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僕は大事件と遭遇した。

痛かったのを覚えている。

熱かったのも、怖かったのも。

空っぽのまま終わっていく恐怖感が胸のどこかにこびりついていた。

「.........っ⁉︎」

そう、僕は死んだはず。何もわからないまま、空っぽのまんまで、だけどーーー

「ここ、はーーー...?」

汚れた木組みの天井が視界に映っている。

「あ、起きた?」

「え!...は、半裸の人...っ!?」

「クレハでいいって」

クレハ、僕が唯一知っている人間の一人。洞窟内で半裸で筋トレをしていた変な人。なぜかその人が寝ている僕の顔を覗いている。

「っーーーー⁉︎」

洞窟の中でのことを思い出して自らの身体を見る。そこにはまるで何事もなかったかのように足が真っ直ぐと生えていた。

「あ、覚えているんだ。凄いね君のそのスキル?それとも魔法かな?ミサキの爆発魔法を受けた後でもすぐ元に戻ったらしいね!」

「...???す、スキル?魔法?元に、戻った...?」

わけのわからない単語が次々に出てきて混乱してしまった。

「...えっと、クレハ、だよね。その僕...死んだんじゃ...?」

「死んだ?少なくとも今は生きてるように見えるけど...あ、もしかして昨日の記憶があんまりない?」

『昨日どころかほぼ全部無いです』と言いかけて止める。記憶のことも気になるけどまずは自分に何が起こったかが知りたいから。

「いやぁーオレもさ、ミサキ...えっと白い髪の魔法使いのやつに突然『死体が生き返った、クレハの名前を呼んでたから来て』って言われてあの洞窟に急いで戻ったらボロボロの君がいてさ!とりあえず放っておくのもあれだからってなってオレの家に連れてきたんだ」

「魔法使い...?あの格好、コスプレとかじゃなくて...???」

「何言ってんだよー!あんなのコスプレって感じの服じゃ無いだろ?普通じゃん!」

と、クレハが笑う。

「どこが⁉︎あんなメルヘンでスカートひらひらで真っ白で謎に胸元少し開いた服普通なわけが––––––...」

「そ、そんなに変......この服」

「......................」

部屋が凍った。

「...?え、えっとぉ...な、なぜここに...?」

「...」

涙目でふるふると口を紡ぐ魔女っ子の代わりにクレハが笑いを堪えながら答える。

「あぁ、ミサキはお前のその特殊なスキルが気になるって言ってうちにいたんだけど––––」

最後まで言い切る前にクレハが笑い出す。待ってそこで君が黙ったらこの空気どうするんだ。目の前のミサキって少女は今にも泣き出しちゃいそう!

「......っていうか、気になってたけどスキルって?」

僕は話題を逸らすことにした。

「なんだ無意識に発動させたのか?お前が美咲の攻撃を受けた後発動させたやつだよ」

「???」

「......君、灰になった後ずもももって...音を立てながら元の形になった...」

「僕は一度灰になったのか......」

そういえば最後に爆発を受けた気がする、あれでか。

「っていうか元の形に...?もしかしてさっき言ってた僕が生き返ったってもしかして–––––」

「あぁ、お前『不死身』なんだろ?」

「初耳ですが⁉︎」

いや記憶ないから大体初耳だけど。それよりもっと聞きたい大事なことがある。さっきからさらっと流したりしてる凄い大事なこと!

魔女っ子コスプレの女の子だったり僕を食べた生き物だったり魔法だったりスキルだったり!!

「–––––––––あの、スマホってご存知ですか?」

「「......なにそれ?」」

ミサキとクレハが同時に答える。

なるほど、つまり僕は。


「......これもしかして、噂のなろう転生してる.........ッッ⁉︎」

チート能力に記憶喪失。さしずめタイトルは『異世界記憶喪失無双』とかであろうか。3話ほどかけて僕はようやく、





ようやく、自分の身に起きた大事件を理解した。

わからん––––––。

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