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第十五話 記録映画はとんでもだが事実?

 八〇年ほど前、ヒーロー星はまだ四つにわかれていた。

 超人族が治める光の国

 改造人間が治める科学の国

 魔法使いが治める魔法の国

 そして、それらに属さない少数部族が寄り集まってつくられた百国連合。

 この星は微妙なバランスの中でもそれなりに平和な世界だった。


 しかし、そのバランスは簡単に崩されることになる。


 百国連合を除く三ヶ国の勢力は拮抗していた。

 光の国が魔法の国と争えば、両者ともただでは済まない。

 もし勝てたとしてもその後に待っているのは科学の国に滅ぼされることだろう。

 これは国が違っても同じこと。

 完全な三すくみ状態だった。


 ここでキーとなるのが百国連合の存在だ。


 ここは他国と比べるとあまりにも貧弱な国。

 だが、いったん他の国と組めばその勢力図は一変する。

 単体では何の脅威にもならないが、他国との関係で目をつぶるにはあまりにも危険な存在だった。

 三ヶ国にとっては本当に目の上のたんこぶだったのである。


 そんな状態にも転機が訪れた。

 魔法の国が百国連合に攻め込んだのだ。


 画面には水着姿の女性が波打ち際で戯れているところに黒衣の魔法使いが襲いかかっているシーンが映しだされていた。

 彼女達はしばらく逃げ惑っていたが、女性と言えどもヒーロー星人である。

 彼女達はその身体を武器にして魔法使いたちと戦っていた。

 杖を片手に光を放つ黒衣の魔法使いに対し、水着姿の美女が飛び蹴りとか回し蹴りとか、あられもない格好で戦っている。

 アップにされた揺れる胸とか、スラっとした足とか、必要とも思えないシーンが続いていた。


 目的がさっぱりわからない。


 そうこうするうちに、救援がやってきた。

 いままでの経験上、戦いが小康状態に陥れば敵は撤退する。

 無理をして攻め続ければ他国の侵攻の格好の餌食になるからだ。


 だが、今回は違った。


 光の国や科学の国まで攻め込んできたのである。

 三国は共謀してどっちつかずで、のらりくらりと渡り歩く百国連合を潰しに来たのだった。

 三国の決着はその後で好きなだけやればいいという取引が成立しているのだろう。


 結果、百国連合は崩壊した。


 所詮、大国に対抗するためだけに結束している小部族の集まりである。

 自分の国がピンチになれば他の国など構っていられない。

 こうして、救援に駆け付けた人たちは自分達の国に足早に帰っていき、水着美女たちは魔法使いたちに拘束されていった。


 という訳で三ヶ国は次々に百国連合を蹂躙していく。


 結束していても一国とも真面に戦えない彼らには抗うすべはなかった。

 闘わずに降伏していくものまで出てくる。

 そして、あっという間に征服が完了するかと思われたが、光の国の侵攻が止まった。


 その国がメガネ王国である。


 光の国侵攻軍、三万は総人口が一万人にも満たないメガネ王国に敗北したのだった。


 そのことはすぐさま全世界に伝わった。


 それを何かの間違いだと判断した科学の国は五万の大兵団をその地に送ってきた。

 彼らはそこで信じられないものを見る。

 薄汚れた銀色の巨人たちのなれの果てを。


 いつもは光輝く彼らがうず高く積まれ倒れ伏していた。

 いったい、どうやったら、こんなことが出来るのだろうか? 

 と科学の国の戦闘員は戦慄していた。


 そこに現れたのは黒い五人の戦士だった。


 健太の変身後にそっくりなその姿。

 そう彼らがメガネ王国の王族なのだ。

 彼らは五万の兵力を前にしても躊躇なく踊りかかる。


 そこからの映像はもはやアニメやマンガより陳腐だった。

 記録映像と言っていたがそんなものは信じられない。


 人間が戦車を持ちあげるくらいならわかる。

 だが、それを投げたら何十という戦車がボーリングのピンのように弾け飛ぶところなど想像できるだろうか? 

 それどころか、巨大ロボットを蹴りとばしたり、

 そこから発せられるビームを気合いで掻き消したり、

 味方もろとも破壊するミサイルを撃ち込まれて、辺り一面が瓦礫も残さないクレーターになっているのに一人平気な顔で出てきたり

 と本当に一方的な戦いが繰り広げられていた。


 結果、五万の兵はその三分の一を失って撤退することになる。


 しかし、これで事態は収まらなかった。

 たった五人で何万もの敵をしかも超人族や改造人間に対抗できる者はそれだけで脅威となる。

 世界の平和を守るものとしてそんなものを放置するわけにはいかない。

 ということでここに三ヶ国同盟が成立した。


 彼らはその総力を結集してメガネ王国へと攻め込んだのだ。

 たった五人で侵攻軍を壊滅させたメガネ族との戦争である。

 三ヶ国連合はそれなりの損害を覚悟していた。


 だが、そうはならなかった。


 いくら戦ってもメガネ王国側から出てくるのはその五人だけなのだ。

 そう、メガネ族の力は王族の男子にしか発現しない。

 そのことが発覚するのにそう時間はかからなかった。


 敵が五人しかいないことが判明すれば戦い方があるというもの。

 三ヶ国連合は数を頼みに遠距離からの波状攻撃に出た。

 その為、王国の人間は城に立て籠り、守りに専念するしか手がなくなってしまう。

 五人同時に打って出ればその隙に城に攻め込まれて力なき民が襲われてしまうからだ。


 だからと言ってこのままではじり貧である。


 そして、一人、また一人と出ては各個撃破されていき、とうとう、王族は一人を残して死に絶えてしまった。


 その一人も重傷を負ってもう戦うことなど出来ない身体になったのだ。

 こうして戦争は終わり、百国連合は消えてなくなったのである。


 おしまい。


次回投稿予定は8月27日19時です

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