第十一話 休日デートはイベントで乱闘
「はあ、重い」
健太は両手いっぱいに紙袋を持っていた。
あれから水着だけでなく、服や雑貨、小物などを買って回った。
ちなみに今日の目的だった食器は結局買っていない。
と言う訳でまだ昼を過ぎたばかりなのに健太は疲労困憊と言う顔をしていた。
多分、疲れているのは荷物を持たされていることより、気疲れの部分が大きいのだろう。
そんな健太に早瀬さんが優しい声をかけている。
こんな奴、気遣う必要なんかないのに。
「ごめんなさい。わたしも持ちます」
「いいのよ。早瀬さん。何の役にも立たないんだから、荷物持ちぐらいはやらせないと」
紗也香の一言に健太は苦笑いを浮かべていた。
その横で早瀬さんは、まだすまなそうな顔をしている。
それを見た健太が「じゃあ、一つだけ」と言って一番軽そうな荷物を渡していた。
すると、彼女は嬉しそうに口元をほころばせている。
見詰め合う二人の間に甘く暖かな空気が漂っていた。
そんな二人を紗也香は冷たい目で見る。
なによ。いい雰囲気になっちゃって。
何だか、わたしが意地悪しているみたいじゃない。
紗也香はムスっと頬を膨らませていた。
なんだか疎外感がある。
気のせいだと思うが胸の奥がちくちくと痛んでいた。
ここで荷物の一つくらい持てば気が楽になるのだろうが、紗也香はここで素直になれるような少女ではないのだ。
「もう、グズグズしない! 早く行くわよ」
そう言って肩を怒らせて歩き出すのだ。
二人を背後に感じながら紗也香は後悔で顔を曇らす。
そんな紗也香の気持ちなど届いてないのか、健太が間抜けな声を上げていた。
「何あれ? 公園の方で人だかりが出来てる。今日ってイベントとかあったっけ?」
紗也香は何気なく視線をそちらに向けた。
駅から少し離れたところにあるこの辺りでは一番大きな公園。
その入口が人でごった返していた。
中には妙な格好をしている人たちもいる。
紗也香は追い付いてきた健太の隣で首を捻っていた。
「本当だ。何の騒ぎだろう。行ってみる?」
言うが早いか健太達の返答を待たずに紗也香は歩き出した。
健太はそれを見て溜息をついていたが紗也香のあとをついていく。
「なにこれ?」
紗也香は目に入ってきた光景に唖然としていた。
公園の外からでも人が多いのはわかっていたが、中の混雑ぶりは想像以上だった。
しかも、その大半が妙な格好をしているのである。
キグルミのようなものだったり、
近未来的な見てるだけで目が痛くなりそうなキラキラしている服装だったり、
ファンタジーに出てくるような露出が激しい衣装だったり……。
そう、この場にいる多くの人がアニメやゲームのキャラクターのコスプレをしているのだ。
そんな人達が音楽を鳴らして躍ったり、カメラを持った人達に囲まれていたりする。
こんな田舎街でこの手の派手なイベントが開かれたことなどな聞いたことがない。
しかも、コスプレみたいな趣味的なイベントなど言うまでもなかった。
いったい、どう言う経緯でこんなことになったのか首を捻らずにはいられない。
それは健太も同じだったみたいで辺りを不思議そうな顔をして眺めていた。
紗也香達はとりあえず公園内にあるイベント広場に向かった。
そこにはステージが備え付けられており、この町でイベントをするときには必ずメインの会場になっている。
きっと、騒ぎの中心はそこだろう。
それは人の流れからも容易に想像できた。
紗也香達は流れに身を任せて足を進める。
早瀬さんはこのようなお祭り騒ぎに慣れていないのか戸惑っているようにも見えるが、その目は好奇心で輝いていた。
きょろきょろと周囲を見回しては健太にあれやこれや聞いている。
健太もこの雰囲気に流されて浮かれているようだった。
その証拠に彼は右手にリンゴ飴、左手にタコ焼きを持っている。
出店が出ていることには気付いていたがいつの間に買ってきたのだろうと紗也香は半ば感心しながら、彼の手からタコ焼きを一つ取り上げた。
最後の一個だったので健太が恨めしそうにこちらを見ている。
「それにしても、いつの間にこんなイベントが決まったのかなあ?」
紗也香は惚けるようにそう言うとタイミングよくスピーカーからアナウンスが入った。
三人の視線がステージの方に向く。
「ええ、これより、ヒーロー限定コスプレ大会を実施します。まずは会場変更を快く受け入れてくれた丸山市 市長 星野貴史さんに挨拶をいただきます」
「ええ、市長の星野です。先日、ヒーローが現れたことが話題になったこの町で、このような盛大なイベントを行えることを大変光栄に思っております。皆様、今日は存分に楽しんでいってください」
って、何やってるのよ、あのバカは!
