始まりの1歩手前。(2)
子供は何人がいいかな!
ふっ、なんてそんな事ありえないか……。
自分で自分を嘲笑う。
でもまあ、私のイケメン察知能力は基本当たるからイケメンは来ると思うんだよね!
なんならこの愛情たっぷりチョコを押し付けよう。
さぁかもん!いーけめん!いーけめん!いーけめん!いーけめん!いーけめん!いーけめん!いーけめん!いーけめん!いーけ…………。
そんなイケメンコールを心の中でしてたら、左側からタッタッタッと走ってくる音が聞こえる。
しかも結構早い。
そして妄想と同じようなサラサラの髪を靡かせながら妄想と同じような顔のイケメンが来ている。
ほら見ろ!私のイケメン察知能力凄いだろ!?
なんて、はしゃいでる私の方へとイケメンが方向転換して向かってきた。
え、なんで?なんで私?いや、え?
私そんなイケメンと知り合いだったっけ?
なんて混乱してるうちに私の目の前で超絶イケメンが私の前へと来て止まった。
「お嬢さん、出会ったばかりですみませんが
少しお願いを聞いてはくれませんか?」
超絶イケメンは息を整えながら私にそう言った。
「えっと、良いですけど何を……?」
良く状況が飲み込めてないし見知らぬ人だけどイケメンだからな、イケメンがお願いを聞いてはくれないかと言ってたら勿論いいと言うでしょうが!
ということですぐに了承した。
「ありがとうございます。
このペンダントを預かってください。」
そう言って胸元のポケットからペンダントを出して私の手の中に置く。
そして素晴らしい微笑みを私に向けて去っていた。去り際に明日の夜には取りに戻りますからと言って。
うん?えーと、待って、色々と待ってほしい、
状況がよく分からない、全くわからない!
えっと?イケメンに話しかけられて?
なんで?え、なんで話しかけられた?
沢山のはてなマークが私の頭の中に浮かんでいる。
私はしばらく唸りながら考えて、ようやくなんとか冷静になって思考回路が繋がってくれた。
まず見知らぬ超絶イケメンが私にペンダントを預かってくれといって私に渡した。
それを明日の夜に取りに来ると言う。
疑問なのはなんで私に預けたのか?
どうやってこのペンダントを取りに来るのか?
確かにバレンタインデーで周りカップルだらけだし?ものを頼むなら1人の方が良いのは分かる。
イチャイチャしてるカップルに話しかけに行くのは大変だもんな!うん分かる!
だけど、ペンダントはどうやって明日取りに来るの?友達ならまだしも見知らぬ人だよ?初対面だよ?え?家なんて知ってるわけないでしょ……?
私の手の中のペンダントは不気味なほど冷たかった。
~おまけ~
あ、イケメンに会えたのにチョコレート
押し付けるの忘れたわ……。
あんなイケメン会えるのなんて一生に1度くらいなのに………。
私はとぼとぼと帰り道を歩いていった。