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菩提樹  作者: うちょん
1/9

価値観の苦み

                       登場人物


                           門倉(かどくら) 修司(しゅうじ)

                           床宮(とこみや) (りん)

                           立花(たちばな) (りゅう)(へい)

                           城田(しろた) 直子(なおこ)

                           小沢(おざわ) あゆみ

                           磯貝(いそがい) 和夫(かずお)

                           坂本(さかもと) 杏樹(あんじゅ)












問題なのは人生ではなく、人生に対する勇気だ。 サー・ヒュー・ウォルポール



















  第一護 【 価値観の苦み 】














  自分を守ることからは、いつでも逃げ出すことが出来る。

  力で敵わないと知り、抵抗せずに負けることも、時には必要なことだろう。




  だが、誰かを守る時は、決して逃げてはいけない。

  例え、力で敵わない相手であっても、権力で潰されそうになっても、足がもげても、腕が取れても、守らなければいけないのだ。




  ―某日 某所 

  古びたビルの三階に、その事務所はあった。

  ビルの前を歩いている人は、事務所の存在を知ってか知らずか、素通りしていく。

  「おっさん。仕事の依頼はぁ?」

  「見てわかるだろう。無い。」

  新聞を読みながら、渋い顔をしている男は、顔のあちらこちらにシワがあり、白髪もちらちら見える。

  その男をおっさんと呼んだのは、若い男だ。

  黒では無く、青でも無く、所謂“紺色”の髪の色をしていて、耳が隠れている。

  さきほどから、白髪交じりの男に話掛けながら、手に持っているスケボーを裏側にして、何か修理している。

  「お茶が入りました。」

  秘書の女性かと思いきや、どちらかというと筋肉質の女性が、お盆に三つのお茶を持ってきて、テーブルに並べた。

  テーブルに置い終わると、丁度事務所のドアが開いて、男性が一人入ってきた。

  短めの黒い髪をしていて、切れ長の目、そして、向かって右側に泣きホクロがついている。

  真っ黒なスーツを身に纏い、背筋もピシッと伸ばしている為か、セールスマンのようにも見えなくもない。

  「どうだった?」

  白髪交じりの男が問う。

  「カレーパンが売りきれていたので、あんぱんを買ってきました。」

  「そうか。ご苦労だったな。」

  当たり前のよう行き交う会話に、紺色の髪の男が呆れる。

  「修さんさぁ、パシリじゃん、それ。」

  「その“修さん”っていうの、止めろって言ってるだろ。」

  二人が口論になる前に、白髪の男があんぱんを渡し、また新聞を読みながら、口へと運んでいくのだった。

  スケボーをいじっていた手を止めて、渡されたアンパンを口に含み、口を動かす。

  しばらく沈黙が続いたかと思うと、事務所の扉を叩く音が聞こえてきた。

  お茶を運んできた女性が出ると、扉で少し話をし、事務所の中へと入ってきたのは、スーツを来た男性と、多きめの帽子を被っている女性だった。

  事務所のあちこちを見ると、帽子を被った女性は帽子を取りながら、呆れたようなため息をついた。

  「ちょっと。なんで私が、こんなカビ臭い場所に来なきゃいけないのよ。」

  文句を言いながらも、客人用のソファに堂々と足を組みながら座り、お茶を運んできた女性に対して、コーヒーが良いと告げる。

  女性の前に、白髪の男と、黒髪の男が座り、紺色の髪の男だけは、少し離れたデスクの上に座る。

  女性の座っているソファの隣で、立ったままいるスーツの男性が、女性の帽子を受け取る。

  白髪の男は、胸ポケットから銀色の名刺ケースを取り出し、名刺を一枚差し出しながら挨拶をする。

  「初めまして。社長の立花龍平と申します。こっちは、門倉修司。あっちは床宮凜です。」

  白髪の男、立花が自己紹介をしたついでに、二人の男のことも紹介すると、黒髪の男、門倉が一礼した。

  だが、紺色の髪の床宮は、女性の態度が気に入らないのか、女性の方を見ようともしない。

  「今回は、どのようなご依頼で?」

  立花が話を切りだすと、スーツを来た男性が、頭を下げながらお願いを始める。