大声が出そうになるのを紗也香は懸命に抑えていた。
どうやら、このイベントには紗也香の父親で市長の星野貴史が絡んでいるらしい。
あのバカ親も神代家の秘密を知っている。
と言うのも健太の両親と父は幼馴染みなのだ。
だから、騒ぎが起これば健太達が困るということを知っているはずなのに……。
あのバカ。後先考えずにイベント話に跳び付きやがったな。
彼はこの手のバカ騒ぎが大好きなのだ。
学生の頃はそれで健太の父親、英雄さんを散々困らしていたそうだ。
それは大人になり、市長と言う大役についても直っていない。
「あのバカ、帰って来たらただじゃおかないんだから」
紗也香はその視線だけで人が殺せるんじゃないかと言うくらい鋭い目つきで父親のことを睨みつけていた。
舞台袖に引っ込もうとしていたバカ親は悪寒を感じたのか軽く身震いしている。
そんな紗也香の横で健太は舞台上のコスプレーヤーを見て子供のようにはしゃいでいた。
誰の為にわたしがヤキモキしていると思ってるのよ!
紗也香はやり場のない怒りを健太の頭に叩き込む。
なんで殴られたのか、わからない健太は「なにすんだよ」と声を上げかけたが、紗也香の背中に沸き立つ炎のようなオーラを見てスゴスゴと引き下がった。
これも幼い頃から刻み込んできた紗也香の教育の賜物だろう。
紗也香はシュンと小さくなった健太を見下ろしたあと、すこし冷静になった頭で会場を見回した。
なるほど、言われてみたら定番のキャラクターに混じって黒い全身スーツのヒーローの姿が目に付いた。
多分、ネットで調べてこの短期間で作り上げてきたのだろう。
ご苦労なことである。
ステージ上にもその姿が見て取れた。
紗也香はヒーローの存在がここまで認知されてしまったことに少なからず心を痛めている。
もう吹っ切れていたはずなのに気持ちがどんよりと沈んでいた。
そんな風に紗也香が落ち込んでいると健太が肩を叩いてきた。
「あれって、黒田先生じゃない?」
紗也香が首を向けると、黒田先生もこちらに気付いたみたいで目が合った。
彼女はバツの悪そうな顔をして頭をかいている。
紗也香達は彼女の方に寄って行った。
「こんなところでなにしてるんですか?」
紗也香達が尋ねると彼女はしばらく考えてから何かを思いついたように話しだした。
「えっとね。そう、こう言うイベントでうちの生徒が騒ぎを起こさないか見回りに来たのよ。あなた達も羽目を外し過ぎないようにね。じゃあ」
自分でも白々しい言い訳だと気付いているのか黒田先生は顔を引きつらせて逃げようとしていた。
だが、せっかく舞い込んできたストレス解消のチャンスを逃すような紗也香ではない。
それは健太も同様だったみたいでこちらを見てニヤリと笑う。
「先生、そんな慌てなくてもいいじゃないですか」
「そうですよ。せっかく会えたんだから、もう少し話しましょうよ」
健太と紗也香は両サイドから挟み込むようにがっちりと腕を抱え込む。
生まれた時からずっと一緒にいるのだからこの辺のコンビネーションはお手の物である。
黒田先生はと言うと拘束されてしまった自分の腕を見て観念したのか、諦めたように天を仰いでいた。
「先生。それで本当の目的は?」
「そう言えば先生って、この前の火事の写真にも興味津々でしたよね。やっぱり、ヒーローオタクなんですか?」
先生はここで口を開いたら負けだと思ってるのか顔を反らして黙秘権を行使している。
しかし、そんなことで紗也香達は追及の手を緩めない。
