ー第8話 悪事はいつか忘れられて
祝!初投稿から今日でちょうど1ヶ月!やっと1ヶ月!だけど、まだ1ヵ月!
でも、まだまだ終わりは見えん・・・
一階のリビングで家族会議が始まった。
この問題を聞きつけた父が会社から飛び込んできた。
問題点は2つ。
まず、ゆかりが家に不法侵入ではないかと疑われていること。
もう一つは、俺がゆかりに対しエッチなことをしていたんではという疑いがかけられていることだ。
両方とも間違っているし、確信的な証拠もないことだが、母は元来一度自分が思い込んだことはなかなか考え直せないタイプなので、普通に説得しても何の効果もないことは知っている。
さて、どうするか・・・
母はなき目のなりながら、あーあーわーわー騒いでいる。
「うちに不法侵入者がいて、しかも、その子にあんなことを・・・ああ、私はどうしたらいいの?」
(完全にオーバーだし、勝手にでもわめいてろ)
そう、考えざる負えないくらいなリアクションだ。
う~んそうねえ・・・特になし!
「まずな、この少女はどこから連れてきたんだ?」
「そっ・・・」
空の「そ」を言いかけた時ゆかりは俺を見て人差し指を口の前において「し~」と両親に聞こえないように合図していた。
つまり、火星から来たことは隠しておけってことだな。
次にゆかりは部屋に貼ってある世界地図を指さした。
ゆかりの手はアメリカをさしていた。
ようするにアメリカ人ってことにしろってだな。
「アメリカからきたんだって」
俺はゆかりの指図するままにいった。
「なんでそんなところから我が家に?」
えっどうする、ゆかり・・・っておい!あいつ、日本語がわからないことにして逃げたな・・・チクショー!!
まてよ、ここはなるべく自分に利益があるように・・・そう思ったから、「親切心で困っている人を助けたところ、少しの間、家に滞在させてくれと言ってきた」と、いうことにした。
それから、それは親になんで言わなかったとか、勝手に見知らぬ人をつれてきちゃだめだとか、いろいろきかれていろいろ怒られているうちに、時間が経ち、俺がエロいことをしたとかはどうでもよくなったのか、忘れられたものになった。
結局、ゆかりには明日中に出ていくことになった。
とりあいず、一番まずいことが忘れられていたので良かったと思う。
ただ、今日は何か下手なことをして、思い出すきっかけを作らないように、珍しく静かに、素直に生活することにした。
しかし、部屋に帰ってゆかりに言うことができてしまった。
「あのさ、ゆかりちょっといい?」
「うん。何?いま忙しいんだけど。」
こんなに元気に自分に応答してくれる数少ない人を追い出せないよ・・・
「・・・・・・」
俺は口を開こうと何度も試みるが口が動いてくれない。
そのうち、ゆかりが口を開いた。
「あっ、何、家から私が追い出されちゃうこと?」
なんで、こいつ察しているんだ。
「私ね、さっきの会話ちゃんと聞いてたんだ~」
「どこで聞いてたんだよ?」
「これ」
そう言って差し出したのは小さな黒いやつだった。
「これはね、マイクと発信機がついていて、こうやって耳にイヤホンみたいにつけるだけで、通信ができるんだよ~」
実はね、このマイクでその声を録音しておくと、その声だけを探して半径10メートルぐらいの範囲の声をひろうらしい。火星は地球よりもハイテクみたいだ。
「これ、陽弥にもあげる」
ゆかりは俺に差し出した。
結構軽くて小さいんだな。耳につけると・・・これ!スパイとかがよく持ってるやつみたいだ。普通にかっこよかった。
「Thank you」
と、軽く礼を言った。
そして、ゆかりは思い出したようにいった。
「いま、家作っているんだ。ちょっとかべかりてるよ」
壁には小さなボタンがあった。
これを押すと、押し入れの戸が家の戸になり、あけると見たことのない広い空間があった。
「それあげたから手伝ってよ」
「うん!」
俺は声を張り上げていった。
これが、ゆかりとの綿密な関係の第一歩となった。
【予告】
新作小説は3月8日公開予定。
【お知らせ】新作のストーリーやジャンルを募集しています。ご意見等がございましたら、ぜひコメントにてお知らせください。