  その時、丁度コーヒーが運ばれてきて、男性はテーブルの上に並べられるのを待って、全て並べ終えると、再び口を開く。

  「お嬢様を誘拐するという電話がありまして、私たちの力だけでは、守りきれるとは到底思えず、是非、頼みたいと思いまして。」

  「電話があったのは、いつごろですか?」

  「一昨日のことです。」

  男性と立花が、どんどん話を進めていくのを、門倉と床宮は黙って聞いていたのだが、途中で、女性が退屈そうに声を出した。

  「ねぇ~?私、ネイルサロンに行きたいんだけど。それに、湿気で髪の毛も傷んでるし、美容院にも行かないと~。」

  全く緊張感の無い女性は、自分の爪や髪の毛を触りながら、文句を言っている。

  その時、立花はコーヒーを運んできた女性を呼んで、なんとか時間稼ぎをしてもらおうとする。

  「直子。」

  「はい。」

  自分が呼ばれた理由が分かってはいても、見た目も中身も合わない人間と、どうやって会話をすればよいのかと、城田直子は困っていた。

  大体の話が分かり、女性を連れてきた男性はとりあえずホッとしたようだ。

  「お嬢様、これで安心です。」

  頬を緩ませながら女性に告げると、女性はいかにも不機嫌そうな表情を浮かべ、足を組みかえて、我儘を言う。

  「嫌よ。私、ボディーガードなんていらないわ。汗っ臭い男なんか近くにいたら、男が寄って来ないじゃない!」

  「しかしお嬢様、お嬢様に何かあったら・・・。」

  「何の為に塚本がいるのよ!あんたが命懸けで守ればいいだけの話でしょう!?」

  女性の罵声や怒声は続き、いい加減に聞き飽きた立花は、男二人の名を呼ぶ。

  「修司、凜。頼んだぞ。」

  「はい。」

  「は!?」

  ちゃんと返事をした門倉に対し、床宮は納得がいかないようで、立花の方を見て眉間にシワを寄せている。

  床宮が何を言いたいのかは分かっているが、私情で依頼を断るわけにもいかない。

  立花は半ば強引に、床宮にも仕事をするように、強めに言い聞かせると、ハイハイ、と適当な返事をする。

  門倉が女性の横にすっと立ち、床宮も渋々扉の方に向かう。

  「では、参りましょう。」




  「あ!この服も可愛いわね・・・。こっちも!ラインがしっかり出るわね。あ、でもこれもいいかしら。」

  ネイルサロンに行き、美容院に行き、買い物も好き勝手に始め、自由奔放というのか、我儘というのか。

  ただ黙って、女性から離れないようにし、周りに気を配っている門倉と床宮は、ちょこまかと動き回る女性の方にも、神経を使わなければいけなかった。

  両手に持ち切れないほど買い物をすると、それを門倉と床宮に持たせる。

  「ああ、そういえば。」

  女性がいきなり話し出し、二人を見てモデルのようにポーズをとると、今頃になって自己紹介を始めた。

  「私は、九条財閥の一人娘、九条志穂。貴方達、二人ともタイプじゃないから、勘違いしないで頂戴?」

  言いたい事だけ言って、また色々な店を見て回る志穂に、ワナワナと怒りを押さえるのに必死な床宮からは、殺気を纏ったオーラが出ている。

  一方で、冷静に対処する門倉は、志穂に何を言われようと、淡々と着実に任務をこなす。

  志穂が我儘し放題に歩いて、買って、持たせて、言っているにも関わらず、表情一つ変えずに辺りを見渡している門倉に、床宮が話しかける。

  「修さん、俺、あの女嫌いだぜ。なんだって、あんな我儘の奴、守らなきゃならねぇんだ?」

  「・・・。凜。これは仕事だ。黙って九条志穂を守れ。」

  「チェッ。」

  軽く舌打ちをしながら、志穂の身辺警護を続けて、やっと一日が終了した。

  だが、悪夢はこれだけに留まらなかった。




  「はあ!?寝ないで警護しろだぁ!?」

  「ああ。たった今、おやじ(立花)から連絡があった。いつ誘拐されるか分からないんだ。仕方ないだろう。」

  「でもよぉ!」

  「黙れ。」

  スーツを完璧に着こなしている門倉は、志穂のいる部屋まで向かい、ノックをして中にいることを確認すると、扉の外で警護にあたった。

  監視カメラも至るところにあり、武道にも長けた執事のような格好をした男もいるのに、睡眠時間を削ってまで守れというのだ。

  床宮は、そんな我儘には付き合ってられないと思ったが、世話になっている立花の信頼を、自分が裏切るわけにはいかないと、何度もため息をつきながら、家の中を警備した。

  家と簡単に言っても、通常の広さの家ではない。

  部屋の数は、確実に二ケタはいっていて、玄関にはシャンデリア、各部屋にもシャンデリアに似たものがついており、宝石が無駄に散りばめられた家具もあり、豪邸の中の豪邸なのだと思う。