それどころか嬉々として黒田先生を追い詰めていく。
「そうかあ。平成ライダーってみんなイケメンだし、先生もイケメン好きなのか」
「それで先生としてはどんなヒーローが好きなんですか? もしかして、中の人じゃなくて純粋なヒーロー好きとか? 先生の年代だとキカイダーあたりかな?」
「キカイダーって、あんた、わたしのことを何歳だと思ってるの。そんな一昔前のマイナーヒーローを知るわけがないでしょ!」
とうとう我慢できなくなったのか黒田先生は大きな声を上げていた。
そして、上げた直後にしまったと手で口を覆っている。
「マイナーヒーローってやっぱり知ってるんじゃないですか。へえ、先生って見かけによらずオタクだったんですね」
「ダメよ。そんな言い方しちゃ。趣味は人それぞれなんだから。先生がヒーロー見たさにこう言うイベントに来ちゃっても問題なんてないのよ。それをオタクとか言ったら可哀そうでしょ」
口ではそう弁護していたがニヤニヤ顔をしているのでちっとも説得力がない。
その証拠に先生は紗也香と健太を見て苦笑いしっぱなしだった。
そんな中、一人困ったように眉を寄せてそのやり取りを見ていた早瀬さんが黒田先生の援護に回る。
「あのぉ。そんな風に先生を責めるのはどうかと。例え先生が人に言えないような恥ずかしい趣味をお持ちでも、先生が立派な人であるのは変わりないことなんですから、わたし達は見て見ぬふりをしてあげた方がいいんじゃないでしょうか?」
「人に言えないような趣味じゃないのに……」
早瀬さんのフォローは全然フォローになっていなかった。
結局、崖っぷちまで追い詰められた先生を谷底へと突き飛ばしたのはこの一言だった。
先生はガクリと肩を落として足取り重くその場から去っていった。
月曜の朝まで立ち直ってくれたらいいんだけど、
と他人事のように思いながら先生の寂しげな後姿を見送っていると
「あれ? わたし、なにか変なことを言ったでしょうか?」
早瀬さんには全く自覚がないようだ。
ほんとこれだから天然の人は、と紗也香は彼女の肩に手を置いてグッジョブとでも言うように親指を突き出していた。
それを見て早瀬さんは逆に首を傾げていた。
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そんな感じで騒いでいる間にもイベントは滞りなく進行していた。
次々にステージ袖からコスプレーヤーが現れて、
音楽に合わせて踊ったり、
闘ったりとパフォーマンスを繰り広げている。
衣装とか見た目だけではなく、こう言う演出も採点に影響するらしい。
紗也香は素人さが抜けないがそれなりに格好のついた演技に見入っていた。
場内は盛り上がり、観客からの声援や拍手が轟いている。
そして、次の出演者がステージ中央に案内されてきた。
そのワニのような怪獣のコスプレをしている人は何か戸惑っているみたいでオロオロと周囲を見回している。
「次の人は飛び入り参加の方です。スタッフがあまりに素晴らしいキグルミの出来栄えに急遽出場を依頼しました。皆さん、大きな拍手でお迎えください」
司会に煽られて観客席から割れんばかりの拍手が起こる。
その迫力に圧倒されたのか、彼はその大きな図体とは対照的に身体を縮めていた。
「これは何に出てくる怪獣のコスプレなんですか? まるで本物のような――」
インタビューが続く中、早瀬さんが驚愕に顔を引きつらせて呟くように口を開いた。
「ヴァーダム星人……」
「ヴァーダム星人?」
なんだろ?
