は悪態を付きながらも一言二言会話をしてくれ

機嫌の悪い日には「お前さえいなければ」などと暴言を吐き捨て手をあげた。


幼い頃はそれで良いと思った。

痛いのは嫌だったしお腹は空いているし一人の夜は寂しいし

箱の中は狭く暗く息苦しかったが

外に出た事のない私にとって母は全てだった。


それが当たり前なのだと

それが世界なのだとそう思っていたから。


そんなある日気づいた事があった。

母はあまり同じ客をとる事はしない。

姿は見た事はなかったが箱の中はあまりに静かで

いつも母と男の声を耳にしていた。

いつも違う声、違う話し方、母が口にする客の名前。


それがある日を境に同じ声同じ話し方同じ名前になった。

母はある一人の男に想いを寄せているらしい。


その男が来てから私の存在はますます薄くなっていった。

箱に入れられたまま数日放置されたある日


箱の鍵が開けられた。

(あぁ、やっと思い出してくれたんだね)と朦朧とする意識の中視界にいたのは

母ではなく知らない男だった。


「可哀そうにこんなに痩せて」


そう言って男は優しく私を抱きしめた。


(暖かい。)

母にも抱きしめてもらった事がなかった私はそのまま意識を手放した。


-----------------------------------------


その日夢を見た。

夢の中の母はとても笑顔で優しく私の事を抱きしめてくれた。


-----------------------------------------


「・・・ん」


「目が覚めたかい?」


ぼんやりとした視界の端に知らない男の顔があった。


ここはどこだろう。

私は狭くて薄暗いアパートに住んでいたはず。

これはベッド?ふかふかで暖かい。

今まで畳の上で枕もなくタオルケット一枚で冬も夏も過ごしてきた。

みんなはこんなふかふかの中で毎日眠りについているんだ。


なんてベッドを堪能していると「まだ寝ぼけているのかい?」

とまた男の顔がのぞき込んできた。


「・・・あの、ここは・・・?母は・・どこ・・ですか?」


今までろくに話などした事もなく久しぶりに聞いた自分の声は

ガラガラで聞くに堪えない声だった。


「ここは僕の家だよ。君のお母さんはここにはいないよ」


それから男はゆっくり私に話をしてくれた。


まず男は私の実の父親だと言うこと。

母親は現在行方をくらませているとの事。

母はアパートのお金を半年以上滞納し続けていたそうで

大家が契約違反との事でアパートを開け部屋の物を片付けていた所

ベランダの箱を見つけたそうだ。

中には衰弱しきった私がいた。

部屋にあった母子手帳から警察に依頼し父親を捜したところ

この男に行き当たった。


「今まであんな扱いを受けていた君の存在も知らず、今更ではあるけれど

君さえよければここで僕と一緒に住まないかい?」


「今まで与えてもらえなかった幸せを沢山教えてあげるから」


何となく分かっていた。

母は私を捨てたんだと。

私がいるとあの男に愛してもらえないから。

私が邪魔だった。

だからあのアパートごと母は捨てたんだ。


あんな扱いを受けていても私にとっては母が全てで

母が世界であのアパートが私の居場所だった。


ねぇ、お母さん。

どうして私を生んだの?

生まない選択もあったのに。

どこかに捨てる事も出来たのに。

どうして?どうして・・・。


どうして今更捨てるの。


涙が出た。

今まで泣くと母が怒るからと

どんなに寂しくてもどんなに痛くても我慢してきた。


どうしてこんなに泣いているんだろう。

解放されたから?

母がいないから?