  だが、どう考えても、無駄遣いしているようにしか思えない。

  口が裂けても言えないのだが、フラフラと豪邸の中を歩いているうちに、床宮は自分がいる場所が分からなくなってしまい、門倉に連絡を入れる。

  《なんだ。》

  「迷子になった。どうすりゃいい。」

  《自己解決してこそ大人への一歩だ。・・・と、おやじが言っていた。》

  「どうでもいいんだよ、そんなこと。自己解決出来る事と出来ねえことがあるんだよ。」

  《・・・。はぁ・・・。今現在地を確認するから、待ってろ。》

  門倉はすぐに床宮の居場所を調べて、方向を指示していったため、やっとのことで床宮は持ち場に戻ることが出来た。

  馬鹿にした様子も無く、いつものように無表情で仕事をしている門倉が、何かを感じ取る。

  志穂がいるはずの部屋をノックしてみると、返答が無かった為、勢いよく扉を蹴ると、そこに志穂の姿は無かった。

  窓が開け放たれていて、最初から用意してあったのであろうロープが垂れていた。

  すぐに門倉はジャンプし、無線で豪邸内の人達にも連絡を入れ、敷地内から出ていないことを確認すると、九条が行きそうな場所を探し始める。

  門倉に支持され、床宮も仕方なく志穂探しを始めるが、迷路みたいな敷地内は、豪邸内同様に迷子になりそうだ。

  「あー・・・。わっかんねー。」

  もう探すのが面倒になり、その辺にある木の根元に腰かけて、のんびり見つかるのを待とうと思っていた矢先、誰かに殴られる。

  勿論それは、門倉だった。

  「凜・・・。」

  「分かってるけどよ、此処広過ぎじゃねぇか?要領悪いだろ?だから、一か所で待ってた方が賢明だと思ったまでだ。」

  言っていることが言い訳だと分かったが、門倉はその考えも、あながち間違ってはいないと判断し、床宮にはそこで見張っているように告げた。




  「だーかーらー、私はクルミちゃんと遊んでただけでしょう?」

  捜索開始から二十五分後、無事に志穂は見つかったのだが、クルミという、飼っているゴールデンレトリバーと遊んでいたというのだ。

  「でしたら、部屋を勝手に出ていかず、我々に報告してください。」

  冷静に志穂にそう伝える門倉に、志穂はクルミに話掛けながら撫でているのだった。

  呆れて何も言えなくなった執事達は、次々に安否を確認すると持ち場へと戻って行ったが、門倉と床宮だけは、その場に留まった。

  ボディーガードが鬱陶しいと言うのは仕方ないが、志穂に何かあれば、責任を問われるのは門倉たちと、立花なのだ。

  反省の色もなく、部屋に戻って鍵をかけようとした志穂の動きを止め、門倉は告げる。

  「これ以上勝手に動かれないよう、部屋の中で警護にあたります。」

  「何言ってるのよ!?ここは女性の部屋よ!?プライバシーも何もないの?男って言う生き物は!?出ていきなさいよ!」

  何とかして門倉を部屋から追い出そうとする志穂は、門倉のお腹をパンチしたり、足を狙って蹴ったりするが、攻撃としては全く効いていない。

  涼しい顔をした門倉が、なおも平然と続ける。

  「プライバシーでは無く、命をお守りするのが仕事ですので。」

  「屁理屈よ!いいわ!パパに言って、あんたたちをクビにしてやるわ!」

  「すでに許可は取ってあります。」

  今度は、人差し指を門倉に向けて、九条財閥の現在のトップである、自分の父親になんとかしてもらおうとした志穂だが、無駄な抵抗であった。

  そのまま、ズカズカと部屋に入ると、窓の鍵をしっかりと閉め、他に何も無いことを確認するために、ベッドを調べたり、クローゼットを調べ始めた。

  床宮も部屋に入り、扉を閉めると鍵も閉め、門倉のように色々と調べ始めた。

  幾ら我儘な女性の部屋だとはいえ、志穂は年頃の女の子でもあるのだ。

  下着が入っている場所も、自分が普段使っているベッドも、見られたくないものまで見られて、調べられて、恥ずかしさと怒りで唇を噛みしめる。

  「~~~ッ!!もういいでしょう!?大人しくするから!触らないでよ!」




  我儘お嬢様の護衛についてから二日目のこと。

  一睡もせずに、ひたすら九条志穂を守るだけで、疲労が蓄積されていくばかり。

  日に日にイライラも溜まっていくのが、自分でも分かっている床宮は、この感情をどうにか抑えようと、ガムを噛んでみる。

  「ちょっと。そこの暇そうなの、こっちに来なさい。」

  声をかけられ、それが誰か、確認しなくても分かる為、床宮は出来るだけ眉間にシワを寄せないように、気をつけて振り向く。

  「何かありましたか?」

  「私、今日買い物に行きたいの。それから、ペットショップにも行って、クルミにお洋服も買ってあげたいわ。エステにも行かなきゃいけないし、そろそろ、ママから貰ったジュエリーにも飽きてきたから、新しい物を身につけたいし。えーっとぉ、あとは・・・。」