聞き覚えのない単語だった。
何かの敵役の名前なのかな?
と紗也香は頭の上に疑問符を浮かべる。
それにしても早瀬さんが特撮ヒーローに詳しいのは意外だった。
紗也香はそれをからかおうといやらしく目を細めたのだが、彼女の顔から血の気が引いているのを見て、それ以上、何も言えなくなってしまった。
どうしたんだろう?
そんなに深刻な顔をして
紗也香が心配そうな顔で彼女を伺っていると、早瀬さんは健太の腕を掴んでいた。
「健太さん。あそこにいるのはヴァーダム星人です。このままだとここにいるみんなが危険な状態に――」
紗也香は慌てて早瀬さんの口をふさいだ。
この娘はいきなり何を言い出すのだろう。
健太は突然訳のわからないことを言い出した早瀬さんのことをキョトンとした目で見ている。
そんな健太の視線に気付いていないのか早瀬さんは紗也香の腕から逃れようと暴れていた。
紗也香は彼女を引き摺るように人気のない木陰の方に連れていく。
「もう離してください! いまはこんなことをいている場合じゃないんです」
早瀬さんは乱暴に紗也香の腕を振りほどいた。
その細い腕のどこにこんな力があるのだろうかと驚くほどそれは強かった。
「あなたこそ。いきなり何を言い出すのよ。危険ってどう言うこと?」
早瀬さんはこちらを探るような目で見てくる。
そこにはいままであった優しげなお嬢様の雰囲気はない。
ただ、じっと冷たく鋭い視線を投げつけてくる。
そして、しばらくしてから、こちらを観察するように見ながらゆっくりと口を開いた。
「星野さん? あなたは健太さんの秘密をどこまで知っているんですか?」
その一言に驚いて紗也香はビクッと反応してしまった。
もしかして、この娘は健太が変身できることを知っているの?
彼女は敵なの?
それとも味方?
紗也香は訳がわからなくてそれを確認することも否定することも出来なかった。
しかし、それが早瀬さんにとっては答えになっていたのだろう。
彼女は大きく息を吸ってから話し始める。
「そう、やっぱりあなたは知っていたのね。わたしは健太さんが変身できることを知っているわ。それとわたしも宇宙人なの」
紗也香は愕然としてそれを聞いていた。
目の前にいるのは紗也香達と見た目が全く変わらない少女である。
それが自分のことを宇宙人だというのだ。
普通なら、なにバカなこと言ってるのよ、と笑い話ですむことなのだが、そうはいかない。
紗也香の幼馴染みはその宇宙人の孫なのだから。
この世界には宇宙人が存在することを紗也香は知っているのだから。
と言っても「はいそうですか」と簡単に信じられるようなことでもなかった。
紗也香が混乱する頭を落ち着けようとしていると、早瀬さんは焦った口調で話を元に戻す。
「あそこにいるワニのような怪獣。あれはコスプレなんかじゃないの。あれはヴァーダム星人。かなりの力を持った宇宙人だわ」
「あれが?」
紗也香はステージに目を向けた。
確かにそこにいるのは大きな身体に強そうな牙をもつ化け物だった。
が、司会の人に対してペコペコと頭を下げている姿は気弱な印象しか受けない。
そんな彼を早瀬さんは厳しい目で見ている。
「ヴァーダム星人は日頃は温厚なんだけど、暴れ出すと止められなくなるの」
「でも、あんな風に人前に出るだけでオドオドしている人が暴れ出すなんて」
「ヴァーダム星人には厄介な特徴が――」
「きゃああああああああああ」
突然、悲鳴が聞こえてきた。
それも一つや二つではない。
会場中から上がっている。
その声に邪魔されて早瀬さんは続く言葉を失っていた。
「最悪だわ」
彼女は苦虫をかみつぶしたような顔で吐き捨てていた。
その言葉は我先にと逃げ惑う観客の怒号で掻き消されている。
