番外編:ご依頼に伴うラフの変遷
番外編ですし、長いですし、備忘録的な心得その他を書いています。
さらさらっとでどうぞ〜。
いちおう、本当にいちおうなのですが、小ぢんまりと有償依頼もお引き受けしています。
本当に個人様向けです。
つい先日も「小説家になろう」で作品を投稿されている香月よう子さまへ納品ができましたので、今回は番外編として、ご依頼に伴うラフ画の流れ等をいくつか振り返ることにしました。
そもそもラフ画とは……(割愛)
◎『ふたりのアラベスク──あなたに心、奪われていく』
https://ncode.syosetu.com/n5917fw/
まず、候補の回や場面をそれぞれラフに起こします。
気に入っていただけたものは、ほぼそのままをクリーニングしてお使いいただける場合があります。
作品では左上のアナログ鉛筆画と、一番下のデジタル・モノクロ版を採用していただけました。
◎『十八歳・ふたりの限りなく透明な季節』
https://ncode.syosetu.com/n1757ft/36/
恋人たちの可愛いクリスマス回でした。ほんのりと甘い場面もあったのですが、作者様推しのサンタコスが採用となったご依頼です。
作品にはモノクロ版をお使いいただけました。
◎『初めての朝の光に幸せに笑って』
https://ncode.syosetu.com/n1077ho/
ご指定の場面すべてをラフに起こします。
絵で伝えきれない要素や質問点はメモ書きで。
重要な小物であるマグカップは、形や絵柄について何度もやり取りをさせていただきました。
ヒーローの服や髪型、ヒロインの服や髪型についても細かな参考画像を添付していただいたので、とてもイメージを掴みやすかったです。
そして、昨日新たにお届けできたのは上記一つ目の『ふたりのアラベスク──あなたに心、奪われていく』第四話「恋は堕ちるもの」の挿絵でした。
【ラフでのやり取り】
いくつかの参考画像をもとに、まずは三種類のラフをお送りしました。
花嫁の装いは描写の核でもあったため、慎重にご希望へと近づけていきます。
〜やり取り簡易版〜
作者様「②でお願いします」「花嫁はもっと左。新郎は③っぽい姿勢で」「新郎は目を開けたものを。もう少しドレスが入るように」
私「すみません、もっと②に寄せたかったんですが、アナログB6用紙でこれ以上の遠景は細部の描き込みが……!!」
――などと、それはそれは熾烈なやり取りが(笑)
うそです。
お応えできない場合は正直にお伝えして、できる範囲のベストを尽くします。
《注釈》
やり取りの初期だからこそ、たとえ何度も読ませていただいた作品であろうと、描く前の細やかな情報伝達は必須です。
「だろう運転ダメ、絶対」であるように、「だろう作画ダメ、絶対」t (ぐはッ)※吐血
自分の技術を正確に把握しておくことも重要なのです……。←イマココ
【主線確定:最終ラフ】
確定した線をもとに作画していきます。
【塗り&線のクリーニング】
はみ出た線を消して、塗って、ぼかして、また重ねて塗って(略)。だいたい五時間です。
【アナログ完成】
このあとはスマホでのデジタル調整に入ります。
ヒロインがアルバムの写真を眺め、結婚式の自分たちを回顧するシーンなので……
差分①ふわっとモノクロ
差分②ふわっとセピア
差分③くっきりモノクロ
差分④そつなくセピア
結果:熟考の作者さまに④を選んでいただき、晴れて納品となりました!
そうそう。
ラフで引いた線とクリーニングした線の違いや、色を塗る際の一手間の重要性も書きたかったのですが、それは次回で。
ただただ鉛筆を愛する無名の身として、原画を含めてアナログ絵をお求めいただけることは奇跡だと感じています。
一生の運は使い果たしました! ありがとうございます〜(ここで)
〜また、何かに挑戦する?〜
▶はい
いいえ