  「分かりました。」

  話を聞いているだけで、お金の感覚の違いが分かり、うんざりした床宮だが、とりあえず門倉に連絡を入れる。

  門倉も合流し、他にも、執事達がついてこようとしたのだが、志穂が嫌がったため、門倉と床宮だけでボディーガードをしなければならなくなった。

  超ミニのスカートを穿いて、黒色のニーハイを身につけ、踵の高いヒールをカツカツ鳴らしながら歩く。

  首にも腕にも、耳にまで輝くジュエリーをつけ、様々なお店に入っていく。

  「ここから、ここまで。全部頂戴!」

  志穂と共に店内に入った床宮は、不審な人物はいないか、志穂に近づくものはいないかを確認しながら警護している。

  一方、店外から、店に入っていく人物などを連絡している門倉の許に、立花から連絡が入る。

  《修司か。》

  「なんだ?おやじ。」

  《ついさっき入った情報だ。屋敷の方に脅迫電話があったようでな、お譲ちゃんを掻っ攫って、遊びまくってどっかに売ってやるってよ。まあ、修司と凜がいれば、大丈夫だとは思ったんだが、一応な。気をつけろよ。》

  「・・・。分かった。で?それ、直接おやじに入った情報か?」

  《いや。磯貝からの情報だ。不服か?》

  「それなら問題ない。了解しました。」

  無線が途切れると、門倉は今まで以上に集中力を高め、辺りに神経を張り巡らせ、店内にいる床宮にも連絡を入れる。

  誘拐する前から連絡を入れてくるという事は、余程、腕に自信があるのか、それともただの馬鹿なのか、それは会ってみれば分かる。

  店から志穂が出てきて、次の店に向かう為、身体をくねらせながら歩き出す。

  能天気に歩いている間にも、門倉と床宮は、志穂からも、周りからも、視線も意識も途切れさせることは出来ない。

  次の店はペットショップで、飼い犬であるクルミの洋服を買うらしい。

  ピンクやら赤やらオレンジやら、色んな色の洋服を着せられて、大層犬も迷惑だろうと思っているうちに、また次の服を着せられている。

  これじゃまるで、着せ替え人形だ。

  ペットショップの次は、ジュエリーショップで、床宮が値段をちらっと見てみたが、ゼロの数がおかしい事だけ分かった。

  ダイヤだかサファイヤだか、はたまたルビーだか、よくは分からないが、とにかくキラキラしている中で、志穂は気に入ったものが無かったようで、何も買わずに出ていった。

  最後はエステに向かった。




  「全身コースでお願いね。」

  「はい。いつもありがとうございます。」

  荷物は全部門倉と床宮に持たせて、エステを行うために更衣室へと向かって行った。

  一緒に中に入るわけには行かず、仕方なく待合室か、もう少し中まで行こうとした床宮だったが、隣に座っていた門倉が急に立ち上がったため、反射的に一緒に立ちあがった。

  「凜。」

  「何?修さん。」

  「俺は外にいる。お前は此処で待機していろ。いいな。」

  有無を言わせない強い口調で告げると、門倉は一人、店の外へと行ってしまった。

  取り残された床宮は、門倉の言うとおりに、志穂がエステを終えるまで、ずっとひたすら待っていた。

  だが、予定では三時間のみっちりコースだったはずなのだが、腕時計を確認してみると、すでに三時間が過ぎていた。

  どうせ、あの我儘な女のことだから、と考えていると、門倉から無線が入った。

  《凜。今すぐそこから出ろ。》

  「は?」

  《店から出て、西に二キロの場所にある公園の前に停まってる黒のバンを確認したら、俺の指示でバンの扉を開けろ。》

  反論しようとしたが、何かあったことが感じ取れたため、荷物を抱えながら、門倉に指示された公園に走って行った。

  公園につくと、すぐに門倉に連絡を入れる。

  すると、公園の前に停まっている車も確認でき、その近くの木の陰に、門倉がいることも分かった。

  無線無しで合図を受け取り、一斉に車の扉を開けた。

  鍵は閉まっていたのだが、門倉も床宮も、強引に窓を割って鍵を開けた為、扉を開く事が出来たのだ。