男は静かに泣く私を優しく抱きしめてくれた。


暖かい。

私はこれが欲しかった。

一度で良いから母からの温もりが欲しかった。



こうして私は父親と暮らすことになった。


父は毎日健康的な食事を私に食べさせてくれた。


「いっぱい食べていっぱい肉をつけるんだぞ」

と細い私の体をいつも悲しそうに見て言った。


いつまでもこんな醜い姿をしているとまた捨てられてしまう。

私はそんな思いで毎日ご飯を沢山食べた。


母子手帳によると私は8歳らしく

教育を受けてこなかった私は文字も書けなければ

会話もろくに出来なかった。


「まだ学校は難しいね」と父は仕事の合間に私に文字や言葉を教えてくれた。


そんな生活が2年続き10歳。

父が与えてくれた幸せな生活のおかげで私は随分健康的になった。


体も肉が程よくつき

勉学も父が教えてくれ学校に通っていなくても知識はそれなりにあった。


父は優しく泣いても私をぶつ事はない。

暖かく優しく私に幸せを教えてくれた。

そんな生活で私はここに居てもいいのだと、

ここが私の本当の居場所なのだと、そう


錯覚してしまった。


暖かい食事、ふかふかな寝床、可愛い洋服。

確かに私はなんでも与えてもらえる幸せな空間にいた。

しかしまだ得られていないものがあった。


外だ。


この2年間私は男の部屋から出た事がなかった。

男の部屋には窓がなく一度も外を見た事がなかった。


日中男はいつも部屋にいるが

夜になると部屋の外からドアを開ける音が聞こえていた。


ある夜、私は好奇心で男のあとをついて行った。


それが地獄の始まりだったとも知らずに。



男の部屋のドアを開けると長い長い階段があった。


それも上り階段。


静かに上って行くと布の様な物から細く光が差し込んでいた。


そっと近づくと奥から父の声と他に何人かの声が聞こえてきた。


この時何も見ずに、違和感を感じずに部屋に戻って眠りについていれば・・・。



聞こえてきた声に懐かしさとそして不安を感じた。

布の隙間から見えた光景に私は声も出せずその場から動けないでいた。



父の部屋は地下にあった。

それも違法風俗店の。



布の奥では私と同じくらいの女の子が数人の男に犯されていた。

懐かしく感じたのは

あの頃箱の中で聞いていた客に抱かれていた母の声に似ていたから。



その時目の前の布が開いた。


「・・どう・・して・?」


怪しく笑う父がそこに立っていた。


-----------------------------------------


気が付くと私は母と暮らしていたアパートにいた。

正確には父があのアパートに似せた部屋だった。


夜になると知らない男が数人入ってきて私は一晩中男たちに犯された。

朝になると父が来て男たちが置いて行った金を回収しに来る。


「もう少し良い体に育つまで待つつもりだったが、まぁいいだろう」


「お前は顔は醜いが体だけはあの女に似たみたいで良かった。」


父は毎回私に話しかけてきた。

話しかけたと言うよりも独り言のように話をして満足したら帰って行った。

私は意識が遠のくなか父の話を聴き毎日そのまま眠りにつき

また夜男たちに起こされ気を失うまで犯された。


もう優しかった父はどこにもいない。

私が一体何をしたのだろう。

どうして私ばかりこんな目に合うのだろう。


どうして。



そんな生活を何年か送った。

変わらず毎晩男たちが来ては私は犯されていた。

あの頃と変わった事は体力がついたこと。

後は、何人かの常連からチップにとプラスでお金をもらっていた。

体力が付き気を失うことも減った私はある決意をした。


いつかこの部屋を出る。


父親から逃げると。



私はそう決意した。



プラスで貰ったチップを父から隠し

男たちが来る時間

帰る時間

また父が来る時間など

部屋から出られるタイミングを捜した。


常連の男たちと少し会話をする様になってからは

情報収集も捗った。


父は何店も違法店を経営していて

虐待を受けている女の子を攫っては私の様に部屋に閉じ込め

売れる見た目になるまで食事を与えそして準備が整うと店に出していた。


幼い女の子を私利私欲を満たす為だけに育て売っていたのだ。


私の事も本当は知っていた、とある朝金をとりに来た父は言った。


偶然行ったお店で母と知り合い子供を孕ませた。


母は父から逃げるように引っ越しあのアパートで暮らしたが父は全て知っていた。


そして母が失踪したあの日、母に接触し男と金を渡したのだと。


父は私で金儲けをする為に母に近づき孕ませ

頃合いを見て母から私を買い

私を助けたかの様に回収しにきたのだ。


「お前の母親は美しい顔をしていたし体もなかなか良かった。」


「お前もそのアザがなく美しい顔に生まれていたらこんなボロアパートじゃなく

綺麗なお店でもっと品のある金持ちに食わせたのに。」


「そんな醜い顔で生まれた自分を恨むんだな」



私は悔しかった。

ただただ悔しく、そして憎かった。



助けて。


誰か。


ここから出して。



「・・・おかあ・・さん」


あぁ。こんな時助けを求めるのが私を売った母親しかいないなんて。


私はなんて・・・。


神様はなんて残酷なんだろう。


「憎い。」


父親が。


「殺したい。」


全てを。


『本当に?』



その時頭の中で声がした。



『今のままで本当にいいの?』


いいわけがない。


『いつまでそこにいるの?』


今すぐにでも出たい。でも私には・・・。


『僕が君を助けてあげると言ったら?』


そう言って私は騙された。


『そうだね。じゃあ君だけでどうにかするしかないね』


そう。だから早くいなくなって。


『僕の手を掴むだけで君はそこから出られるのに』


どうして私を助けようとするの?


