-第12話 特殊技能は遊園地で<後編>
ゆかりともう一つの影が消えてから10分ぐらいたっただろうか。
周囲の人々の動きは日常を取り戻し、何事もなかったようにアトラクションを楽しみ、友人や恋人や家族とうるさいぐらいに舌を巻いて会話している。人と話すことって意外と多いんだなと思う。
それにしてもさっきのは何だったんだろうか。ゆかりはどこへ消えて行ってしまったのだろうか。
「まあっ、ここにいてもしょうがないから、どっかこうか?」
俺は優斗を元気づけるるために言ったつもりだった。落ち込んでないといいな、そう思って優斗を見ると、ちょうどカレーを食べ終わり、パンペーキを食べ始めたところだった。
(まったく、こいつ心配してないな・・・そんなんじゃ、ゆかり落とせないぞ・・・)
そう思いつつ、食べ終わるのを待った。
それから、会計を済ませ、外に出て、ゆかりを探すことにした。
もはや、アトラクションを楽しんでいる場合じゃない。
なにしにここに来たんだ。
それでも、人?ゆかりを人とするかはさておき、命がかかっているのに助けないわけにはいかない。
俺は自然と耳を触っていた。
本能的にゆかりからの更新を待っていたのだろう。
優斗と手分けして遊園との敷地中捜し歩いたが、ゆかりももう一つの影の正体も何一つ情報を得ることなく、再びさっきのレストランにたどり着いた。
「こっとはいなかったよー」
「こっちもだ^ー」
ぜーぜーと息が切れる。今までのランニング最長距離の中三の時の2kmを上回っただろう。10kmくらいは走ったように感じる。
気づけば夕方近くなっていた。
空が少しづつ青色から茜色に変化している。
もう終わったのか?、何なのかわからなかった。
疲れたのでもう一度レストランに入った。
とりあいず、一服してから考えようというわけだ。
”腹が減っては戦はできぬ”ってよく言うじゃないか。
あーあーと、もう一度背もたれにもたれかかり、首を上に向けて空を見上げた。
飲み物として抹茶ラテを頼んでのどを潤す。
今日、遊園地にきてから食事とランニングしかしてないや、そう、気づいて少しがっかりする。
その時、耳元がなった。
「い・・・ま・・・や・・・ま・・・の・・・う・・・え・・・・・・・・・・・」
・・・がしかし、ノイズがひどくてよく聞こえないうえに、疲れすぎて感覚神経が鈍っているのか、すぐには動けなかった。
抹茶ラテを飲み切って、体が涼んだところでもう一回耳元がなった。
「は・・・や・・・k・・・」
「はやく」の「く」を言いかけたところで音が通信が切れた。
ようやくここで事の重大さに気付き、優斗と共に、助けに行くことにした。
が、しかし、山といっても日本中、ひいては世界中、もっと言うなら、月や火星にだって山ある。火星から宇宙を超えて、大気圏を超えてこれる奴だ、普通の人よりも行動可能な範囲が広い。
捜索は困難を極めた。
ここで優斗と推理が始まる。
まずは、何が起こったのか。
ゆかりのことだから空中に浮いていたことから、特殊技能を使っていた可能性が高い。
じゃあ、次に、なぜ使う必要があったのか。
「緊急事態」っていうことはわかっているんだけど、それ以外は何もわからない。
永遠に迷宮入りしそうだ。
こっちの堅い頭では何も思いつかなかった。
ゆかりに何が起こったのだろうか。
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今回は話は平行線でしたね~すみません。
次回に謎が解けるはず!お楽しみに!
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