  中には、数人の男と女がいて、その中心には、口や手をガムテープで縛られた、九条志穂の姿があった。

  素早い動きで男たちを車から引きずり出した門倉は、襲ってきた男の攻撃を避けると、後ろに回って腕を捻りあげる。

  悲鳴を上げて涙目になる男を助けようと、門倉に殴りかかった男は、首の喉元に、腕を勢いよくぶつけられたため、苦しそうに呼吸している。

  その間、床宮は志穂を助けようと、車の中に入るが、そこには、志穂を人質にしている女共がいた。

  どこから仕入れてきたのか、サバイバルナイフを、志穂の首に当てている。

  珍しく涙目になり、バタバタと暴れている志穂を大人しくさせようと、さらにナイフを近づける。

  「こんな女、どうして助けるのよ!」

  そんなこと、床宮にだって分からない。

  仕事だから、としか言いようがないのだ。

  「エステによく通う、金遣いの荒い女だと思ってたけど、まさか九条財閥の一人娘だったなんてね・・・。世間って狭いものよね。」

  女の持っているサバイバルナイフが、志穂の首を掠め、少しだけ血が出てきた。

  「九条志穂・・・。あんたんとこの会社のせいで、私たちの親の会社は倒産!家族もバラバラになって、そのときのストレスと借金で、両親は去年自殺したのよ!?それなのにあんたは・・・!!何も知らないで!!」

  怒りが頂点に達した女が、サバイバルナイフを思いっきり振りあげて、志穂の首を狙ったとき、突然女が気絶して倒れた。

  驚いたのは、誘拐した女だけでなく、床宮も一緒だったのだが、このチャンスを逃すまいと、女から志穂を引っ張り出し、自分の許に引き寄せる。

  倒れた女の方を見てみると、反対側のドアから、門倉が首の裏を叩いて気絶されたというのが分かった。

  残っていた女も、門倉に攻撃しようと試みるが、所詮女性の力で敵うわけが無く、あっけなく捕まってしまった。




  すぐに警察と救急車を呼んで、志穂を誘拐した男と女は逮捕された。

  エステの従業員であった女の一人が、仲間を作って、今回の誘拐を計画したようだ。

  あれほど憎んでいたが、よくよく調べてみると、九条財閥は倒産に係わっておらず、数年前から赤字続きであった会社側に責任がある事が分かった。

  色々と警察に事情聴取をされた門倉と床宮は、簡単に説明だけをして、志穂を病院に運ぶ救急車に、一緒に乗車して向かった。

  それほど大した怪我では無く、絆創膏を貼る程度の傷だったのだが、世間知らずのお嬢様からしてみれば、大怪我のようだ。

  「役立たず!あんたたち、何の為に私のボディーガードしてたの!?何の為に雇ったと思ってるのよ!?傷跡が残っちゃうじゃない!どうしてくれるのよ!」

  「申し訳ありませんでした。」

  「謝って済む事じゃないわ!どう責任取ってくれるのよ!」

  丁寧に頭を下げて謝っている門倉に、頭ごなしに怒鳴りつけ、罵っている志穂。

  どれだけ言っても言い足りないようで、同じようなことを何度も何度もぶつけては、花瓶やらボールペンやらを投げつける。

  「もう、出て行って!」

  近くにあった文房具の中から、ハサミを持って、門倉に向かって投げつけると、避けなかったため、門倉の額が少し切れた。

  それでも、深く頭を下げて謝罪する門倉を、床宮が止めようとする。

  その時、病室のドアが開き、お見舞いの花束を持った九条志穂の父親と、立花の姿が目に入った。

  「おお、志穂!無事だったのか!良かった!」

  「パパ!無事じゃないわよ!見て、コレ!私の顔に傷がついたのよ?」

  立花の後ろから病室に入ってきた城田が、立花の手から花束を受け取り、床に落ちている花瓶を拾い上げて、水を入れる。

  花瓶に花を生けている間も、志穂からの罵声は続き、廊下にまで響きわたっている。

  「これは九条様、大変、申し訳ありません。こちらの力不足で・・・。」

  「本当よ!これじゃあ、猿と歩いてても同じじゃない!?」

  「立花さん、志穂の言うとおりです。今回のミスは、明らかにそちらの二人の過失。この綺麗な志穂の顔に傷までつけて・・・。依頼料、払う義務が無いと、私は思うのですが?」