『君がそれを望んでいるから』


『さぁ、僕の手を取って』


『ここから出してあげる』


『だから僕と・・・・』


-----------------------------------------


気が付くと私は外にいた。


細い裏路地に仰向けになって倒れていた。


初めての外。

空気が冷たくて心地よくて星が綺麗だった。



「初めての外はどう?」


それが君との出会いだった。


「・・・君は?」


「僕?んー僕の事はルイとでも呼んでくれればいいよ」


「ルイ・・・?」


「なんだい?」


「君が私を助けてくれたの?」


「そうだよ。」


「どうして?」


「特に理由はないけれど」


「・・・」


「理由がないと助けちゃいけないのかい?」


「今まで私の周りにいた人間はみんなそうだった。」


「僕をあいつらと同じにしないでほしいね。まぁ、見返りはしっかり頂くけどね」


「!やっぱり。何が違うの。残念だけど私は何も持っていないわ」


「大丈夫。君でも叶えられる事だから。」


「?」


「やっぱりあの時の事は完全には覚えていないんだね」


「あの時?」


「そう。僕は君にこう言ったんだ」



『僕と、友達になってよ』



あの時の事は夢だと思っていた。

頭の中で響いた声。

怪しく笑う美しい男の子。

天使か何かかと思っていた。

あぁ、やっと迎えに来てくれたのだと。


そうか。違ったのか。

私の体はまだ暖かく。

目の前にいる君の手もあの夢と変わらず暖かい。


私生きて今外にいるんだ。


「私は・・・自由」


「そうだね」


「私の名前はせな。こんな私で良ければよろしくね、ルイ。」



私と君の出会いは運命的だった。


それは奇跡の様で。一時の夢の様で。



このまま君と二人いつまでも笑っていられたら


ーーーーーーーーーーーーーよかったノニ。



ルイとの生活は楽しかった。

家とは呼べないが廃墟のビルを住処にし

隠し貯めていたお金で慎ましくひっそりと生活していた。


毎日他愛のない話をして、二人で星空を眺め

あぁ、これが幸せなんだと、そう思う反面

この幸せもいつか壊れてしまうのでは、と怖かった。


その度にルイは手を繋いで落ち着くまで傍にいてくれた。

それがすごく嬉しかった。


毎日を共に過ごす内に私はルイに想いを寄せるようになった。

もしかしたら出会った時に恋に落ちていたのかもしれない。


ルイは時折「少し出かけてくるね」とビルから出ていくことがある。

最初は不安だったけど必ず夜には帰ってきて少し贅沢なご飯を持って帰ってきた。


ルイが出かけた日にはいつもルイの事を考える。

毎日一緒にいるのに少し離れただけでとても寂しくなる。

もうきっと一人で眠ったあの夜を私は過ごせないだろう。


ルイはあまり自分を語らない。だから余計に思う事がある。

実は天使なんじゃないか、と。

突拍子もない事ではあるが考えれば考える程思い当たる節しかない。

肌も白く美しい見た目。普段は黒い瞳も時折紅く怪しく光る事がある。

時折出かけては豪華な食べ物を持って帰ってくるし。

もしかしたら天使じゃなくて悪魔だったり?


それでもいいと思った。

いつか私の魂を食べてくれたりしたらきっと幸せに眠れる気がする。

ルイが望むなら。ルイと一緒になれるなら。

そうだったらいいな。



その日もいつもの様にルイを見送り

一人ルイの事を考えていると後ろから足音がした。


「?ルイ?忘れも・・・のっ」


「ルイ?少し会わない内に奥の顔も名前も忘れちゃったのかい?」


「ぁ・・・あぁ・・」


全身の力が抜ける。血の気が引いていく感覚がする。


そこに居たのはルイではなかった。


「元気そうで良かった。楽しめたかい?」


そこにはあの時と変わらない怪しく笑う父が立っていた。


-----------------------------------------


「ぃたい!!はなして!!」


「少し自由を与えただけで随分でかい態度をとる様になったね」


髪を掴まれ壁に投げ飛ばされた。

息が苦しい。ここはかつて私の居場所だった場所。

ここに居たくない。苦しい。ここから出して。

誰か助けて。ルイ・・・!