「急ぎましょう。健太さんの力があればヴァーダム星人ぐらい何とかなるわ。早く彼に変身してもらわないと」
そう言って走り出そうとする早瀬さんの肩を紗也香は掴んで止めた。
彼女はもう怒りを隠そうともせずに振り返ってくる。
口調もいつになく荒っぽい。
「なにするのよ。あなたと話している時間なんてないの!」
「違うの。そうじゃないの。健太に言っても無駄なのよ」
「どう言うことなの?」
早瀬さんは振り返って睨んでくる。
その声音に容赦はなかった。
紗也香はどう言おうか迷ったが、結局、ありのままを話すことにした。
「健太は自分がヒーローに変身できることを知らないの」
「何言ってるのよ。この前、変身して子供を助けてたじゃない」
「あれはわたしが健太を変身させたの。健太は変身した時の記憶もなければ、自分が宇宙人だということも知らないわ」
「……その表情を見ると嘘じゃないみたいね。まずいわ。そうするとわたしが……でも、こんなところで……持ってるけど……」
早瀬さんはブツブツと呟きながら何か考え込んでいる。
紗也香はと言うと手に持っていたカバンの中をあさっていた。
「星野さん? あなた、さっき、健太さんを変身させたって言ってたわよね。ここで同じことはできないの? ってなにをしてるの?」
そこでやっと紗也香がカバンをひっくり返しているのに気付いたのか早瀬さんが不思議そうにこちらを見ていた。
「メガネを探してるの。ああそう言えば、この間、使ってから補充してなかったんだわ」
「メガネ?」
「あれ? 知らなかったの? 健太はメガネをかけると変身するのよ」
「ああ、なるほど、メガネ族だからね」
「メガネ族?」
紗也香は聞き慣れない言葉に首を傾げながらもカバンのポケットまで探っていた。
いくらなんでもそんなところには入らないだろう、と言う小さなところも確認する。
だが、残念なことにメガネは見つからなかった。
紗也香は「どうしよう!」と叫びながら頭を抱えてしまう。
そんな紗也香に早瀬さんがオズオズと尋ねてきた。
「メガネならどんな物でもいいんですか?」と
紗也香は跳び付くように顔を上げた。
「早瀬さん。もしかして、持ってるの?」
「あの、これがメガネと言えるかはわからないんですけど」
そう言って買い物袋の中をあさりだした。
紗也香はメガネなんて買ったかしら、と今日買ったものを思い返していた。
そして、彼女が取り出したものを見てなるほどと手を叩く。
「でも、これはメガネと呼べるのかなあ?」
二人は早瀬さんが持つ水中メガネを見ながら同じ角度で首を傾げていた。
「とりあえず、やってみましょう。もしダメだったら違う手を考えればいいだけよ」
そう言って紗也香は健太の元に走り出した。
「なにしてたんだよ。こっちは大変なことになってるぞ」
戻ってきた紗也香を迎えたのは目を輝かせた健太だった。
彼の口調は言葉とは違ってどこか喜んでいるみたいに弾んでいる。
そんな健太に溜息交じりの視線を送りながらとりあえず頭を殴っておいた。
「なにが大変なことになってるよ。早く逃げないと危ないでしょ」
「そんなこと言っても紗也香達がどこかに行っちゃったから心配で」
「嘘おっしゃい。そんな目で騒ぎを見といて説得力なんてないわよ。さあ、行くわよ」
「行くってどこに」
「とりあえず、林の中に行けば騒ぎに巻き込まれないでしょ」
「ええ、そんなところからじゃ良く見えないじゃないか」
「やっぱり、野次馬根性を出してたのね!」
紗也香が拳を振り上げると、健太は怯えたように首を竦めて走り出した。
「なんで素直に言うことを聞けないかな」
そう呟いて健太のあとを追った。
次回投稿は8月13日19時を予定しています
誤字脱字報告、感想など頂けたら嬉しいです。