  九条の父親までもが、志穂の肩を持ち、人を見下したような話し方をしているため、段々と床宮の中には、苛立ちが募っていった。

  城田が、花を生けた花瓶を、志穂のベッドの脇に置くと、力いっぱい、花瓶ごと門倉達に向かって投げつけた。

  花瓶はそのまま重力に逆らわずに落ちて行き、ものすごい音を出して、水とともに、床の四方八方に飛び散っていった。

  「申し訳、ありません。」

  門倉も立花も、その言葉しか知らない子供のように、どれだけ怒鳴られても、下げた頭を上げることをせず、その場で制止していた。

  「猿でも出来る芸当ですな。いや、猿の方が芸達者かな・・・?ハハハハハ!」

  「・・・!!」

  思わず、九条の父親を殴ってしまいそうになった床宮の腕を、さらに強い力で押さえつけられた。

  その伸ばされた腕の方向を見ると、門倉が握っていた。

  門倉に掴まれた腕を解こうとしても、見た目よりも強い力で押さえつけられているため、振り解く事が出来なかった。

  「君は、謝らないのかね?」

  門倉と共に仕事をしていた床宮に、酷く冷たい視線を送りつける九条の父親。

  「・・・凜。」

  門倉の、低い真っ直ぐな声が、床宮の耳に届くと、床宮は大人しく頭を下げた。

  「すみません・・・でした。」

  悔しさに満ち溢れた心臓が、言葉一つで、こんなにも簡単に砕けそうになるのだと痛感したのと同時に、寂しさのようなものも込み上げてきた。

  唇を強く噛みしめ、拳に全てをぶつけるように握りしめると、自分の爪が掌に食いこんできて、痛くなってしまった。

  城田も頭を下げ、四人は病室から出て行った。




  「よく我慢したな、凜。」

  帰り道、立花が床宮にそう言うと、まだ納得のいっていない床宮は、ソッポを向いて拗ねている。

  床宮の好きな焼き肉でも買って行こうと言ってみたが、口を尖らせているだけで、うんともすんとも言わない。

  「凜、いつまで拗ねてんだ。」

  「・・・。拗ねてねぇよ。拗ねてねぇけどよ?」

  「拗ねてるわ。」

  城田にまで言われ、さらに不機嫌を露わにした床宮の頭を、立花が思い切りぐしゃぐしゃにする。

  「~~~ッ!!何すんだよ!?おっさん!」

  「いいか、凜。大人には、理不尽でも、黙って頭下げなきゃならん時があるんだ。分かるか?」

  「知るかッ!大体、あの女が大人しく家にいりゃあ、あんな事にはならなかったんだよ!自分のこと棚に上げて・・・!俺、ああいう奴、大ッ嫌いだ!」

  床宮の叫びを聞き、なぜか感心したような声を出す立花に、床宮は眉を顰める。

  「お前が、“棚に上げて”なんて、難しい言葉知っていたとはな・・・!ハハハハ!」

  疲れや苛立ちを晴らすためか、床宮が立花に、果敢にも立ち向かっていったが、いとも簡単にねじ伏せられてしまう。

  そんな様子を眺めている門倉は、肩を揺らしてため息をつく。

  事務所に戻ると、誰もいないはずなのに灯りが点いていて、門倉は警戒を強めようとしたが、立花によって遮られた。

  何の躊躇も無くドアを開けると、中には、客人用のソファに座り、ミルクティーを飲んでいる少女がいた。

  「あゆみ、来てたのか。」

  少女の頭を撫でながら、立花が名前を呼ぶと、少女はちらっと立花の方をみて、ニッコリ笑う。

  「おやじ、誰だ?」

  「ああ、ほら、あゆみ。自分で言いなさい。」

  ソファからゆっくり立ち上がると、門倉たちの方を向き、ふにゃふにゃと笑いながら掠れた声で話しだした。

  「初めましてぇ。小沢あゆみです・・・。いつもおじちゃんがお世話になってまぁす。」

  「おじちゃん?」

  床宮が首を傾げながら訊ねると、あゆみは立花を眺めたため、そのあゆみの視線に気付いた立花が答える。

  「あゆみは、俺の姪なんだ。」

  「おっさん、結婚してたのか・・・!?」

  「いや、おやじは結婚してないはずだ。」

  驚いている床宮に続き、門倉も吃驚しているらしく、立花の左手の薬指を見てみるが、やはり結婚指輪はついていない。

  もしや、外しているのかと思い、確認するかのように立花の顔を窺う。

  年齢的には、結婚をしていてもおかしくは無いのだが、“立花”と“結婚”という言葉が結びつかない二人は、まじまじと立花を見る。

  あゆみはソファに座りなおし、またミルクティーに口をつける。

  「姪がいるからといって、俺が結婚してるとは限らないだろう。あゆみは、俺の兄貴の娘だ。」

  「おっさん、弟だったのか!?そんなに老けてるのに!?」

  「凜、それは関係ないだろ。」

  不可思議な疑問を持った床宮に、門倉は冷静に答えるが、立花に兄がいることも初めて知ったし、その娘が此処に来た事も謎だった。