「る・・・い・・」


「そう言えばさっきもそんな事を言っていたね。るいって言うのは人の名前かい?」


「・・・」


「あの廃墟で世間知らずのお前が一人暮らせていけるわけがないよな。誰といたんだ」


「・・・」


「言いたくないのならいいんだよ。探すだけだ」


「・・・っ」


「だた、言っといた方が良いと思うけどね。」


「・・・関係ない。あの人は何も・・知らない」


「・・・そう。お前はそんな馬鹿ではないと思っていたんだが。」


「・・・」


「そうだ。お前はあの時ここから出て行ったんじゃない。

ここから出してあげたんだよ。僕はね、喜々とした顔が絶望に染まる女の顔

たまらなく好きなんだよ。どうして僕があの廃墟に来たと思う?」


「・・・ぇ」


「お前を引きとったあの日、お前の体に埋め込んだんだよ。」


「・・・!」


「発信器、を」


私の顔を見て満足した父は笑いながら


「おかえり。仕事の時間だ。」


と言い放ち部屋のドアを閉めた。


-----------------------------------------


いつもよりも用事が長引いてしまったが今日のご飯も豪華なものだった。

「早く帰ろう」


せなの嬉しそうな顔が浮かぶ。

それだけで口元が綻んだ。


ある日暇つぶしに散歩をしていると物凄く大きく美味しそうな負のオーラを感じた。

ボロいアパートに幼い女の子が一人。


憎く、全てを殺してしまいたいと少女は答えた。

ほんの出来心だった。


差し伸べた手を掴んだ少女の手は小さく頼りなかった。


それから廃墟のビルで少女と過ごした。

飽きたら魂を食べればいいと、そんな軽い気持ちだった。

そんな生活も気が付けば1年、2年と過ぎていき

少女は、せなは僕にとって大切な存在となっていった。

あとどれだけの時間こうして過ごせるかな。


なんて思いながらビルに帰った。


しかしビルにせなの姿はなかった。



あいつだ。あの男。せなの父親。

あの時殺していれば。いやしかし。

人間を殺めるには契約者の魂が必要。

あの時も今もせなは契約者ではない。

それに契約してあの男を殺してしまえばせなは・・・。


「・・・とにかく探そう。」


契約者なら魂の位置が分かるのに。


「・・・くそ」


待ってて、せな。絶対見つけるから。


-----------------------------------------


あれから何日経ったんだろう。

昔は多くても2、3人だったのが今では5人もの男が私を犯し

アパートは狭くより息苦しかった。


ルイ。会いたい。急にいなくなったからきっと心配しているよね。

いや。していないかもしれない。

ルイはあまり自分の話はしなかったし

きっとあの日私を助けたのもただの気まぐれだろう。


もうきっと会うことはない。

そうだ忘れないと。

こんなに穢れた私が想っていい相手じゃない。

あれは、あの日々は全部夢だったんだ。

そう、幸せな夢。

本当に神様って


「・・ざん・こく・・・だなぁ」



毎日毎日休まる事無く父は私の元に客を送った。

気を失っても叩き起こされ

時折口からこぼれる声はかつて箱の中で聞いていた

母親の声と同じだった。


吐き気がする。


自分にも

こんな世界にも。


私は今も変わらずベランダのあの箱の中にいるんだ。

今は自らで鍵をかけ

もう誰にも触れたくない。温もりもいらない。

勘違いしてしまうから。手を伸ばしてしまうから。

もう何も望まない。このまま死んだって構わない。


だから。

だから最後くらい私の望みを叶えて。神様。


優しい母親も

暖かい父親も

ふかふかなベッドも

美味しいご飯も


全部ぜんぶ要らないから。


あの人に

一目だけでもいい。

幻だって構わない。

会いたい。声が聴きたい。


「・・・ル・・・ィ・・」



『やっと、見つけた』



待ち望んでいた君の背中には黒い羽が生えていた。


紅く光る瞳が綺麗で


あぁ。神様。やっと私の願いを叶えてくれたのね。



目の前の彼はこの世の物とは思えぬ程美しかった。



『せな。ごめんね。遅くなっちゃった。』


どうして謝るの?

君はこうして私を見つけてくれたじゃない。


『せな。僕君に隠していた事があるんだ』


知ってるよ。

悪魔、なんでしょ?


『気づいていたんだね。』


だって君はこんなにも綺麗だもの。


『ねぇ、せな。僕と契約・・・する?』


契約したら私の魂を食べてくれる?


『そうだね。』


そうしたら私はずっと君といられる?


『あぁ。ずっとずっと永遠に一緒さ』


そう。それは素敵な提案ね


『君が望めば君の事を苦しめてきた人間たちを裁く事もできる』


君と一緒になれるならそれ以外は望まないよ


『でも、僕は・・・』


でも、君の顔を曇らせてしまうのなら望もうかな


『僕は本当に愚かだった。君から離れるべきじゃなかった』


だいじょうぶだから、わらって?


『うん』


はやく、つれていって・・


『分かった。我ハ汝、汝ハ我。今此処デ我ト契約ヲ結バン。』



紅い光が体を包む。

暖かい。

ルイの温もり。


ルイ。あのね。


大好き、だったよ。


ありがとう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日アパートの一室が一面真っ赤に染まり

大量の男の変死体が発見された。





『これからはずっと一緒』




『僕も、大好きだよ』






ーーーーーーーーーーーーー end.








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