  とりあえず門倉たちも椅子やソファに座り、あゆみを観察する。

  城田が立花にお茶を運び、門倉と床宮にはホットレモンティーを運ぶ。

  「あゆみ、今日はいきなりなんだ?」

  お茶を啜りながら、立花があゆみに問いかけると、あゆみはまた、ふにゃりと顔を緩ませて、説明を始めた。

  「大学受験がね、面倒臭いから、おじちゃんのところで働かせてもらおうかなって。頼みに来たんだよ~?」

  「働くって・・・。お前のお父さんは何て言ってるんだ?」

  「んっとね、知らない。」

  「知らないって・・・。とりあえず、家に帰りなさい。」

  「ヤダー。」

  城田が出してきたお茶菓子を頬張りながら、あゆみは臆することなく、立花に突っかかっていく。

  ため息をつきながら、あゆみの家に電話をかけようとした立花だったが、激しい音が聞こえてきたかと思うと、電話が粉々になっているのが見えた。

  門倉と床宮は、何が起こったのかすぐに分からず、ポカンとしている。

  電話が粉々になった理由を知っている立花は、原型の残っている受話器部分をテーブルに置き、あゆみの前に座った。

  「あゆみ。電話を壊すのは止めなさい。」

  「だって、おじちゃんが家にかけようとするから。」

  反省の色もなく、あゆみは口をもごもごと動かしている。

  「おっさん、今、何がどうなった?」

  自分の目を擦りながら、床宮が、目の前で起こった惨劇の確認をしていると、門倉が自分でみたなりの解釈を始める。

  「その子が片手で、電話をバキッて・・・。」

  あまりに曖昧な説明というか、しかし、門倉の言っていることは大方当たっていて、あゆみの一撃で電話が壊れたことに、間違いは無いのだ。

  ただ、問題としては、なぜ片手で壊せたか、ということだった。

  当の本人は、未だにお茶菓子に夢中で、すごい勢いで食べているため、城田がおかわりを持ってこようとする。

  立花は城田に持ってこないように伝えると、湯のみを持って、少しずつ喉に流し込む。

  「あゆみは、空手三段を持ってる。お前らも、気をつけろよ。」

  門倉と床宮にではなく、あゆみに気つけるように言うと、二人はあゆみの方を見て、未だに信じられないという顔をしている。

  あゆみが二人の方をクルッと向き、ふにゃりと笑うと、なんとも可愛らしい声で言う。

  「倉ちゃん、リンリン、よろしくね~。」




  志穂のときの疲れが出たのか、ソファに横になって寝てしまった門倉と床宮に、城田が毛布をかける。

  いつも立花が寝ている布団には、あゆみが堂々と寝ているため、立花は椅子に座り、足を机の上に乗せて寝ている。

  その時、立花の上着に入っている携帯が鳴り響いた。

  「はい、立花。」

  寝ていたと思っていた立花が、すぐに携帯を取り出して応答した。

  「ああ、磯貝。今回も世話になったな。」

  電話の相手が、毎回情報を流してくれる磯貝という人だとすぐにわかると、城田は邪魔をしないように、あゆみが寝ている部屋に入った。

  それほど長くなかった電話を切ると、ソファからのっそりと、門倉が起き上がってきた。

  「なんだ、寝てたんじゃないのか。」

  「これくらいで疲れてたら、ボディーガードなんてやってられないでしょう。」

  そうは言っているものの、生欠伸ばかりしている門倉は、やはり疲れているのだろうと、立花は煙草を渡す。

  最初は拒否していたが、たまには息抜きとして吸うのもいいだろうと、一本だけ拝借する。

  肺にはいってくる空気が、いつもよりも濁っているのが分かるが、どれと同時に、濁ったものが出ていく感覚にもなった。

  「ゲホッ・・・。」

  年に数回しか吸わないからか、煙草の煙にむせてしまった。

  「修司。」

  「なんですか?」

  「額、平気か。」

  「額・・・?ああ、これですか。」

  志穂に投げつけられた花瓶によって出来た傷。

  そんなもの、とっくに忘れていた門倉は、自分の額を触りながら確認してみるが、ちょっと切っただけのものだ。

  大した事は無いと伝えると、立花はただ「そうか」と答えた。

  身体につけられた傷など、今回が初めてではないし、どれだけこちらが命や身体を張って守ったところで、それが当然だと思われている。

  たまに、自分の命というのが、誰の為にあるのか、分からなくなることがある。

  「修司。」

  「はい。」

  「前にも言ったが・・・。」

  「『自分の命を大切にしろ』、ですか?」

  「そうだ。お前はたまに、自分の命を蔑ろにするからな。いいか。確かに修司の命は修司のものだ。俺がどうのこうの言うのもおかしいが、今は俺の息子みたいなもんだ。だから、あんまり無茶はするんじゃねぇぞ。」

  プハーと、煙草の煙を吐いている立花に対し、門倉は煙草の灰が落ちて行くのを見ているだけ。

  ほとんど吸っていないが、灰皿に煙草を押しつけると、フッと口元を弧に描き、立花の方を見ること無く返事をする。

  「おやじも、もう歳なんだから、無茶しないで下さいよ。」

  「餓鬼が。俺はまだ若いつもりだ。」

  互いに、顔を見合わせて、一触即発かと思いきや、いきなり静かに笑いだした。

  それからしばらく、立花と門倉は、二人で色々と世間話をしたり、仕事のことを話したりしていたようだ。

  ぐっすりと寝ている床宮は、寝返りをうって、床に落ちそうになっていた。




  翌朝、一番先に目が覚めた城田は、テーブルを綺麗に拭いたりと掃除を始めると、立花の携帯が鳴ったのだが、生憎、まだ立花は寝ていた。

  数回鳴って電話が切れると、今度は、あゆみが壊したものとは別の、固定電話が鳴った。

  「はい、こちら・・・。」

  立花の事務所であることを伝えようとすると、電話口から、とても面倒臭そうな口調で、「ああ、知ってる」という言葉が聞こえてきた。

  以前にも聞いたことのある声だった為、その人物が誰であったかを思い出してみると、すぐに特定出来た。

  「ああ、磯貝さん、でしたよね。社長なら今・・・。」

  すると、磯貝という男、何とも面倒臭そうに欠伸をしていて、特に用は無いのだと言われた。

  磯貝も、立花に情報を流すという仕事以外に、ちゃんとした仕事をしているらしく、それが何なのかは知らないが、今日は予定があるため、仕事があるときは、早めに連絡が欲しい、といったものであった。

  伝えるべき事だけを伝えると、磯貝は電話を切ってしまった。

  お昼近くになって、やっと立花や門倉、床宮が起きだしてきたので、城田はご飯を用意した。

  立花には、朝方、磯貝から連絡があったことと、伝えてくれと言われたことを伝えると、立花は、まだ眠そうに欠伸をしながら、分かったと頷いた。

  「おじちゃん、今日は仕事無いの?」

  二枚目になる食パンに、ピーナッツバターをたっぷりつけながら、あゆみは立花に話しかけると、立花はコーヒーを啜る。

  「ああ、多分な。」

  「多分なの?」

  「依頼なんて、いきなり来るからな。」

  「ふーん。」

  ビターココアとグレープフルーツのジュースを交互に飲みながら、あゆみは食パンを飲み込んでいく。




  その日は、何処に出掛けるわけでもなく、みんなして事務所に籠っていた。

  立花は新聞を読んでいて、床宮はスケボーの改造をしていて、門倉はメガネをかけて、なにやら雑誌を読んでいた。

  だが、夕方六時を回った頃、事務所のドアを数回叩く音が聞こえ、城田が対応しようとドアに近づいていくと、もともと鍵のかかっていなかったドアが勢いよく開いた。

  事務所に入ってきたのは、背の高い女性で、いかにもキャリアウーマンの格好をしている。

  カツカツと中に入り、ソファの近くまで進み、新聞を置いた立花と目が合うと、名刺を差し出してきた。

  おでこを出し、長いストレートの髪、紫の縁の眼鏡の位置を直しながら、偉そうに言う。

  「私、久保田瞳、と申します。この度、数か月前から脅迫電話や脅迫文が送りつけられてきており、大変迷惑しております。こんなことで一々騒ぐのは好きではありませんが、契約相手に不信感や不安感を与えるわけには参りませんので、何とかしていただけないでしょうか。」

  一気に経緯を説明すると、久保田は再び眼鏡を直す。

  立花は、とりあえずソファに腰掛けるように伝えると、話し合いは時間の無駄だから、さっさと警護にあたってほしいと、命令口調で言われた。

  スケボーをいじっていた床宮は、また気の強そうな女性が来たことにため息をついた。

  これから、新たな契約相手との会食があるとの事だった為、立花は床宮と門倉に声をかけ、久保田と同行させることにした。

  眼鏡をかけたままの門倉は、移動しながら眼鏡を外し、胸ポケットにしまう。

  事務所の下には、久保田の部下が運転する車が停車していて、運転席の後ろに久保田が乗り込み、助手席に門倉、久保田の隣に床宮が乗ることになった。

  「柴田、出して。」

  「はい。」

  部下は柴田というらしく、静かに車を動かし始めると、会食が行われるという場所まで、安全運転で走らせる。




  「本当だ。依頼はいきなりだね。」

  緊迫していた空気にも動じず、あゆみは紅茶を飲んでいた。

  立花が色々と連絡を取ったり、資料を集めたりしているが、それさえも楽しそうに眺めながら、あゆみは鼻歌を歌う。

  「さらば~♪地球よ~♪」




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